シリア:移動保健チーム、避難民キャンプの栄養不良の子どもたちに支援

2022年11月22日 ホムス郊外(シリア)発

UNICEF Syria
2022年11月22日
シリア:移動保健チーム、避難民キャンプの栄養不良の子どもたちに支援
UNICEF/UN0737107/Nader

2022年11月22日 ホムス郊外(シリア)発

11年にわたる紛争で、シリアの多くの家族は自宅から避難し、仮設の国内避難民キャンプに身を寄せています。

経済の低迷が続き、食料不足が深刻化する中、人々は生活費を稼いで日々のニーズを満たし、子どもたちが多様な食事を摂れるようにするのがやっとの状態です。

ホムス郊外にあるアルザリア仮設キャンプの診断の列に並ぶ母親や子どもたち。
UNICEF/UN0737105/Nader ホムス郊外にあるアルザリア仮設キャンプの診断の列に並ぶ母親や子どもたち。

シリア西部のホムスから10キロほど北にあるアルザリア仮設キャンプは、家族や子どもたちが直面するこれらの極めて厳しい状況を物語っています。

このキャンプには、650世帯以上が身を寄せています。大半の家族は、まずパルミラ地域の故郷から避難し、そして後、身を寄せていたイラクとの国境付近のルクバンにある仮設キャンプからの避難も余儀なくされました。

アルザリア仮設キャンプにあるUNICEFの移動保健診療所で、母親と手をつないで診察の順番を待つ子ども。
UNICEF/UN0737100/Nader アルザリア仮設キャンプにあるUNICEFの移動保健診療所で、母親と手をつないで診察の順番を待つ子ども。

UNICEFはこれらの家族に、必要不可欠な命や健康を守る栄養サービスを提供しています。小児科医が率いるUNICEFが支援する移動保健チームは、キャンプ内のぜい弱な子どもたちや妊婦、授乳中の女性に、プライマリー・ヘルスケアの診察と栄養検査を行っています。また、すぐに口にできる栄養治療食や複数の微量栄養素が入ったサプリメントなど、予防と治療ケアのための栄養物資も提供されています。

アルザリア仮設キャンプ内のUNICEFの移動診療所で、健診を受ける生後9カ月の女の子を抱くオウターさん(21歳)。
UNICEF/UN0737095/Nader アルザリア仮設キャンプ内のUNICEFの移動診療所で、健診を受ける生後9カ月の女の子を抱くオウターさん(21歳)。

3人の女の子の母親であるオウターさん(21歳)は、母乳育児を試みる中、栄養不良になってしまいました。母乳育児中に十分な栄養を摂ることができないと、母親が日々必要な栄養素を蓄えることがより難しくなります。 オウターさんの娘のノアちゃん(2歳)とドウモーちゃん(9カ月)は、重度の消耗症と診断されました。これは、ふたりが痩せて身体が弱くなっており、適切な食事を摂れておらず、身長に対して体重が軽すぎることを意味します。

「いつも疲れを感じ、めまいがしていました。赤ちゃんに母乳を与えることができませんでした。ノアは病弱で、とても痩せていました。」オウターさんが話します。

1年前、オウターさんは移動保健チームのことを耳にして、すぐに助けを求めに行きました。保健チームは母親と子どもたちの健康状態を診察しました。

重度の消耗症に苦しむ子どもたちの多くは、すぐ口にすることができる治療栄養食で治療ケアをすることができます。これはピーナッツをベースにした高カロリーの治療食で、必須栄養素やビタミン、ミネラルを豊富に含んでいます。UNICEFはこの他にも、微量栄養素の欠乏や発育阻害を防ぐため、子どもたちに複数の微量栄養素のサプリメントも提供しています。発育阻害は慢性的な栄養不足が原因で、子どもたちに取り返しのつかない身体的・精神的なダメージを与えます。

アルザリア仮設キャンプにあるUNICEFの移動診療所で健診を受け、高カロリービスケットを受け取ったアスマーちゃん(4歳半)とノアちゃん(2歳)。
UNICEF/UN0737099/Nader アルザリア仮設キャンプにあるUNICEFの移動診療所で健診を受け、高カロリービスケットを受け取ったアスマーちゃん(4歳半)とノアちゃん(2歳)。 

現在、オウターさんとノアちゃんは、回復まであと一歩の段階にまで到達しました。ドウモーちゃんはまだサプリメントを受け取っていますが、健康状態が急速に改善しています。

「治療ケアを受けてから、みんな体調がとても良くなりました。子どもたちの世話もできるようになりました。子どもたちのことがとても心配でしたが、ノアも友達と遊べるようになりました。健康で幸せそうな姿を見ることができて、とても嬉しいです。」と、オウターさんが話します。

「治療には時間がかかり、長い間経過観察が必要です。定期健診に来なかった母親には電話をかけて、誰一人取り残されないようにしています。父親や家族の家計状態が厳しく、このキャンプでは多くの消耗症の事例が見られます。」と、移動保健チームのサミール医師(64歳)が説明します。

UNICEFが支援する移動チームは、キャンプに身を寄せる母親たちに、定期的に乳幼児への食事の与え方に関するカウンセリングも行っています。「健康状態がよくないので、ドウモーには授乳ができないと思っていました。でも、授乳は赤ちゃんにも私自身にも良いことだと先生に説明を受け、母乳を与えるようになりました。」と、オウターさんが話します。

赤ちゃんを抱き、UNICEF移動診療所で健診を受けるバトゥールさん(20歳)。
UNICEF/UN0737103/Nader 赤ちゃんを抱き、UNICEF移動診療所で健診を受けるバトゥールさん(20歳)。

4児の母であるバトゥールさん(20歳)も、カウンセリングの恩恵を受けています。 「以前、赤ちゃんに牛乳を与えていました。この診療所で啓発セッションに参加するまで、赤ちゃんの健康のためには母乳の方が良いということを知りませんでした。娘は小さくて病弱だったのですが、今はとても元気そうで嬉しいです。感謝しています。」と、バトゥールさんが話します。

UNICEFの移動診療所で、UNICEF職員や保健員と息子の成長について話すジャウヘルさん。
UNICEF/UN0737115/Nader UNICEFの移動診療所で、UNICEF職員や保健員と息子の成長について話すジャウヘルさん。

4人の子どもを持つジャウヘルさん(32歳)の2歳になる息子のモハメドくんは、重度の消耗症で歩くことができませんでした。診療所での1年にわたる治療ケアや経過観察のおかげで、モハメドくんは再び元気を取り戻しました。「今日が最後の診察です。私も夫も、とても喜んでいます。完全に回復し、モハメドがとうとう歩けるようになったんですよ!」と、ジャウヘルさんが喜びに満ち溢れた表情で話します。「医者に診てもらうお金も、薬を買うお金もありません。移動チームには、本当に助けられました。診察日に私が姿を見せないと、電話をかけてくれました。」

2022年、UNICEFは重度の消耗症に苦しむシリアの3,760人以上の5歳未満児の治療ケアを支援しています。また、31万6,720人以上の子どもと10万8,860人以上の女性に微量栄養素のサプリメントを提供し、46万670人以上の妊産婦に乳幼児への食事の与え方に関するカウンセリングを実施しています。

これらの支援活動は、日本政府や米国国際開発庁、シリア人道基金、国連中央緊急対応基金の資金協力によって可能となりました。

 

【関連ページ】日本政府の支援によるシリアでのUNICEF支援事業