インドネシア:大きな夢を持つ小さな大使-安全な学校の再開に向けて

2022年4月28日 インドネシア発

UNICEF Indonesia
2022年4月28日
インドネシア:大きな夢を持つ小さな大使-安全な学校の再開に向けて
UNICEF/2022/Hafiz Al Asad

2022年4月28日 インドネシア発

2022年3月はじめ、マラデカヤ第二小学校はいつもと違う朝を迎えていました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる20カ月間の閉校後、閉ざされていた学校の正門が再び大きく開かれ、露店の横で保護者同士が談笑するなか、生徒や先生が登校してきました。みんなマスクを着けていましたが、対面式の学習が再開された喜びは隠すことができません。

アブラハム・プラタマくん(9歳)も、学校への登校を待ち望んでいました。この日は夜明けに起きて、いち早く学校に向かいました。

アブラハムくんは学校に戻ってこられたことを喜んでいたものの、過去に先輩から受けた言葉や身体的ないじめを今でも鮮明に覚えていました。

生徒たちはCOVID-19の影響を乗り越え、「安全な学習の再開」プログラムを通じて、学校の再開を支えています。

学校の再開にあたり、“親切大使”、“衛生大使”を担うアブラハムくん。
UNICEF/2022/Hafiz Al Asad 学校の再開にあたり、“親切大使”、“衛生大使”を担うアブラハムくん。

「身体的ないじめは、つらかったです。でも精神的にはもっとつらく、その苦しみは長い間続きました。」と、アブラハムくんは話します。

しかし、両親や先生には打ち明けられず、秘密にしていました。「アブラハムが学校でいじめられているなんて、知りませんでした。多分、アブラハムの友達が教えてくれなければ、気付かなかったでしょう。」と、母親のグスティ・プラタマさんが話します。

アブラハムくんを慰めるグスティさん。
UNICEF/2022/Hafiz Al Asad アブラハムくんを慰めるグスティさん。

授業が遠隔学習に移行し、アブラハムくんは、いじめが終わると思っていました。しかし、ソーシャルメディアやオンラインゲームで、彼を傷つけるようなコメントが続きました。

また、遠隔学習はストレスが多く、独自の問題もありました。「自宅での学習は、理解しにくいと感じました。誰にどう質問したらいいのか分からず、いらいらすることもありました。」と、アブラハムくんは振り返ります。

パンデミック時に同じような問題に直面した子どもたちは少なくありません。UNICEFの2022年の調査によると、スラウェシ州のマカッサル市や南ボネ県にあるUNICEFが支援する学校の20~30パーセントの子どもたちが、パンデミック時にメンタルヘルスの問題を経験し、感情的な問題が増え、人との交流の難しさを感じたと報告しています。

長期間にわたる学校閉鎖が子どもたちのメンタルヘルスや幸福度に影響を与え、パンデミック下で学校を安全に再開させるという課題に立ち向かうなか、UNICEFは日本政府や南スラウェシ州とパプア州のパートナーの支援を受け、「安全な学習の再開」プロジェクトを実施しました。このプロジェクトは、COVID-19に関連する学習や健康、心理社会的な課題に対応しながら、生徒が安全に学校に戻れるようにするために実施されました。

プログラムの一環として、学校は、親切な行動を促進し、いじめを防止して安全な学習環境を築く手助けをする、“親切大使”や“衛生大使”を任命しました。

アブラハムくんは学業成績や生活態度が評価されて親切大使と衛生大使の両方に任命され、大喜びでした。アブラハムくんは大使として、ストレスや不安を克服するためのメンタルヘルスと心理社会支援に関するセッションや、清潔で健康な学校生活習慣を維持するための研修を受けました。これらのサポートを通じて、アブラハムくんはいじめの対処法を学び、他の親切大使と協力して、学校やソーシャルメディアで、いじめ防止キャンペーンを立ち上げました。

「より勉強しやすい場所になったので、より安心して学校に通えるようになりました。」アブラハムくんが、他の親切大使に感謝の言葉を述べながら話します。アブラハムくんは、家族、特に母親に、自分の気持ちを打ち明けられるようになったといいます。

「アブラハムが前よりも自分の気持ちや考えを話してくれるようになって、嬉しいです。」グスティさんは、これからは家族一緒に、少しずつ問題により早く対応できるようになりたいと話します。

教師と生徒のインタラクティブな研修のほか、COVID-19の感染を予防するため、学校中に多くの簡易手洗い器が設置されました。

衛生大使として正しい手洗いの方法を実演するアブラハムくん。
UNICEF/2022/Hafiz Al Asad 衛生大使として正しい手洗いの方法を実演するアブラハムくん。

「以前は、コロナで学校に戻るのを心配していました。でも、衛生大使に選ばれて、マスクをつけること、ソーシャルディスタンスを保つこと、石けんで手を洗うこと、人混みを避けることなどの感染防止策の大切さを学び、他の生徒にも同じように行動するように呼びかけました。今では、学校にたくさんの手洗い場ができて、今まで以上に安心して過ごすことができます。」とアブラハムくんが話します。

スディン校長は、「安全な学習の再開」プログラムを行うことで、対面式の学習に移行する教師と生徒の両方をサポートすることができたと説明します。

「親切大使と衛生大使のおかげで、私たちの負担が軽減しました。彼らは他の生徒を勇気づけただけでありません。正しい手洗いの方法を知らなかった、私を含む先生たちにとっても、大助かりでした。」

パンデミックや過去の困難にも関わらず、学校で勉強を再開することにこれほど希望を感じだことはないと、アブラハムくんが話します。

「小さな大使になった僕を、家族はとても誇りに思っていると言ってくれました。いつかインドネシアの大使になって、家族をもっと喜こばせたいな。」と、アブラハムくんが誇らしげに話してくれました。

インドネシアにおけるUNICEFのCOVID-19対策をご支援いただいた日本政府に、心より感謝申し上げます。

 

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