日本政府、フィリピンの台風被害に対し、UNICEFを通じた子どもたちへの緊急支援を実施

2013年11月21日 東京発

UNICEF
2013年11月21日
UNICEF

2013年11月21日 東京発

 

日本政府は、観測史上最大級とされる台風30号「ハイエン」(現地名「ヨランダ」)で甚大な被害を受けたフィリピンの子どもと女性を支援するため、400万米ドル(約4億円)の緊急支援をUNICEFを通じて実施すると発表しました。現時点で、被災した子どもは500万人以上、そのうち170万人が避難を余儀なくされたと推定される中、UNICEFはこの支援により、水と衛生、保健、栄養、教育、子どもの保護の分野で6ヶ月間の緊急支援活動を実施します。

UNICEFの現地報告によると、水や衛生のサービスは壊滅的な打撃を受け、安全な水の確保、供給が急務となっています。現時点で少なくとも47万棟以上の家屋が全壊し、トイレなどの衛生施設の破損も深刻で、殆どの水源が汚染されているため、感染症の蔓延が懸念されています。

これに対しUNICEFは、米国国際開発庁(USAID)やフィリピン軍と協力し、タクロバン市の水処理施設の完全復旧に貢献。市の人口の80%にあたる約27万人へ安全な水の供給を開始し、タクロバン市の3万ヶ所で給水が可能になりました。さらにUNICEFは、パートナー団体とともに、水質調査の実施、水道施設の修復、衛生キットの配布、給水所、移動式浄水施設、男女別トイレの設置といった活動を行っています。

避難を余儀なくされている子どもたちの栄養不良が懸念される中、UNICEFは急性栄養障害の子どもたちへの栄養治療食の供給や、ビタミンAなど子どもの命を守るために必須な微量栄養素の配布、家庭内で治療できる子どもたちの地域栄養障害治療センターの設置、緊急時の急性栄養不良に対応するための保健員の能力強化といった支援を実施します。また、予防接種キャンペーンを行うとともに、子どもの肺炎や下痢症などの病気を治療するため、緊急保健サービスを提供します。

日本政府、フィリピンの台風被害に対し、UNICEFを通じた子どもたちへの緊急支援を実施
UNICEF/NYHQ2013-1027/JEOFFREY MAITEM
瓦礫の中で子どもをあやす母親-タクロバン市

また、1,344棟の学校が倒壊したり避難所として使用されたりして、被災した子どもの大多数が学校に通うことができなくなっています。UNICEFは、仮設教室の設置や学習キットの配布などの活動を通じ、子どもたちが安全に遊び、学ぶことのできる場所を確保します。また、避難生活を強いられた子どもたちが直面している虐待、搾取、暴力、人身売買といった問題の予防や早期対応に取り組むとともに、家族と離別した子どもの登録や、家族との追跡・再会プログラムを実施します。

フィリピンの子どもたちに必要とされる支援の規模が日ごとに大きくなる中、UNICEFは国際社会に対して総額6,150万米ドル(約61億5千万円)の支援を求めており、今回の日本政府からの拠出金は、上記の活動を含むUNICEFのフィリピン緊急支援活動の一部として使われます。

 

UNICEF東京事務所の平林国彦代表は「日本政府、そして日本国民の皆様からフィリピンの被災した子どもたちのために、ボホール島の地震、ミンダナオ島での武力衝突に加え、この度の台風被害のご支援を頂戴し、心から感謝申し上げます」と述べ、「多くの子どもたちが、家を、家族を、そして学校や病院を失っています。今回の日本政府からの温かい支援は、そのような子どもたちの心に、必ずや安心と希望をもたらしてくれるでしょう」と話しました。

【関連ページ】日本政府の支援によるフィリピンでのUNICEF支援事業