トルコ:センちゃんの色とりどりの世界―パンデミック下も自宅で行われる就学前教育

2022年2月21日 シャンルウルファ県(トルコ)発

UNICEF Turkey
2022年2月21日
パンデミック下も自宅で行われる就学前教育。
UNICEF/UN0509061/Karacan

2022年2月21日 シャンルウルファ県(トルコ)発

2015年、エルリカ一家はシリア危機から逃れるため、トルコに身を寄せる360万人を超えるシリア難民の一員となりました。家族は自宅を後にし、トルコ南東部のシャンルウルファから入国しました。

「昔は自分の家に住めていましたが、ここでは家を借りています。家賃がとても高いんです。」と、シリア危機で父親と兄を失った、27歳の母親であるグフランさんが話します。「大学で農業工学を学んでいましたが、紛争が起こり、2年生の時に中退しなくてはいけませんでした。親族を残して国を去らなくてはいけなかったのです。」

グフランさんは5歳のセンちゃん、3歳のウサメくん、生後4カ月のビラールくんの世話をし、夫のムニルさん(32歳)は青空市場で日雇いのポーターとして働いています。「夫は以前シリアで特別支援学校の教師をしていましたが、今は日雇い労働しかできません。」とグフランさんは話します。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、ムニルさんは働くことができず、一家は多くの経済的な困難に直面しました。

笑顔のセンちゃん。
UNICEF/UN0509062/Karacan

自宅での就学前教育を担当する教員は、家庭を一軒一軒訪問してプログラムについて説明しながら、教育や保健ケアなどの公共サービスへのアクセスが困難な家庭の特定も行っています。

UN0509066
UNICEF/UN0509066/Karacan

就学前教育の教員であるトゥバさんは、センちゃんと過ごしたこれまでの6週間の日々を次のように語ります。「センちゃんはとても楽しんで勉強しています。トルコ語とアラビア語の両方で数字を教えています。センちゃんは、授業の前にトルコ語の数字に関するYouTubeの動画を見ているんですよ。」とトゥバさんが話します。

このプログラムのおかげで、センちゃんは色や鉛筆の持ち方、善悪の区別、数の数え方、数字を順番に並べる方法などを学んだと、グフランさんが話します。「以前はこの子に何か教えるのは、一苦労でした。このプログラムがとても楽しいようで、いつも先生の訪問を心待ちにしていますよ。」

5歳のセンちゃんに、先生から何を学んだのかと尋ねると、「色を学んだの!赤、青、緑、黄色…」と、嬉しそうに一つひとつ色の名前を挙げました。様々なアクティビティの中でセンちゃんが一番楽しみにしていたのは、先生が持ってきた木の家に色を塗ることでした。

木の家に色を塗るアクティビティ。
UNICEF/UN0509065/Karacan
先生がはさみで切る様子。
UNICEF/UN0509073/Karacan

トゥバ先生は、「センちゃんの家族は、本やノートを買うことができません。経済的に困難な家庭には、教材を提供しています。学校に行けない子どもたちにとって、とても有効な手段だと考えています。」と語ります。

毎週子どもたちに配布されるアクティビティブックには、パンデミック下も子どもたちが自宅にある材料で簡単にできるアクティビティが紹介されています。母親には、子どもの健康的な発育など、様々な題材についてアラビア語で情報が提供されています。先生たちは母親に対して、栄養や子どもの福祉、子どもたちのためのゲームなど、学んだことを近所の人や親戚と共有するように勧めています。

先生とセンちゃん、ウサメくん。
UNICEF/UN0509063/Karacan

同期間中、父親への教育プログラムも実施されています。プログラムでは、毎週父親が子どもたちに絵本を読むように計画されています。物語や絵に関する質問に子どもたちが答えられるよう、インタラクティブな形に絵本がデザインされています。また、携帯電話のメッセージアプリを通じて、父親たちには子どもの発達をサポートするための情報も共有されます。グフランさんは、「センは先生から送られてくるお話が特に好きなんです。私や夫は、本を読むように何度も何度もお願いされるんですよ。」と話します。

先生に教わる様子。
UNICEF/UN0509076/Karacan

センちゃんの父親も、絵本が子どもの成長に大きく貢献したと考えています。ムニルさんのように、多くの父親が夜や週末に子どもたちに物語を読み聞かせています。ムニルさんはセンちゃんと一緒に、物語の中の仕草を真似したり、登場人物の気持ちについて語ったりしています。

別れ際に、センちゃんに将来何になりたいのかと聞いてみました。するとセンちゃんは「お医者さん!」と答え、満面の笑みで私たちに手を振ってくれました。

2021年、3歳から5歳の1万8,800人以上のトルコ人と難民の子どもたちが自宅を基盤とする就学前教育の支援を受けました。このプログラムは、運動や言語、認知、社会、感情に関する能力を伸ばすことで、子どもたちがトルコの公立小学校に入学する準備を進めることを目的としています。

自宅で行う就学前教育プログラムは、日本政府や米国人口難民移民局の資金協力のもと、UNICEFと南東アナトリア開発計画地域開発管理機関、トルコ開発財団のパートナーシップを通じて実施されました。このプログラムは、トルコ南東部の難民が多く暮らす11県のシリア難民の子どもたちを対象に行われています。

笑顔で手を振るセンちゃん。
UNICEF/UN0509070/Karacan