ラオス:就学前学校の教員研修―子どもたちの明るい未来のためのピア・ラーニング

2019年12月12日 ラオス発

UNICEF Lao PDR
2019年12月12日
他の教師たちの模擬授業を記録するソーリヤ先生。
UNICEF Laos/2019/Akina
他の教師たちの模擬授業を記録するソーリヤ先生。

 

2019年12月12日ラオス発

ラオス・シェンクアン県の寒い10月の早朝。クーン郡教育局を囲うように、美しい緑の山脈が姿を見せています。教育局の中では、就学前学校の教師たちが興味深そうに授業計画を読み、インストラクターと活発に意見を交換しながら教育方針について語っています。どれほど豊富な経験を持っていようとも、教育には常に進化が伴い、学ぶことはたくさんあります。

「絵の描いてあるカードを見せる前に、生徒に質問を投げかけるのはどうかな。」と、一人の教員が言いました。「私は、アクティビティの前に歌を歌った方が良いと思う。」もう一人の教員が言います。熱心なアイディアの交換が部屋を輝かせ、クーン郡とノンヘッド郡から就学前教育の現職教員研修のために集まった教師たちの議論にもますます熱が入ります。



就学前教育(ECE):子どもの発達に必要なこと

就学前教育(ECE)強化の重要性は、ラオスでしっかりと認知されています。ECEは、幼い子どもたちの知的・身体的発達にとって非常に重要な役割を果たします。保護者や先生といったおとなとの良好な交流は、子どもたちの発達や学びに必要不可欠なものです。

しかしながら、ラオスでは5歳児の3人に1人しか就学前教育にきちんと通うことができていません。ECEの授業やサービスの質も、県や郡によって様々です。クーン郡のような遠隔地の郡であるほど、洪水などの異常気象の影響で脆弱性が高まり、不利な立場に置かれます。

この問題に対応するため、国連児童基金(UNICEF)は日本政府やラオスの教育スポーツ省と協力し、シェンクアン県とアタプー県の洪水被害を受けた郡で、子どもを中心に据えた効果的な教育方法についての研修を就学前学校の教員たちに研修を提供しています。この研修には、防災や子どもたちの心理社会的支援も含まれています。

加えて、教員たちは県や郡の教育局の担当官からのコーチングやメンタリングを通じた支援を受けることになります。そうすることによって、研修に参加した教員や校長先生たちは、教室や学校運営において新たな知識を活用するため、教育スポーツ省から継続的なサポートを受けられるようになります。この研修により、シェンクアン県とアタプー県全体で最大1万8,000人の子どもたちが恩恵を受けます。

シェンクアン県ノンヘッド郡ビエンサイ村から研修に参加した就学前学校のソーリヤ先生は、6年間の教員生活で初めて現職教員研修に参加できることをとても嬉しく思っています。「この研修を通して、より良い授業計画を作る力を身に着けたいです。模擬授業のフィードバックを聞くのも楽しみです。今までこのような機会はなかったので、同僚たちと一緒に働くことのできる素晴らしい機会だと思います。」と彼女は語りました。

 

ものの数え方を教えるソーリヤ先生。
UNICEF Laos/2019/Akina
ものの数え方を教えるソーリヤ先生。

 

ソーリヤ先生の学校の多くの子どもたちは、ラオス語を話さない民族出身です。「こういった子どもたちにとって、言語の壁が大きな課題です。私はできるだけ視覚的な教材を使うように心がけています。この研修を通じて、効果的に教材を使う方法をたくさん学びました。」

 

研修でサークル・アクティビティを行うソーリヤ先生。
UNICEF Laos/2019/Akina
研修でサークル・アクティビティを行うソーリヤ先生。

 

ソーリヤ先生が難しいと感じた研修内容の一つが、子どもたちに円を作ってもらい、計算や読み書きを一緒に学ぶ「サークル・アクティビティ」です。教師たちはグループの学習目標に対して、すべての子どもが一緒に取り組めるようにする必要があります。ほとんどの住民が何かしらの少数民族に属しているシェンクアン県では、子どもたちの読み書きの能力を向上させるためにこの活動が非常に重要です。

ソーリヤ先生は、彼女のクラスで就学前教育を受ける20人の子どもたちにとって、幼い子どもたち用の安全で清潔な教室が必要だと語りました。しかし、現在は、不完全とは言わないものの、利用可能な小学校の教室で間に合わせるしかない状況です。それにも関わらず、20人の生徒たちは学校に登校することを楽しみにしています。そして、コミュニティの親たちも教育の重要性を理解し、学びをサポートしてくれているとソーリヤ先生が強調しました。

「私たちが子どもたちを教えているとお思いでしょう?実際は、私たちも子どもたちから多くを学んでいるのです。」と、彼女は満面の笑みで語りました。「子どもは皆異なります。それぞれの子どもにとって最適な学習方法を見つけることが、私たちの役目です。」と付け加えました。

日本政府やUNICEF、教育スポーツ省による就学前学校の教員に向けた研修の最も重要な目的は、教員たちがこのトレーニングを通して得た知識を実践できるようになることです。そのためには、現在行われている県や郡の教育局からのコーチングやメンタリングが重要になります。

クーン郡教育局では、インストラクターが参加した教員たちを鼓舞しています。「新しいことを学び、自分のクラスに合わせて実践し、どうすればより良くなるか考えて下さい。お互いに支え合えば、成長することができます。」

 

ラオスの子どもたちの将来への願いを伝えるソーリヤ先生。
UNICEF Laos/2019/Akina
ラオスの子どもたちの将来への願いを伝えるソーリヤ先生。

 

私の夢:将来、自分の子どもに経験してほしいこと

子どもたちが小学一年生に向けて準備ができるよう、これからより質の高いECEを子どもたちに届けたいと彼女は考えています。「将来的には、生徒たちが自分が成し遂げられなかった大学卒業を果たす姿を見たいと思っていますし、彼らには可能だと信じています。日本とUNICEFが継続的にラオスの子どもたちを支援してくれることを願っています。」


 

【関連ページ】日本政府によるラオスのUNICEF支援事業