シリア:アレッポの人々の暮らしを向上させる清潔な水と衛生設備
2022年7月28日 アレッポ(シリア)発

2022年7月28日 アレッポ(シリア)発
シリアでは、紛争の影響で、国内の3分の2近くの水処理施設、半数の給水ポンプ場、3分の1の給水塔が損壊しています。このため、国民の半数近くは水を利用する際に、安全ではない代替水源に頼っており、少なくとも70パーセントの下水は未処理のままです。
アレッポ市のアル・ジャズマティ地区では、地下の幹線パイプから飲料水が漏れ、送水管内の圧力が低い状態でした。水が流れるのは断続的で、午前0時以降でなければ流れないこともしばしば。ほとんどの家に水が行き届かない状況でした。
「わずかしかない電気は給水ポンプの電源として使わなくてはいけないので、水汲みに行くときには給水タンクが水で満タンになるまで暗闇の中で待たなくてはいけませんでした。」とアイシャさんは言います。
アイシャさん以外にも、近所の井戸で水を汲み、自宅まで運ぶことを余儀なくされた家庭はたくさんあります。

「毎日の水汲みのせいで、背中が痛かったです。」と、11歳のファティマちゃんは言います。ファティマちゃんは、兄弟と一緒に1日5回水を汲みに通っていました。水の入った重いバケツを運ぶことに加え、夏の暑い日に給水待ちの列に長時間並ぶのは大変でした。

2021年11月、UNICEFはこの地区の主要な水道網を修復しました。これに加えて、アルハサ水処理施設の沈殿槽の修復によって汲み上げることができる水量が増え、より多くの家庭で安全な飲料水を利用できるようになりました。

アレッポ市から東に90キロに位置するアルハサ水処理施設は、アレッポ市とその周辺地域の300万人近くに清潔で安全な水を供給していますが、紛争で大きな被害を受けました。
日本政府からの資金協力によって、UNICEFはこの水処理施設の復旧支援と、紛争で被害を受けた沈殿槽6基のうち3基の修復支援を行いました。これにより、水の処理量は15パーセント増加し、新たに14万世帯がきれいな水を利用できるようになりました。
「もうバケツで水を運ばなくてすむので、本当にうれしいです。」とファティマちゃんは言います。安全な水が手に入ることは、避難民たちが元の家へ戻って再定住する後押しにもなります。

一方、水質の悪さは、子どもが下痢になりやすくなるなど、水が媒介する病気の要因にもなります。
日本の支援を受けて、UNICEFはアレッポ市の下水道網の交換・修復も行いました。市内のカディ・アスカール地区とアル・ジャズマティ地区及びアレッポ県東部のマスカネとデイエ・アフィールにおける支援を行い、約90万人が衛生サービスを公平かつ持続的に利用できるようになりました。

「清潔な飲料水と基本的な衛生設備へのアクセスを改善することで、子どもたちの健康を保ち、水が媒介する病気から守ることができます。紛争中であったり、これらのサービスへのアクセスが困難または損なわれたりしているコミュニティでは、こうした取り組みが最も重要です。」と、UNICEFアレッポ現場事務所の水と衛生担当官のマハー・ガファリは述べています。
UNICEFは、子どもたちが健康に育ち、さらに健康的な人生のスタートを切ることができるよう、清潔な水、基本的なトイレ、衛生習慣へのアクセスを向上するための支援を続けていきます。
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