パキスタン:子どもたちを守るワクチンが家のすぐそばに
2026年1月20日 パキスタン発
UNICEFは、日本の資金協力を受け、パキスタン・バロチスタン州の感染リスクの高い地域の子どもたちをポリオから守る活動を支援しています。
2026年1月20日 パキスタン発
4歳のアニサちゃんは、バロチスタン州・クエッタ市の人口密集地域の一つであり、ポリオウイルスの流行リスクの高い地域に指定されているナラ・バウンダリーで暮らしています。こうした都市部の密集地域で暮らす多くの家庭と同様、頻繁な移動、猛暑、そして予防接種サービスへのアクセスが限られていることにより、アニサちゃんはこれまでポリオの予防接種を受けられずにいました。
以前この地域で予防接種キャンペーンが行われた際、アニサちゃんは接種を受けませんでした。彼女の家族にとって、ポリオの予防接種は緊急性もなく、身近なものでもなかったからです。しかしある新しいアプローチによって彼らの暮らす地域にワクチンが届くようになると、その状況は変わりました。
ポリオの予防接種を受け損ねた子どもにワクチンを届ける
ポリオの予防接種キャンペーンが行われた2025年4月の暑い午後、アニサちゃんの兄ラフィウッラちゃん(10歳)は、家の外から笑い声と音楽が聞こえてくるのに気づきました。好奇心に駆られて外に出てみると、装飾されたラクダや色鮮やかなブランコがあり、地域の小さなお祭りのような場所に子どもたちが集まっていました。そこは、予防接種キャンペーンの初期段階で接種を受け損ねた子どもたちにワクチンを届けるために設置された予防接種会場でした。
ラフィウッラちゃんは急いで家に戻り、すぐにアニサちゃんと父親を連れて戻ってきました。予防接種の担当者がアニサちゃんの指をそっと確認すると、ポリオの予防接種を受けた子どもが指につける印はついていませんでした。アニサちゃんの父親の同意を得た後、保健員は予防接種をしました。その直後、アニサちゃんはブランコで笑い声を上げながら遊び、先ほどのためらいは喜びに変わりました。
ラフィウッラちゃんは、「妹はこれまで予防接種を受けていませんでした。ポリオの予防接種チームのおかげで、妹が守られて本当に嬉しい。」と話しました。
アニサちゃんの父親にとって、この経験はワクチンに対する理解を深める重要な転換点となりました。「以前はポリオワクチンの重要性を十分認識していませんでしたが、これだけ簡単に終わる接種で娘を守れる、ポリオワクチンの重要性を改めて理解しました。娘が予防接種を終えて、安心しています。」
彼の言葉は、感染リスクの高い都市部における課題を反映しています。予防接種を受けていない子どもたちは、親による拒否というよりも、予防接種へのアクセスの問題や情報不足が原因であることが多いのが現状です。
最後の一人までワクチンを届ける
このような予防接種会場は、2025年4月と5月に実施されたポリオの予防接種キャンペーン期間中、クエッタ市内の14の高リスク地区で試験的に導入されました。対象を絞った社会・行動変容イニシアチブとして実施されたこの取り組みは、戸別訪問による予防接種を補完するもので、目立ちやすく子どもにやさしい予防接種会場を設置し、家族が自発的に会場を訪れるよう促しました。
キャンペーンを通じて、ワクチン未接種の子どもが763人特定され、そのうちアニサちゃんを含む468人が無事に予防接種を受けました。これは、補完的なアウトリーチ活動によって、ワクチンが利用できる状態から実際に接種を受ける人の増加につなげる効果を示しています。
この取り組みは国際協力機構(JICA)を通じた日本政府による資金協力のもと実現し、UNICEFはワクチンの安定供給に向けて調達を行いました。気温が45℃を超える猛暑のなか、予防接種チームは十分な量のワクチン、保冷箱、物流体制を備え、フル稼働で活動しました。
地域で影響力のあるコミュニティのリーダーは、この取り組みが人々の意識をどのように変えたかを指摘しました。
「私たちは今、コミュニティとして、こうした取り組みの重要性を理解できるようになりました。このような活動を通して、ポリオの予防接種に対する信頼が築かれています。家族が自分たちも共に取り組んでいると感じられ、子どもたちが安心感を得られれば、予防接種に対する受容度は高まります。」
すべての子どもを守る
アニサちゃんにとって、地域に設置された活気あふれる予防接種会場へのたった一度の訪問は、生涯にわたって起こり得た苦しみから守られることにつながりました。お兄ちゃんであるラフウッラちゃんにとっても、喜びと安堵をもたらしました。そして、高リスク地区であるクエッタ市の住民にとっては、どこに住んでいようとも、すべての子どもが守られる未来への新たな一歩を象徴する出来事となりました。
日本政府の継続的な支援を受け、UNICEFはポリオワクチンを調達するだけでなく、これまで接種を受けられなかった子どもを含むすべての子どもたちたちにワクチンが確実に届き、効果的に接種が行われるよう、引き続き取り組んでいきます。