モルドバ:保健ケアへのアクセス向上で、ウクライナ難民の母親と赤ちゃんに希望を
2023年2月15日 キシナウ(モルドバ)発
2023年2月15日 キシナウ(モルドバ)発
首都キシナウの産科病棟で、母親の指を握りしめ、人生という旅の始まりを迎えたデニスちゃん。デニスちゃんの母親はウクライナのオデーサ出身です。2022年2月24日に紛争が激化してから、ウクライナの妊婦たちは命の危機にさらされ、厳しい決断を迫られてきました。
ウクライナ出身の若い母親であるスヴェトラナさんは、妊娠6カ月の時に家族と一緒に爆撃から逃れてきました。
「オデーサの医者しか知らなかったので、そこで出産したかったです。モルドバは私にとって外国ですから、辿り着いたときはとても不安でした。他に選択肢がなかったのでモルドバで出産しましたが、全く問題ありませんでした。子どもを世話する方法や、食事の与え方も教えてもらいました。」と、スヴェトラナさんが生き生きと語ってくれました。
しかしデニスちゃんは予定よりも早い、わずか31週で生まれてきました。幸い母親は既にキシナウに着いていたため、病院に入院し、ウクライナ難民が利用できるようになった政府の保健サービスにアクセスすることができました。
デニスちゃんは生まれてから10日間、母子医療センターの新生児集中治療室にあるUNICEFが提供した保育器の中で過ごし、未熟児のための適切な保健ケアを受けました。現在、デニスちゃんは元気に育っています。
専門的なケアの他に、衛生物資や服などの必要不可欠な物資も提供されました。これらの支援は、紛争や早産の影響を受けていたスヴェトラナさんに大きな喜びと心の安らぎをもたらしました。
「デニスが保育器に入れられると聞いて、昼も夜も泣いていました。心配で食事も喉を通りませんでした。息子の体につけられた機器を見るととても不安になり、すべてうまくいくように祈っていました。」と、スヴェトラナさんが語ります。
家族や病院の保健員たちに支えられながら、困難なときを乗り越えたスヴェトラナさん。今は母親としての生活を楽しんでいます。
産科病棟の看護師として働くアナ・ルパンさんが、スヴェトラナさんの隣に座って、新生児の育て方についてアドバイスをしています。アナさんは約40年間、数えきれないほど多くの、新しく母親になった女性たちを支えてきました。
「一日目から、スヴェトラナさんは赤ちゃんの育て方について多くの質問をしてくれました。衛生面だけでなく、赤ちゃんの抱き方や食事の与え方、洗い方など、基本的なことをすべて説明しました。初めて母親になる女性には、アドバイスやサポートが必要です。私たちは母親に寄り添い、安心してもらえるようにしています。」と、アナさんが語ります。
紛争が始まってから、UNICEFはモルドバの保健ケア制度を支援し、5,000万モルドバ・レイの資金を調達してウクライナ難民の母親や子どもたちのために無償の保健サービスを提供してきました。また、UNICEFは新生児集中治療室で難民の母親や新生児に提供される重要な医療サービスを改善させるため、保育器など、34万2,000米ドル相当の医療機器や支援物資を提供しました。この支援は、日本政府をはじめ、スウェーデン政府、英国政府、オーストリア政府、米国人口難民移民局、米国ユニセフ協会の資金協力によって可能となりました。
2022年2月24日以降、約75万人がウクライナからモルドバに避難しました。現在、10万8,000人の難民がモルドバに滞在しており、その半数が子どもたちです。ウクライナの紛争が始まってから、200人以上のウクライナの女性たちがモルドバで出産しました。
スヴェトラナさんとデニスちゃんの退院まで、あと少しです。スヴェトラナさんは、現在キシナウで暮らす家族の元に戻ることを楽しみにしています。「いい母親になりたいと思います。自分の力で息子を育てていく自信がつきました。」と、スヴェトラナさんが話します。
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