イエメン:地域の保健・栄養ボランティアの活動で、子どもたちが健康的な生活を送れるように 

2023年8月1日 イエメン発

UNICEF Yemen
2023年8月01日
カタバ地区の難民キャンプで、上腕周囲径測定を受ける子ども。
UNICEF/UNI417599/Record Media 

2023年8月1日 イエメン発 

イエメンで現在も続く紛争の影響で、ダーリウ県に暮らす人々は、栄養不良や病気、保健ケアの欠如など、複数の人道的な困難に直面しています。3人の子どもを持つ25歳の母親であるヌジュド・サアドさんは、「ここでの生活はとても苦しいです。飢えと病気が蔓延するなか、食料も尽きつつあります。子どもたちと母親の大半が栄養不良に苦しんでおり、援助団体による支援物資が、この厳しい現状を乗り超える唯一の手段です。」と打ち明けました。これらの人々の健康状態を改善するため、UNICEFは日本政府の資金協力のもと、コミュニティにおける健康的な栄養ボランティアプロジェクトを実施しました。 

カタバ地区の難民キャンプで地域のボランティアとして活動するラグダ・アハメド・ヤーヤさんは、キャンプで暮らす家族は多くの困難に直面しており、特に健康的な食べ物や衛生用品の入手が難しく、衛生問題について全く知識がない人もいると言います。「受けられる栄養支援が十分でないということを理由に、子どもたちを保健センターに連れて行くことを真剣に考えていない親もいますが、彼らは子どもの健康や命が脅かされていることを十分に認識していないようなのです。」ラグダさんは地域のボランティアとして、親たちに子どもたちの健康を守る大切さを伝え、子どもたちを保健センターに連れて行くように後押ししています。 

基本的な保健や栄養に関する情報や、個人衛生や母乳育児の重要性を妊娠中や授乳中の女性に伝えるボランティア。
UNICEF/UNI417573/Record Media

現場で活動するボランティアは、基本的な保健や栄養に関する情報や、個人衛生や母乳育児の重要性を妊娠中や授乳中の女性に伝えるとともに、診察や上腕周囲径測定帯と呼ばれるメジャーを用いて子どもたちの栄養状態を確認します。急性栄養不良と診断された場合は、子どもたちを適切な保健ケアが受けられる保健センターに紹介します。「私の子どもが栄養不良になったときには、ボランティアの方が家を訪ねてきて、母乳育児や家族の衛生を保つ大切さ、子どものたちの健康と栄養の管理方法などを教えてくれました。そして、子どもの栄養状態を確認し、上腕周囲径を測定して、病院の治療センターを紹介してくれました。」と、ヌジュドさんは話します。 

カタバ地区の難民キャンプで地域のボランティアとして活動するラグダ・アハメド・ヤーヤさん。
UNICEF/UNI417514/Record Media

このプロジェクトは、UNICEFによるインパクトのある人道支援の一例であり、現地のコミュニティや保健ボランティアを積極的に巻き込み、保健に関する認識と教育の向上に成功しています。「ボランティアの方々は、何が正しくて何が間違っているのかを教えてくれました。子どもたちの上腕周囲径測定を行って、栄養状況を確認してくれます。」と、4人目の子どもを妊娠中の26歳の母親、サラマ・ジュマエ・モハメドさんが話します。「子どもの健康状態が良くない場合は、すぐに保健センターで詳しい検査と必要な治療ケアを受けられるようにしてくれます。ミルクとすぐ口にすることができる栄養治療食も受け取ることができます。センターでさらに保健ケアを受けることで、子どもたちが回復を遂げ、健康的な状態で退院しています。」 

マハー医師の診察を受ける生後14カ月のジャウヘルちゃん。 
UNICEF/UNI417587/Record Media

子どもの診察、体重測定、成長観察など、必要なサポートを受けにやって来た母親たちを出迎える、アル・サラム病院の臨床栄養部長のマハー・モハンマド・アリ・ナッセール医師は、「保健センターに入院している子どもの大半が5歳未満です。まずは子どもたちを診察し、完全に回復するまでのフォローアップを含めて、適切な治療ケアを行います。」と話します。 

急性栄養不良の子どもを診察し、母親に赤ちゃんの健康状態を説明する、臨床栄養部長のマハー医師(ダーリウ県カタバ地区、アル・サラム病院)。 
UNICEF/UNI417576/Record Media  急性栄養不良の子どもを診察し、母親に赤ちゃんの健康状態を説明する、臨床栄養部長のマハー医師(ダーリウ県カタバ地区、アル・サラム病院)。 

このプロジェクトは、支援が必要な子どもたちに保健ケアと栄養を届けるために、ボランティアの人々の活動がいかに重要であるかを表しています。保健に関する知識や技術を現地のコミュニティと共有することは、子どもたちとその家族の健康状態の改善に大きな影響をもたらします。このプロジェクトは、様々な困難に直面しているダーリウ県の住民にとって、希望の光となっています。 

ダーリウ県のキャンプで暮らす生後11カ月のアリくんと母親。アリくんを含む多くの急性栄養不良に苦しむ子どもたちが、治療センターで食事療法を受けている。 
UNICEF/UNI417566/Record Media  ダーリウ県のキャンプで暮らす生後11カ月のアリくんと母親。アリくんを含む多くの急性栄養不良に苦しむ子どもたちが、治療センターで食事療法を受けている。 

ボランティアのラグダ・アハメドさんは、ボランティアの人々が担う役割の重要性を強調しながら、次のように語ります。「啓発や教育を通じて、私たちはコミュニティの行動変容を行っています。子どもや妊婦、授乳中の母親のための医薬品や栄養支援など、UNICEFとそのパートナーが保健センターに提供している支援をさらに推進しています。私たちボランティアは皆、人々とコミュニティに仕えるという、共通の目標のもとに活動しています。」 

マハー医師も同様に、ボランティアの活動を称賛し、「現場で活動し、戸別訪問を行うボランティアの取り組みは、症状の経過観察を含め、私たちの仕事を円滑に進めるうえで不可欠な役割を担っています。」と述べました。 

ダーリウ県カタバ地区のアルサ・ラム病院で、すぐ口にできる栄養治療食を受け取った母親と生後14カ月のジャウヘルちゃん。   
UNICEF/UNI417588/Record Media  ダーリウ県カタバ地区のアルサ・ラム病院で、すぐ口にできる栄養治療食を受け取った母親と生後14カ月のジャウヘルちゃん。 

母親たちは、このプロジェクトが、子どもたちが必要な保健ケアサービスを受け、健康状態を改善させるための力となってくれたと語ります。国内避難民キャンプに身を寄せるサラマ・ジュマエさんは、「ボランティアの方々が提供して下さるサービスには、とても満足しています。このプロジェクトは私たちにとって必要不可欠です。このようなサービスがなければ、この地域の子どもたちは飢えや栄養不良で命を失っていたでしょう。」と語ります。 

 

【関連ページ】
日本政府、令和4年度補正予算から、UNICEFを通じて9,650万米ドルの支援を行うことを決定
日本政府の支援によるイエメンでのUNICEF支援事業