エリトリア:若者たちが起業家養成のための“アイデアスタジオ”のワークショップに参加
2019年8月13日 エリトリア発

2019年8月13日エリトリア発
UNICEFエリトリア事務所とエリトリア青年学生連合は、首都アスマラで若者のための起業家養成ワークショップを5日間にわたって開催しました。
スタートアップ企業を立ち上げたイノベーターを含む47人の若者が様々な州から集まり、ネパールのカトマンズ大学のルペシュ・K・シュレスタ教授の指導を受けました。参加者たちは、太陽光発電のデジタル図書館、省エネルギーな料理コンロ、環境にやさしい建設材、聴覚障がい者のための教育ソフトウェアや教育機会の提供、低コストで省エネルギーなノートパソコンなどの革新的なビジネスプランを提案しました。
“アイデアスタジオ”は2018年、エリトリアの国家開発省や情報省、青年学生連合、UNICEFエリトリア事務所、カトマンズ大学経営学部、アイデアスタジオ・ネパールによって共同設立されました。本プロジェクトは、人間の尊厳を取り戻すために知識創造や投資、社会的公正の促進を通じて社会革新を起こすことで社会変革を加速させることを目指し、日々進化を遂げています。

本ワークショップは、2019年の2月に行われたアイデアスタジオのハイレベル諮問フォーラムの後続イベントとして、起業家のさらなる育成とエリトリアでのアイデアスタジオ設立のために開催されました。人間中心設計思考や主要なマーケットリサーチ、アイデアの考案プロセス、顧客識別・分類、ハイレベルな商品の仕様設計、営業戦略と価値に基づくビジネスモデルの策定、ビジネスプランの売り込みなどに関する知識やスキルを提供しています。
かつて市の廃棄物管理事業にアイデアを提供していた土木技師のアスメイト・ハディッシュは、「従来のれんがは、れんがを固定する際にたくさんの熱が必要でした。一方、この環境にやさしいれんがは火山灰から作られており、より安価で過酷な気象条件にも耐久性があります。」と語りました。
このアイデアスタジオ事業は、若者を中心に据えた事業を支援するために2018年に日本政府によって提供された資金によって設立されました。

「5人に4人のエリトリア人は、薪に頼った生活をしています。従来のコンロと比較すると、私たちのデザインしたコンロに必要な薪はわずか25%。煙の吸入を減らし、女性や子どもの急性呼吸器感染症を減らします。」と、自身の会社において試作品のコンロを軍の駐屯地でテストしているキブロム・オバジィが語ります。
閉会の挨拶でエリトリア青年学生連合代表のサレ・アメディンは、「UNICEFとパートナーを組み、アイデアスタジオのモデルをエリトリアの若者のために導入し、彼らが地元の問題に対して革新的な解決策を生み出す手助けをしていきます。」と参加者に語りました。
2019年はじめにアイデアスタジオ運営マニュアルが作成され、エリトリアでアイデアスタジオを本格的に始動するためのロードマップや能力、リソース、システムについてまとめられました。
5日間のワークショップで参加者の指導を行ったシュレスタ教授は、「エリトリアの若者には、計り知れないポテンシャルを感じています。知識の創造や学習こそが、現状を変える唯一の手段です。自分自身を信じて、情熱の灯を絶やさないでください。あなたのアイデアを洗練させ、実行していってください。そして、いつかそれを現実のものにしてください。」と参加者にメッセージを送りました。
閉会式では、参加者全員が熟考の末に生み出した興味深いビジネスモデルに基づいたビジネスアイデアをグループで発表し、活気にあふれたものとなりました。
在エリトリア英国大使のアリスダー・ウォーカー氏は、「みなさんの情熱、知的好奇心、そして問題解決に向けた取り組みを心から誇りに思います。素晴しい団結力も兼ね備えているみなさんの今後の活躍に期待しています。」と話しました。
アイデアスタジオの最終的な目標は、ビジネスアイデアを生み出す、起業家精神を育てることです。アイデアスタジオのモデルは、地域のコミュニティが抱える様々な社会問題や課題に対し、イノベーターが革新的な解決策を生み出すことを可能にするでしょう。
UNICEFエリトリア事務所代表のシャヒーン・ニロファーは、「5日間のワークショップ終了後に若者から提示されたアイデアやビジネスモデルは非常に素晴らしいもので、まるで意欲的な未来の経営責任者たちと話をしているようでした。彼らは、自信に満ち溢れていて、明瞭で、地域の問題に対して価値観を大切に解決策を追い求める、将来有望な若者です。」と語りました。
ワークショップの閉会式では、全参加者に対して修了証書が手渡されました。
【関連ページ】日本政府の支援によるエリトリアでのUNICEF支援事業