パキスタン:ぜい弱なコミュニティの人々の健康と幸福の源となる安全な飲み水
2023年5月5日 ハイバル・パフトゥンハー州ハリプール郡(パキスタン)発
2023年5月5日 ハイバル・パフトゥンハー州ハリプール郡(パキスタン)発
「蛇口をひねれば、いつでも好きな時に水が飲めるようになりました。」と、10歳のハディージャさんが満面の笑みで話します。
「父は水を探しに出かける必要がなくなりました。毎日食器を洗うことができますし、汚い水を飲んで病気になる心配もありません。」
世界中の多くの人々にとって、家庭で安全な飲料水が手に入らないことは不思議なことかもしれません。しかし最近まで、ハディージャさんと彼女の家族にとって、深刻な問題でした。
ハリプール郡のバスー・メラ村で暮らすハディージャさん一家。アフガニスタン難民として登録されている5,000人近くがこの村で暮らしており、1980年代から何世代にもわたって難民を受け入れてきました。
ハディージャさんの父親のヌール・カーンさんはアフガニスタンで生まれ、何十年も昔、10代の頃にパキスタンに移住しました。ハイバル・パフトゥンハー州のさまざまな街で暮らした後、妻と3人の子どもたちとともにバスー・メラ村に定住しました。
ヌール・カーンさんは、多くの難民を受け入れている心優しいコミュニティの人々に感謝しながらも、バスー・メラ村の住民が長年直面してきた大きな問題である水不足について語りました。
「毎日、日の出と共に、どの家庭の人も容器を持って、水のありそうな場所に水を汲みに出かけます。地域の人々が水をめぐって争う姿をよく見ました。」と、ヌール・カーンさんが振り返ります。
最も一般的な水源は井戸ですが、井戸の数が少なく、遠く離れています。井戸から汲み上げた水は汚染されているだけでなく、夏には干上がってしまいます。そのため、住民たちは水を求めて何キロも歩かなければなりません。
運が良ければ、遠く離れた公共の水汲み場から水を汲めることもありましたが、そうでなければ、水を買うしかありませんでした。水不足に加えて水が汚染されていたため、水が媒介する病気や衛生に関する問題が蔓延していました。
地域の住民が直面する水に関する苦難が浮き彫りになり、ハイバル・パフトゥンハー州アフガニスタン難民支援代表部とUNICEFが支援を行いました。
ハリプール郡に点在するコミュニティに安全な水を提供するため、2021年に支援プロジェクトが開始されました。
日本政府と国民の皆様の資金協力により、UNICEFは新たな水源の開拓や、既存の水源の修復と復旧、様々な村の人々が水を容易に利用できるようにするための広大な地下給水網の整備を行いました。
バスー・メラ村には、新たに掘り抜き井戸式の給水所が設置されました。
ヌール・カーンさんは、「コミュニティ内に安全で豊富な水源ができるなんて、以前は想像もできませんでした。現在はほとんどすべての世帯が貯水タンクを設置して、毎日6時間、新しく設置された井戸から水を引いています。」と、述べました。
バスー・メラ村の2つの学校(男子校と女子校)にも、安全な飲料水が定期的に供給されるようになりました。
以前は、生徒だけでなく、保健や衛生に関する意識を高めるために学校を訪れた啓発普及員も、何日も水が利用できず、手を洗うことすらできない状況にやり場のない気持ちを抱えていました。しかし今では、子どもたちが学校に設置された手洗い場で石けんを使って手を洗う姿がよく見られるようになりました。
バスー・メラ村に設置された新しい井戸は太陽光発電式になっており、コミュニティの人々にとって高額な電気料金の負担をなくすことができました。
この井戸は、水源の維持管理の訓練を受けたコミュニティのメンバーによって運営されており、各家庭に毎日水が供給されるようになっています。
この支援で重要となっているのが、コミュニティの人々のオーナーシップを大切にし、新しい給水システムを持続可能なものにすることです。 その一環として、すべての世帯が毎月200パキスタン・ルピーを支払い、井戸の維持・修繕費や、コミュニティで井戸の運用と維持を担う人の給与に充てています。
オマール・カーンさんはバスー・メラ村のコミュニティのリーダーで、各家庭が負担するお金の集金と帳簿管理の責任者です。
「他のコミュニティの長老たちと相談して、毎月各家庭にお金を負担してもらうことを提案しました。機械ですから、故障することもあります。ですから、すぐに修理できるようにするための持続可能な管理システムが必要なのです。この井戸はコミュニティのウェルビーイングに欠かせないものであり、常に井戸が機能している状態にするのが私の責任です。」と、オマール・カーンさんは述べました。
安全な飲み水へのアクセスは基本的人権であり、特に子どもたちの間で、水が媒介する病気への感染を防ぐだけでなく、コミュニティの人々が遠く離れた水源に水を汲みに行く時間と労力の削減にもつながります。
このプロジェクトはハリプール郡の6万6,000人以上の人々に恩恵をもたらし、人々の水と衛生のニーズを満たす力となっています。
日本政府の資金協力により、UNICEFはこれらのアフガニスタン難民を受け入れている地域を含む、ハイバル・パフトゥンハー州の最もぜい弱なコミュニティの人々のために、基本的な水と衛生サービスを提供しています。
【関連ページ】日本政府の支援によるパキスタンでのUNICEF支援事業