日本政府が支えるスーダン・ダルフールの国内避難民への栄養支援
2017年1月18日 スーダン発
日本政府が支援するUNICEFのソートニーIDPキャンプにおける栄養支援事業。2016年1月から11月の間に5万6,992人の子ども達に重度の急性栄養不良の診察を行い、治療を行いました。また、妊娠している女性と授乳中の女性1万6,233人が推奨される乳幼児の食習慣についてカウンセリングを受けるとともに、生後6~59ヶ月の子ども5,740人がビタミンA補給を受けました。お母さんと赤ちゃんの命と健康を支えている事業の様子を、写真と共にご紹介します。

北ダルフール州のソートニー国内避難民(IDP)キャンプへ、薪集めを終えて戻っていく母親たち。ここソートニーIDPキャンプには4万3,000人の人々が暮らしています。そのうち60%が女性と子どもです。

ソートニーIDPキャンプにて、家庭訪問を実施するコミュニティ・ヘルスワーカー。重度の急性栄養不良にかかっている子どもは、UNICEFの支援する栄養センターで治療を受けます。2016年10月現在、UNICEFはスーダンの15州において1,165の外来治療(OTP)施設の設立を支援しました。

診察を受け、重度の急性栄養不良と診断された子ども。スーダンでは推定55万人の子どもが重度の急性栄養不良に苦しんでいます。スーダンにおける全急性栄養不良の割合は16.5%に達し、「危機的」な状況と区分されています。

重度の急性栄養不良と診断された子どもを持つ母親へフォローアップをするコミュニティ・ヘルスワーカー。コミュニティ・ヘルスワーカーは、コミュニティ・ベースの急性栄養不良対策(CMAM)プログラムにおいて非常に重量な役割を果たしています。コミュニティ・ヘルスワーカーは、栄養不良の子どもを見つけるため戸別訪問を実施し、子どもへ治療を受けさせていない人々に対してはフォローアップを行っています。UNICEFはこれまでに、スーダンの15州で2,500人以上のコミュニティ・ワーカーへトレーニングを行っています。

戸別訪問をしたコミュニティ・ヘルスワーカーが診断した重度の栄養不良の子どもに対し、OTPセンターで追加診断をするヘルス・ワーカー。戸別訪問に従事するコミュニティ・ヘルスワーカーに質の高いトレーニングを実施することにより、入院基準に満たないため追い返される子どもが出るリスクを減らすことができます。2016年には、20万9,351人の子どもが重度の急性栄養不良の治療を受けました。
ヘルスワーカーによる診断後、OTPセンターに入院した重度の急性栄養不良の子ども。2016年9月現在、UNICEFはスーダンにて追加で400のOTPセンターを設立しました。

重度の急性栄養不良から回復しつつある子どもに栄養治療食(RUTF)を食べさせる母親。RUTFには、エネルギー、たんぱく質、微量栄養素が豊富に含まれています。2016年、UNICEFは重度の急性栄養不良の子どもの治療のため、24万カートンのRUTFを調達しました。調達資金は、ソートニーIDPキャンプにおける栄養支援の一環として日本政府をはじめとするドナーより提供されました。

コミュニティ・ヘルスワーカーが、石鹸を使った手洗い、完全母乳育児、予防接種など家庭における大切な習慣について母親へ教育を行っています。本活動は、7州27地域でUNICEFが立ち上げたアル・シュッファ・アルソガール・コミュニケーション・イニシアティブの一部です。

ソートニーIDPキャンプのヘルスセンターで活動する妊娠中の女性、授乳中の母親、孫のいる女性から構成された母親支援グループは、完全母乳育児や適切な補完食について支援を行っています。スーダンの12州22地域で660の母親支援グループが作られています。

母親支援グループの会の活動で使用されるパンフレットとカウンセリング・カードは、UNICEFと保健省の協力で作られています。
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日本政府をはじめとするドナーからの寛大なご支援を頂きながら、UNICEFはパートナーとの協力のもと、引き続きお母さんと子どもを支援する活動を行っていきます。