ユニセフ議員連盟事業地視察報告① パレスチナ・ガザ編
2016年9月26日 東京発
ユニセフ議員連盟の輿水恵一議員と阿部俊子議員が、9月17日から23日までパレスチナ、イスラエル、およびヨルダンのUNICEF事業地を訪問する視察を行いました。まず二人が向かったのはパレスチナのガザ。パレスチナ・ガザ地区では、イスラエルとの衝突およびそれに伴う自治区の封鎖と移動の制限などにより、人々は限られた自由の中で暮らしています。2014年には紛争が51日間続き、戦火にさらされ心に傷を負っている子どもたちも多くいます。たった7歳の子が、3度の紛争を経験しているのです。
ファミリーセンターを訪問
両議員がガザで最初に訪問したのはファミリーセンターです。この地域は2014年の紛争において最も激しい砲撃を受け、地域の大半が破壊された場所です。必要な保健サービスや子どもたちが安全に遊べる場所が十分にないこの地域で、同センターは日本政府の支援を受けて、カウンセリングやレクリエーション活動、育児支援、読み聞かせのプログラムなど、約2万5,000人の保護者と約3万3,000人の子どもに対して包括的なサービスを提供しています。

上の写真は、お母さんが子どもたちに絵本の読み聞かせをしている部屋。子どもとの対話についてお母さんが学んでいます。

ここでは子どもたちが指人形を使って友達と一緒に想像力を駆使して遊んでいます。議員も子どもたちのお気に入りのキャラクターで指人形をして子どもたちと交流しました。笑顔で子ども達を見守る輿水議員は言います。「度重なる紛争で心身ともに傷ついた母親と子どもに会いました。彼らの安心と笑顔を取り戻すための、地道で誠実な活動が日本の支援で進められていることに心から感動しました」
お手本は戦後の復興を遂げた日本
次に訪問したのは、マジュダル女子中学校。全人口の38.1%が15〜19歳の青少年であるパレスチナ。この学校では女の子たちがチームワークやライフスキルを身につけ、クリエイティブに物事を考えることを学んでいます。

日本は、原爆を二回も体験し、第二次世界大戦で大変な思いをしたにも関わらず、それでも戦後復興を遂げて世界の経済大国になったのはなぜですか?」と、中等学校の女の子から質問がありました。輿水議員は、「確かに戦後、私たちの目の前にはがれきが広がっていました。でも、私たちはあきらめなかった。」と回答。「最初は出口が見えないようなときでも、私たちは決してあきらめずに、一人ひとりができることして一歩ずつ進んできました。そして、私たちは人に投資をしてきました。自然資源の乏しい日本では、人が何よりの財産なのです。」議員は、パレスチナも一緒だと女の子たちに訴えました。「今は光が見えないようでも、友達と協力し皆で力を合わせれば必ず出口は見えてくるはずです。」そう語りかける議員の言葉に、生徒たちは深くうなずいていました。

幼い命を救える力をくれてありがとう
保育器で眠る新生児を優しく見守る阿部議員。ここは、シファ病院の新生児集中治療室(NICU)です。同病院は、日本政府の支援を受けてガザで最高レベルの設備を整えたNICUを誇ります。2015年には2,300人以上の新生児の治療を行いました。日本の支援が入る前の設備は古く機能が乏しく、さらに保育器の数も限られていました。その当時の新生児死亡率は30%。それが、今ではなんと7%にまで下げることができました。「シファ病院の新生児集中治療室で、日本の支援がガザの新生児死亡率低下にもたらした効果を実際に目にし、深く心を動かされました。」と阿部議員。

病院のスタッフやUNICEF職員とともに、日本とUNICEFのロゴが入ったプレートの前で記念撮影。医師たちは、議員に向かって熱くこう語りました。「日本の支援を頂く前は、赤ん坊が死んでいくのをなす術がなく見守るしかなかった。でも今は、私たちが命を救えるのだという喜びを感じています。幼い命を救える力を私たちに与えてくれてどうもありがとう」
輿水議員はこう語ります。「病院のスタッフは自分たちの給与の入金が滞ることもあると聞いたが、そんな中でも日本の支援に感謝し生き生きと働くスタッフの姿に胸を強く打たれました。そして子どもの命を守るUNICEFの活動の尊さを痛感しました」

命の水を提供
次に訪れたのはガザ地域にあるヌセイラト難民キャンプ内の地下水淡水化プラントです。同キャンプがあるガザ沿岸部の地下水の95%は汚水、化学物質、海水を含むため飲み水には適していません。ガザの水危機への支援として、日本政府は淡水化プラントを設置しました。

これにより住民たちは以前よりずっと安い値段で水を購入することができるようになり、特に最貧困層の住民たちの負担は大きく減りました。安全で清潔な水が手に入るということは、子どもや家族を感染症などから守り、元気でいるために必要不可欠なことです。写真は淡水化プラントから出てきた水を試飲する阿部議員。
パレスチナではガザ地区の他に、エルサレム、ラマッラ、ベツレヘム地域を訪れ、各所で日本政府の支援を受けたUNICEFの事業を視察したり、パレスチナおよびイスラエルの要人と会談を行ったりしました。
パレスチナの訪問について(パレスチナ事務所発出のプレスリリース):