ザンビア:逆境に立ち向かい、子どもの健康な発育を守る女性たち

2024年11月21日 ザンビア発

UNICEF Zambia
2024年11月21日
双子を抱えるグリセシさん。
UNICEF Zambia/2024/Phiri

2024年11月21日 ルメジ郡(ザンビア)発  

ザンビア東部州ルメジ郡で暮らす4人の子どもの母親、グリセシ・バンダさんは、長引く干ばつによる食料不足という厳しい現実に直面しながら、生後8カ月の双子、ラブネスちゃんとジェニファー・ピリちゃんの育児に奮闘しています。ジェニファーちゃんは2キロで生まれた一方、双子の妹のラブネスちゃんは体重がわずか1キロの低体重の状態で誕生しました。正常分娩での出産でしたが、双子の成長は決して順調とは言えませんでした。グリセシさんは最善を尽くしてはいたものの、ラブネスちゃんの体重はなかなか増えず、姉のジェニファーちゃんと比べて発育に遅れが見られました。長期にわたる干ばつの影響で食料が不足し、多様な食事や適切な栄養補完食を十分に摂取できなかったため、ラブネスちゃんは低体重の状態から抜け出すことができていませんでした。 

「娘のことがとても心配でした。」グリセシさんが、ラブネスちゃんを腕に抱きながら話します。「ラブネスは食欲があり母乳も飲んでいますが、食料が不足していますし、私は仕事に就けていないので、子どもたちに栄養価の高い食べ物を買ってあげる余裕がありません。」 

看護師のクレオパトラ・チルワさん(26歳)は、日本政府の資金協力によるUNICEFの支援のもと、栄養に関する研修を受けました。クレオパトラさんはグリセシさんと双子の娘たちに必要不可欠な支援を提供しており、9月に親子が初めて保健所を訪れた際、ラブネスちゃんが重度の急性栄養不良に陥っていることを指摘しました。ラブネスちゃんの体重はわずか3.5キロでした。上腕周囲径計測帯と呼ばれるメジャーを使った栄養不良の検査の結果、ラブネスちゃんの二の腕の太さは10.9センチメートルで、重度の栄養不良を示していました。 

双子のラブネスちゃんとジェニファーちゃんを連れて保健所を訪れた母親のグリセシさんと娘のジョイスちゃん(10歳)。看護師のクレオパトラさんが栄養状態を確認している様子。
UNICEF Zambia/2024/Phiri 双子のラブネスちゃんとジェニファーちゃんが栄養治療食を食べられる状態か確認する看護師のクレオパトラさん。母親のグリセシさんは、双子の子守を手伝ってくれる娘のジョイスちゃん(10歳)と一緒に保健所を訪れた。

ラブネスちゃんには、すぐ口にすることができる栄養治療食が提供されました。これは、重度の急性栄養不良の治療ケアに用いられる、栄養価の高いピーナッツバターのような治療食です。「ラブネスちゃんの栄養不良は重度のものでした。即座に、すぐ口にできる栄養治療食で治療ケアを開始しました。順調に回復に向かっています。」とクレオパトラさんが説明します。ラブネスちゃんは2カ月にわたって2週間ごとに治療ケアを受け、栄養不良から着実に回復しています。11月の上腕周囲径計測帯の数値は11.4センチメートルにまで増加しました。 

双子のジェニファーちゃんも栄養不良に陥る恐れがあったため、予防措置として彼女にも栄養治療食が提供されました。「双子は同じ環境で育っているので、ジェニファーちゃんのことも心配しています。」と、クレオパトラさんが話します。保健所を訪れるたびに、双子が治療食を摂取できる状態かを確かめてから、2週間分のすぐ口にできる栄養治療食が提供されます。 

規則により、自分で食事を取ることができる子どもたちを外来で受け付けており、食事が自力で取れない子どもたちは入院して治療ケアを受けます。グリセシさんと彼女の子どもたちが受けた支援は、すぐ口にできる栄養治療食だけにとどまりません。衛生状態を改善し、子どもたちの体調を悪化させる恐れのある病気を予防するために、224世帯に石けんや塩素が配布され、グリセシさん一家もこの支援を受けました。また、行動変容を促すメッセージや栄養カウンセリングも提供され、人々が子どもの健康を守るための知識を高めることができました。グリセシさんは、「提供された石けんと塩素のおかげで家の中を清潔に保つことができ、子どもの発育に良い食事の作り方を学ぶこともできました。」と語ります。 

回復への道のりは容易なものではありませんでした。グリセシさんは双子の健康診断や治療ケアのため、トーマス村の自宅から片道2時間歩いて保健所に通っています。彼女は困難な状況の中でも、地域の保健委員会に参加してサポートを得ながら、育児に献身的に取り組んでいます。地域の保健員会では、グリセシさんのような母親たちが経験を共有してお互いに支え合い、手に入る食料を最大限に活用する方法を学んでいます。 

「2時間歩いて保健所に通うのは簡単なことではありません。でも、子どもの健康を守るためになら、その価値があります。」とグリセシさんが話します。「今日は10歳の娘のジョイスにも手伝ってもらって、双子を連れてきました。」 

栄養価の高いピーナッツバターのお粥とマンゴーのピューレを双子に与えるグリセシさんの様子。
UNICEF/Zambia/2024/Phiri 地域の保健委員会の女性たちが乳幼児のために用意した、栄養価の高いピーナッツバターのお粥とマンゴーのピューレを双子に与えるグリセシさん。

グリセシさんが暮らすトーマス村を訪れた際、木の下に座って地域の保健委員会のメンバーたちの話を聞くことができました。干ばつで食料の入手が困難になる一方、女性たちは家族を養っていく術を見出していました。保健員のチポ・ズールさんは、「今はマンゴーが旬なので、子どもたちのためにマンゴーピューレを作り始めました。簡単に作ることができます。栄養価を高めるために、お粥に落花生も加えています。」と話しました。

同じく保健員のアグネス・ムワレさんは、「手に入る限られた食料で工夫するようにしています。困難な状況の中でも子どもたちの健康を守るため、アイデアをみんなで共有しています。」と話します。トーマス村の村長は、「干ばつで食物の植え付けや収穫が困難になっています。多くの家庭が苦しい状況で暮らしていますが、保健員やボランティアの訪問が私たちに希望を与えてくれます。」と語りました。 

双子の回復への道のりは、まだ道半ばです。ラブネスちゃんが治療ケアを終えるには、検査で上腕周囲径計測帯が栄養不良からの回復を示す緑色を2回連続で示す必要があります。クレオパトラさんは、「適切な経過観察とカウンセリングがなければ、再発の恐れがあります。だからこそ、私たちは乳幼児の栄養に関する母親への教育にも力を入れているのです。」と話しました。

それでも、グリセシさんは希望を失っていません。クレオパトラさんのような献身的な保健員の継続的なサポートと、UNICEFや日本政府のようなパートナーシップを通じた支援があるからこそ、彼女は双子のより健康的な未来に希望を持ち続けることができるのです。 

依然として課題は残っていますが、グリセシさんのような母親たちの献身的な姿勢は多くの人に希望を与えています。彼女のような母親たちの姿は、ラブネスちゃんやジェニファーちゃんをはじめ、すべての子どもたちに、生き延び、成長し、彼らの可能性を最大限に発揮できる機会があることを再確認させるものです。そして、女性たちの笑顔と決意が、逆境に立ち向かう彼女たちのレジリエンス(回復力)を物語っています。 

ルメジ郡のUNICEF支援現場を訪れた日本大使館やJICA、UNICEFザンビア事務所の職員。
UNICEF/Zambia/2024/Phiri ルメジ郡のUNICEF支援現場を訪れた日本大使館やJICA、UNICEFザンビア事務所の職員。