パキスタン:洪水の被害を受けた人々に再び希望をもたらす、安全な飲み水

2023年3月22日 パンジャブ州(パキスタン)発

UNICEF Pakistan
2023年3月22日
パキスタン:洪水の被害を受けた人々に再び希望をもたらす、安全な飲み水
UNICEF/UN0805674/Sami Malik

2023年3月22日 パンジャブ州(パキスタン)発

「見渡す限り、あたり一面が水でいっぱいでした。でも、飲めるものはありませんでした。」12歳のメヘリーンさんが話します。

6カ月前、大洪水が彼女の村全体をのみ込み、彼女の家族を含めて約450世帯の人々が家を失い、お腹を空かせ、生きることで精いっぱいの日々を過ごしました。

メヘリーンさんは、パンジャブ州の中で最も大きな洪水被害を受けた地域の一つである、ラジャンプール県チトゥールで暮らしています。

自宅は水没し、両親と4人の兄弟と一緒に、道路の盛り土の上に設置された仮設テントに身を寄せました。ほとんどの道は洪水で流され、村には何週間も支援物資が届きませんでした。

洪水被害を受けた地域での仮設テント。
UNICEF/Pakistan/Shehzad Noorani

「暑くて湿度も高く、特に夜は怖かったです。食料はほとんどなく、飲み水は全くありませんでした。母は洪水の汚れた水を布でこして、薪で沸かしていました。それでも安全ではないことは分かっていましたが、その水を冷まして少しだけ飲んでいました。」

毎日、村の男の人たちは首まで水につかりながら、村に残っている食べ物を探していました。村で唯一の手押し給水ポンプは、洪水で壊れてしまいました。

「毎日、悪い夢を見ているようでした。もう二度と洪水が起こらないように願っています。」

ラジャンプール県のコミュニティは点在しており、パキスタンで最も貧しい地域の一つです。ほとんどの家族はこれまで何世代にもわたって、農作業の手伝いや日雇い労働者として働いてきました。

ラジャンプール県は、洪水以前から、安全な飲料水の不足が深刻化していました。ほとんどのコミュニティは地下水に頼って生活していましたが、安全ではなく、塩の味がしました。洪水で手押し給水ポンプや水路は完全に破壊され、さらに深刻な水不足に直面しました。県当局は安全な飲料水を提供するために給水システムを整備しましたが、残念ながら、すべての人の喉を潤すには十分な量の水の供給がありませんでした。

安全でない水と不衛生な環境が、栄養不良の大きな原因となっています。ラジャンプール県などの洪水の被害を受けた地域では、安全な飲料水の不足、栄養不良の増加、不適切な衛生環境により、子どもたちが病気や死亡の悪循環に陥っています。洪水から6カ月が経ち、150万人以上の男の子や女の子が深刻な栄養不良に陥っています。清潔な水と適切な衛生を確保できない限り、この数は増加し続けます。

子どもに栄養治療食(RUTF)を食べさせる女性。
UNICEF/Pakistan/Asad Zaidi

数週間後、ようやく洪水の水が引き、政府やUNICEF、支援機関が、メヘリーンさんの暮らすコミュニティに支援を行うことができました。

「道路が使えるようになるとすぐ、UNICEFは給水車による飲料水の供給を開始しました。」と、UNICEFパキスタン事務所緊急専門官のムハンマド・トフェール・カーンが語ります。

洪水から半年が経ち、人々は村に戻りました。しかし、自宅の再建に苦労し、依然として瓦礫の横にテントを張って生活しています。UNICEFは既に近隣の損壊した給水システムや多くの手押し給水ポンプの復旧を終え、すべての家庭に安全な飲料水を届けるための新しいパイプの整備を行っています。チトゥールにある損壊した手押し給水ポンプやパイプラインはまもなく復旧される予定になっており、それまでの間、人々は隣の村の水道から水を汲むことができます。

給水ポンプでバケツに水を汲む女の子。
UNICEF/UN0805690/Sami Malik

「新しい給水ポンプは、私の家のすぐ近くにあります。今では簡単に水を汲むことができます。」と、メヘリーンさんが語ります。

ラジャンプール県の安全な飲料水の給水システムの復旧は、UNICEFとパキスタン政府が協力して実施しました。

「古い給水システムは、すべて電気で稼働していました。しかし、農村部のコミュニティの人々にとって、高い電気代を支払うことは困難でした。そのため、電気で稼働する多くの給水システムは使用されないまま放置され、地域の人々は処理されていない地下水を使っていました。」と、パンジャブ州住宅都市開発局のラウフ・スンバル地域開発担当官が話します。「UNICEFが設置した新しい給水システムは、太陽光エネルギーで給水ポンプを動かします。そのため、これまで電気代の支払いに苦労していたコミュニティの人々は大きな経済的負担から解放されます。」

設置された太陽光パネル。
UNICEF/Pakistan/Fahad Ahmad

パキスタンは依然として災害が起こりやすい国であり、将来、大規模な自然災害が子どもたちに被害をもたらす前に、備えが重要です。今後起こり得る洪水の被害を防ぐため、新しい給水システムや手押し給水ポンプは高台に設置され、太陽光パネルは柱の上に取り付けられています。

給水システムの復旧に、人々は大喜びです。特に家族のために水汲みを任されることが多い女性や子どもたちにも、安堵の表情が見られます。

コップに水を注ぐ女の子と、その横に座る女の子2人。
UNICEF/UN0805672/Sami Malik

「いとこと一緒に給水ポンプに行って、バケツに水を汲んでいます。必要なだけ、たくさん。この水は甘くて、きれいなの。」メヘリーンさんが笑顔で話します。

日本政府を含む様々なドナーのご支援のもと、ラジャンプール県の39の損傷した給水システム、45の小規模太陽光発電給水システム、20の太陽光発電浄水場の再建と修復が行われました。また、10カ所の地表水処理池が作られており、洪水の被害を受けた200のコミュニティの手押し給水ポンプが修復されました。

この支援により、ラジャンプール県の洪水の被害を受けた地域に暮らす30万人以上の人々が、安全な飲料水にアクセスできるようになりました。

 

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