南スーダン:栄養不良と闘い、母乳育児を奨励するために最前線で働く栄養員たち

2021年8月8日 南スーダン発

UNICEF South Sudan
2021年8月08日
栄養員と母親。
UNICEF South Sudan/2021

栄養センターでは、栄養不良を治療ケアするための栄養治療食を提供し、母親に母乳育児のカウンセリングを実施しています。

2021年8月8日 南スーダン発

内気な母親は、授乳の頻度を尋ねられると顔を背けました。看護師から再び質問され、母語のディンカ語で質問に答える最中も、子どもは母親の腕にぐったりと横たわったままです。

「なるほど、それでは十分ではないですね。」アウェイル市のマルアコン外来治療プログラムセンターの看護助手、ウィニー・ディートさんが答えます。「他の食品と一緒に、もっと頻繁に母乳を与える必要があります。」ウィニーさんは、栄養センターの壁一面に貼られた、母乳育児の利点や乳幼児への食事の与え方について簡単なイラストが描かれたポスターを指さしながら話します。

診察に来た内気な母親は、20歳のアビヤック・ドゥットさん。ぐっすり眠っている生後14カ月のアワル・アドゥイルちゃんを抱いて、希望に満ちた瞳で下唇を噛みながらうなずいています。アワルちゃんはアビヤックさんの3人目の子どもで、家には6歳と3歳の子どもがいます。4週間前、アワルちゃんは重度の急性栄養不良と診断され、この栄養センターを紹介されました。「4週間前には6キロしかなかった体重が、今日測ったら7.2キロになっていました。」と、ウィニーさんは語ります。

過去3回の訪問では、アビヤックさんは、重度の急性栄養不良に苦しむ子どもたちの治療ケアに使用される、栄養価の高い、すぐに口にすることができる栄養治療食を毎週14袋ずつ受け取りました。この4週間でアワルちゃんの体重は少し増加しましたが、まだ十分ではありません。マルアコン栄養センターの看護師と地域の栄養員は、もっと頻繁にアワルちゃんに食事を与えるよう、アビヤックさんにアドバイスしています。

重度の急性栄養不良は、5歳未満の子どもにとって非常に深刻な状態です。治療しなければ、さらなる健康上の合併症を引き起こす可能性があります。下痢や肺炎などの病気と闘う体力や免疫力がないため、子どもが命を落とすこともあります。

10年前に独立して以来、南スーダンは食料不安と栄養不良が最も高い水準にあります。人口の約60パーセントが深刻な食料不足に陥っており、紛争や避難、大規模な洪水、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済的影響、貧困の増加などの複合的な影響で、多くの家族が十分に食事をすることができていません。

2021年、南スーダンでは、31万3,000人の5歳未満の子どもが、重度の急性栄養不良の影響を受けると推定されています。

若い母親のアビヤック・ドゥトさんに母乳育児の大切さを伝える、看護助手のウィニーさん。
UNICEF South Sudan/2021/Giri
若い母親のアビヤック・ドゥトさんに母乳育児の大切さを伝える、看護助手のウィニーさん。

さらに、食料が入手できたとしても、アビヤックさんのように多くの母親は、正しい授乳方法や既存の食料を使った栄養価の高い食事の作り方についての知識がありません。母親たちは学校に行けずに若くして母親になることが多く、10代前半で母親になることも少なくありません。経験が乏しく、家庭で簡単に実践することができる、母乳育児などの基本的な保健や栄養対策について知らないことが多いのです。

幸いなことに、重度の急性栄養不良は治療することができます。UNICEFは、栄養治療食や一般的な小児疾患を治療するための命を守る医薬品などの医療物資を、南スーダンの1,145カ所のセンターに供給しています。栄養センターで、アビヤックさんは再発防止を支援する栄養員のニボル・アワヤさんのカウンセリングも受けています。 ニボルさんは、手に入る材料で栄養価の高い食事を作る方法を説明します。そして、何もより大切なのが、母乳育児を続けることだと伝えます。

「多くの場合、問題は食べるものが十分でないことではありません。若い母親たちが、授乳の頻度や母乳育児を続けることの大切さを知らないことが問題なのです。」と、ニボルさんは言います。地域の栄養員は、栄養不良の子どもを見つけ、治療ケアを受けることができる栄養センターを紹介する訓練を受けています。さらに、子どもたちを苦しめ、栄養不良の原因となる下痢や感染症を防ぐために、清潔な水と衛生の重要性に関する情報も伝えています。

「今日、子どものために健康的な食事を作る方法を学びました。アワルには栄養治療食を食べさせて、母乳を与え続けます。来週また来るので、娘を診てください。」と、アビヤックさんは少し自信を持ったように語ります。

急性栄養不良との闘いには治療が重要ですが、UNICEFと保健省はまず第一に、栄養不良の予防に重点を置いています。栄養プログラムでは、このキャンペーンで実際に栄養支援を行う地域の栄養員の研修を支援しています。栄養員たちは、母親や養育者に適切な授乳や母乳育児の回数の増やし方についてアドバイスし、栄養不良を未然に防ぐ手助けをします。

世界母乳育児週間を記念して、保健省とUNICEFは多くのパートナーと協力し、母親や父親、政策立案者に、生後6カ月までの完全母乳育児と、子どもが2歳になるまでの母乳育児の継続を一丸となって推進するよう呼びかけています。

地域の栄養員たち。
UNICEF South Sudan/2021/Giri
マルアコン外来治療ケアセンターで、子どもたちの栄養不良の治療ケアと予防を行う地域の栄養員たち。

日本政府をはじめ、南スーダンの栄養プログラムにご支援を頂く、欧州委員会人道援助・市民保護総局(ECHO)や英外務・英連邦・開発省、米国国際開発庁、カナダ政府、中国国家国際発展合作署(CIDCA)に感謝申し上げます。

 

【関連ページ】

日本政府の支援による南スーダンでのUNICEF支援事業

 

2021年の活動報告・イベント一覧へ戻る