アフガニスタン:2滴のワクチンが子どもたちを守る―ポリオサバイバーが伝える予防接種の大切さ

2021年11月29日 ヘラート(アフガニスタン)発

UNICEF Afghanistan
2021年11月29日
ヘラート県にあるゴザラ地区病院の広い部屋の片隅に置かれた机に座りながら、ポリオの予防接種に関する啓発セッションに参加する母親や父親、子どもたちを待つ、パリグル・モハモディさん(36歳)。
UNICEF/UN0558008/Bidel

2021年11月29日 ヘラート(アフガニスタン)発

ヘラート県にあるゴザラ地区病院の広い部屋の片隅に置かれた机に座りながら、ポリオの予防接種に関する啓発セッションに参加する母親や父親、子どもたちを待つ、パリグル・モハモディさん(36歳)。

優しく語りかけるパリグルさんが立ち上がると、部屋の雰囲気が一変しました。参加者の注目が注がれるなか、多くの人は、机の横に置かれている松葉杖に気づいていません。ヘラート県でUNICEFが支援する予防接種チームの女性スタッフの一員であるパリグルさんは、生後8カ月でポリオに感染しました。

「子どもにポリオの予防接種を受けさせないと何が起こるのか、私自身を例として見ていただくためにやって来ました。」と、親たちに話しかけます。パリグルさんは予防接種を受けずにポリオに感染し、一生にわたる障がいを負いました。彼女にとって、ポリオとの闘いは他人ごとではありません。

助産師の資格を持ちながらも、より大きな影響を与えるためにポリオの予防接種のために働くことを選んだパリグルさん。彼女はよく親たちに、障がいがあることで立ちはだかる課題や、予防可能なこの病の予防接種を受けないことで起こりうる子どもへの影響を話します。

「勉強するのも、教育を続けるのも大変でした。私や私の障がいについて人が話していることを聞くのも、つらいことでした。」パリグルさんが当時のことを思い出しながら話します。「学校に行くのは、本当に大変でした。家は学校から遠かったのです。重い通学鞄を背負いながら、松葉杖をついて暑い日も寒い日も歩いて行かなくてはいけないことを想像してみてください。」パリグルさんは、彼女を支え、学校に通うように勇気づけてくれた9人の家族のことを懐かしみながら話します。

ヘラート県にあるゴザラ地区病院で、UNICEFが支援するワクチン接種チームの女性スタッフからポリオの予防接種を受ける子ども。
UNICEF/UN0558011/Bidel ヘラート県にあるゴザラ地区病院で、UNICEFが支援するワクチン接種チームの女性スタッフからポリオの予防接種を受ける子ども。

「私はここで毎日、ポリオに感染したらどうなるのか分かってもらうため、自分自身を例に示しながら、母親や父親にポリオの危険性について伝えています。この仕事の一番の魅力は、子どもたちの健康やワクチンの重要性に関する認識を高められることです。両親が私に予防接種を受けさせなかったことで、私は今もポリオの影響に苦しんでいます。ですから、人々、特に子どもたちのために働きたいのです。」(パリグル・モハモディさん)

ヘラート県にあるゴザラ地区病院で、UNICEFが支援するワクチン接種チームの女性スタッフとして活動するパリグル・モハモディさん。ポリオの予防接種に関する啓発セッションで使用するポスターの前で。
UNICEF/UN0558015/Bidel ヘラート県にあるゴザラ地区病院で、UNICEFが支援するワクチン接種チームの女性スタッフとして活動するパリグル・モハモディさん。ポリオの予防接種に関する啓発セッションで使用するポスターの前で。

パリグルさんは10カ月前、ヘラート県で予防接種を行うUNICEFの移動チームに加わりました。ゴザラ地区病院では毎日140人以上の子どもたちがポリオの予防接種を受けており、ワクチンの接種が約10パーセント増加しました。パリグルさんは、既に活動の効果を感じています。

アフガニスタンのあらゆる地域において、ワクチン接種を行う女性スタッフは、子どもたちをポリオから守るUNICEFの取り組みに欠かせない存在です。UNICEFはワクチンやコールドチェーン機材などのポリオの予防接種に必要な物資を提供するだけでなく、予防接種の重要性に関する認識を高めるため、コミュニティへの幅広い働きかけも支援しています。

予防接種を行う女性スタッフは、移動保健チームと一緒に遠隔地の村を訪れたり、保健施設で働いたりしています。彼女たちは、両親、特に母親たちが必要とする情報を提供し、子どもたちが定期予防接種を受けられるようにするために重要な役割を果たしています。

ヘラート県にあるゴザラ地区病院で使用されている経口ポリオワクチン。
UNICEF/UN0558014/Bidel ヘラート県にあるゴザラ地区病院で使用されている経口ポリオワクチン。

2021年に報告された野生株ポリオウイルスの症例はこれまでに1件。アフガニスタンはポリオを根絶させる絶好の機会を迎えています。最近のポリオ予防接種キャンペーンは、国内でポリオの大規模な再流行を防ぐために極めて重要です。

パリグルさんは予防接種を受けた子どもが増加していることを嬉しく思う一方、母親たちの認識の低さを心配しています。「私が話をする多くの女性や母親たちは、学校に通う機会を失い、ワクチンに関して誤解していることが多々あります。読み書きができなかったり、メディアへのアクセスが限られたりしているため、女性たちが正しい情報を手にすることは必ずしも容易ではありません。私たちが直接会いに行かなくては、予防接種の利点について知ることもできないのです。」

日本政府やビル&メリンダ・ゲイツ財団、国際ロータリーなどのパートナーからの資金協力や寛大なご支援で、UNICEFはアフガニスタン全土で計480人の女性の移動予防接種スタッフの採用と研修を行うことができました。予防接種を行うスタッフは、新型コロナウイルス感染症の感染予防策などの保健分野や、ポリオの予防接種や定期予防接種、水と衛生などの促進も支えています。

 

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