イエメン:研修、支援物資、改善された水と衛生施設-子どもの学習を向上させる秘訣

2021年2月25日 イエメン発

UNICEF Yemen
2021年2月25日
イエメンの生徒たち
UNICEF/2020/YPN

「1年生でアルファベットを学ぶのは難しく、7年生や8年生、9年生になっても多くの子どもは読むことができませんでした。」イエメンのアデンにあるレイダン女学校でアラビア語を教えるマルカ・アルム・サイード先生が、「学校における質の高い教育と水と衛生へのアクセス向上プロジェクト」が始まる前の状況を語ります。

日本政府の支援を受けて実施されたこのプロジェクトは、教員や学校職員への新しい教授法の研修、学校の備品や教材の提供、より良い学習環境を提供するための全国の学校の水と衛生施設の修復という、3つの柱で活動が行われました。

教員や職員は、研修に参加したことで授業への考え方が変わったと話します。「研修では、生徒が楽しく学ぶことができる教授法を学びました。研修後、アルファベットの読み方を教える方法を変えました。1年生でアルファベットの文字を学ぶのは難しいようだったので、今は音から教えています。」と、マルカ先生が語ります。今ではたくさんゲームの要素を取り入れたり、文字を言葉にしたりして、学習を進めています。そのため、生徒たちはアラビア語の授業が好きになり、理解もできるようになりました。生徒たちの楽しそうな顔から、子どもたちの間でアラビア語が人気の科目になっていることが分かります。

「これまでは、生徒たちは教室で座って授業の内容を暗記し、書き留めていました。これまでの一般的な勉強法は効果がなかったので、心理社会的支援に関する教員や学校経営者への一連の研修は、特に紛争が始まってから、教育を行っていくための役に立ちました。」と、ラジャー・カフタン・モハメド校長先生が語りました。モハメド先生は、特に女の子への心理社会的支援の効果は、家族や社会全体にも及ぶと付け加えました。「1,100人の生徒がいますが、女子生徒は学校だけでなく、家庭でも責任を負っています。生徒が教育方法に納得して安心して授業が受けられると、家庭や家族、社会にも良い影響が及びます。」

新たなスタートを切るための、新しい備品

このプロジェクトでレイダン学校に届けられた質の高い備品は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍で授業中にソーシャルディスタンスを保つためにも役立っています。また、通学かばんやノート、マスク、石けん、手指消毒剤や浄水器なども提供されました。

手を洗う少女
UNICEF Yemen/2021/YPN
イエメンのアデンにあるレイダン学校で、新しく修繕された手洗い場で手を洗う少女。

「以前は汚れたまま放置されていたトイレがきれいになって、壊れていた水道の蛇口も交換されました。」と、レイダン学校に通う9年生のルバ・ワヒード・アハメド・モクベルが語ります。「生徒用の机も新しくなって、今はより快適に使えます。学校を清潔に保つため、ごみ箱の数も増えました。頑張って学校をきれいな状態に保ちますよ!」と、ルバが笑顔で話します。「手を洗って、マスクをして、ソーシャルディスタンスを保つ…以前の生活とは大きく変わりました。このきれいな学校が大好きです。だって、ここは私の二番目の家のようなものだから。」

1週間の研修で、長期的に続く効果

研修で学んだことが実践される中で、出席率も安定的に向上しています。「生徒の出席率には大きな変化が出ています。今では教員と学校経営者が子どもたちに寄り添っています。一緒に座り、問題を一緒に解決するという姿勢が、子どもたちやスタッフ、そして親たちにとっても、学校をより魅力的なものにしています。」と、校長先生が語ります。「1週間の研修でしたが、生徒にとっても、教員や親たちにとっても、とても有益なものでした。」

学校の課題を話し合う校長先生や教員、職員たち
UNICEF Yemen/2021/YPN
イエメンのアデンにあるレイダン学校で、学校の課題を話し合う校長先生や教員、職員たち。

「生徒の出席率に大きな変化が出ています。今では、子どもたちは学び、遊ぶために、学校に継続的に登校しています。」と、マルカ先生が笑顔で答えてくれました。

楽しみながら学習できる方法で生徒に読み方を教える様子。
UNICEF Yemen/2021/YPN
イエメンのアデンの小学校で、楽しみながら学習できる方法で生徒に読み方を教える様子。