タジキスタン:命を守るワクチン
2025年1月2日 タジキスタン発
2025年1月2日 タジキスタン発
赤ちゃんの柔らかな泣き声と、新生児をあやすザイナブ・アブドゥルロエヴァさんの優しい声。タジキスタンの首都ドゥシャンベにある第2産科病院では毎日、このような光景で一日が始まります。ザイナブさんはこれまで7年間、子どもたちにとって初めての、そして最も重要な予防接種を担当しています。「私がワクチンを接種する子どもたちの一人ひとりが、命を脅かす可能性のある感染症への小さな勝利を意味するものなのです。」次の赤ちゃんのためのワクチンを準備しながらザイナブさんが語ります。
彼女の手には、ワクチンの入った注射器だけではなく、何千人ものタジキスタンの子どもたちの健康的な未来が握られています。毎年、多くの赤ちゃんはザイナブさんの手によってケアを受け、彼女は子どもたちを危険な感染症から守っています。
「私が仕事を始めた当初は、多くの保護者たちが予防接種を恐れており、その重要性を理解していませんでした。しかし今、状況は変化してきています。母親たち自身が、自分たちの子どもを守りたいと、予防接種について尋ねてくるようになったのです。」と、ザイナブさんは近年見られるようになった予防接種に対する人々の考え方の変化を振り返りながら語ります。
タジキスタンと日本の長く力強いパートナーシップのおかげで、全国で100万人以上の子どもたちが、命を守る予防接種を受けることができています。この取り組みは、暮らしている場所に関わらず、子どもたちの健康や未来に悪影響を及ぼす可能性のある予防可能な感染症から子どもたちを守るために極めて重要な役割を果たしています。
「今では、国際的な基準に従ってワクチンを安全に保管できる近代的なワクチン用冷蔵庫など、赤ちゃんを守るために必要なものがすべて揃っています。」と、ザイナブさんが話します。
健康を守る近代的な技術
近年、タジキスタンにおける予防接種システムは飛躍の進歩を遂げています。日本政府からの資金協力により2022年に実施された「幼児期予防接種改善計画」では、32 万4,000回分のはしか、おたふく風邪、風疹の新三種混合ワクチンと、27万900回分のB型肝炎ワクチンが届けられました。これらの数字はただの統計ではなく、守られた子どもたちの命を意味します。
2人の子どもを持つヌショファリンさんは、長男が初めて予防接種を受ける際に抱いていた複雑な感情を鮮明に覚えています。多くの保護者と同じように、予防接種を受けることが自身の子どもの健康にとって正しい選択なのかどうか、疑問と不安を抱いていました。しかし現在の彼女は、予防接種が命を脅かす感染症から子どもたちを守るものであることだけでなく、より健康的で明るい未来への道を開いてくれたことへの感謝の気持ちと安心感を持って、当時を振り返ります。
ヌショファリンさんは、定期予防接種を終えたばかりの下の娘の手を引きながら、「当時の私は、インターネットで情報を調べたり、友達に尋ねたりして、予防接種のことをとても心配していました。しかし、ザイナブさんに出会った時から、私のすべての恐怖が消え去りました。彼女は、一つひとつのワクチンの重要性をくまなく説明してくれたので、疑問は残りませんでした。」と話します。
命を守る国際協力
日本政府は2005年より、タジキスタン政府とUNICEFと連携して、タジキスタンの子どもたちの予防接種を支援してきました。UNICEFの継続的な支援により、このプロジェクトを通じて、タジキスタンの100万人以上の1歳未満の子どもたちがプライマリ・ヘルスケア施設で必要不可欠な予防接種を受けることができました。過去3年間において、106万4,000回分のはしか、おたふく風邪、風疹の新三種混合ワクチンや、60万900回分のB型肝炎ワクチン、必要量の注射器、ワクチン保管用ボックスが、タジキスタン政府の予防接種センターを通して提供されました。
相木俊宏 駐タジキスタン日本国特命全権大使は、「この幼児期予防接種事業は、タジキスタンで暮らす100万人以上の1歳未満の子どもたちのために、予防接種で防ぐことができる感染症による子どもの死亡と罹患のリスクを大きく減少させてきた、大変意義深いものです。」と強調します。
その日の仕事を終えたザイナブさんは、「かつて私がワクチンを接種した子どもたちが健康で過ごしている様子を見る度に、私たちは重要な仕事をしているのだと実感します。」と語ります。明日もまた、新たに赤ちゃんと親たちがザイナブさんのもとを訪れ、命を脅かす危険な感染症への小さな勝利を掴んでいくことでしょう。
過去5年間にわたり、450万人近くのタジキスタンの子どもたちが、質の高い予防接種を受けてきました。これはただの統計上の数字だけではなく、守られた何千もの命や健康的な笑顔、そして保護者が抱く子どもたちの将来に対する自信を示すものでもあります。
ドゥシャンベにある第13小児総合病院で予防接種を行うディルバー・カリモファさんは、「保護者が私たちの病院を訪れて最初に目にするものは、笑顔だと思います。突き詰めれば、私たちは子どもたちを守るという重要な仕事をしているのです。私が最もやりがいを感じる瞬間は、保護者が2人目、3人目の子どもを連れてきて、それぞれワクチンがなぜ必要なのかということを正確に理解している時です。彼らは、上の子どもたちの様子を見て、予防接種の重要性を分かっているのです。」と話します。
健康的な子どもたち、喜ぶ保護者
「一つひとつのワクチンが、子どもを守る目に見えない盾のようなものです。そして、スケジュールに沿って決められた予防接種を受けさせる保護者たちは、子どもたちに健康という最も大切な贈り物をしているのです。」と、ディルバーさんが事務所の壁にかけられた色とりどりの予防接種カレンダーを指差しながら語ります。
予防接種が行われる近代的な部屋には、ワクチン保管用冷蔵庫や使い捨ての注射器、消毒された器具など、子どもへの安全な予防接種に必要なすべてのものが揃っています。ディルバーさんは、「私たちは、赤ちゃんと保護者ができるだけ快適に予防接種を受けることができるような環境を整えています。」と話します。国際的な協力を通じて、子どもたちのための近代的な予防接種施設の整備が可能となりました。
5歳と3歳の男の子の母親のファルゾナさんも、適切な時期に予防接種を受ける重要性を理解する多くのタジキスタンの保護者のうちの一人です。彼女は、子どもたちが予防可能な感染症から守られるよう、予防接種のスケジュールを注意深く確認しています。ファルゾナさんにとって、一つひとつのワクチンは、彼女の息子たちの将来が守られ、彼らが健康に成長し、世界に羽ばたく準備をするための一歩なのです。
次男が予防接種を受けている間、ファルゾナさんは次のように語りました。「私の子どもたちは、すべての予防接種をスケジュール通りに受けました。長男は既に幼稚園に通っており、次男ももうすぐ入園します。予防接種で息子たちが守られているということを知っているので、私は安心して過ごすことができます。」
命を守るワクチン
「母親たちが予防接種について尋ねてきた際に、私はいつも『子どもたちに自分の身を守る方法を教えていると想像して。』と声をかけます。道路の安全な渡り方や、熱いものに注意することを子どもたちに教えるのと同じように、予防接種を使って子どもたちの身体に危険な感染症から身を守る方法を教えているのです。」とディルバーさんは話します。
すべての子どもたちは、健康な子ども時代を過ごす権利があり、またすべての保護者が予防接種で子どもを守ることができます。適切な時期に受ける予防接種は、子どもたちの健康と喜びの笑顔をもたらす、未来への投資なのです。
ディルバーさんは、「一日の終わりには、私はより多くの子どもたちを守る手助けをしたのだと感じることができます。家族が下の子どもを連れて再び予防接種にやってきた時、また、子どもたちが健康的に成長した様子を目にした時、それが私たちの仕事の重要性を示す一番の証なのです。」と語ります。
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