シリア:診療所の修復で、命を守る保健・栄養サービスをより身近に
2023年5月25日 ホムス郊外・タルダハブ(シリア)発
2023年5月25日 ホムス郊外・タルダハブ(シリア)発
「この診療所の状況は、悲惨なものでした。窓もなく、冬の間はだれも診察に来たがりませんでした。」ホムス郊外の北西に位置するタルダハブ町にある診療所の所長を務める、ルアイ・ハイファさん(50歳)が話します。
ルアイさんの診療所は紛争で大きな被害を受け、2011年に閉鎖されました。紛争の収束後、2018年に診療所が再開されましたが、極めて限られた保健ケアしか提供することができていませんでした。サービスが悪く、設備も限られていたため、多くの家族は積極的に診療所を利用していませんでした。「人々は、民間や地元の慈善団体によって資金提供や運営されている施設を利用したがっていました。」と、ルアイさんが語ります。
2023年2月、UNICEFが被害を受けた保健センターの修復支援を開始しました。この支援には、太陽光発電システム、給水タンク、給水ポンプの設置も含まれています。稼働していなかった給水設備も利用できるようになり、新しい窓が設置されて、損壊していた床の修繕も行われました。
修復作業は3カ月で完了し、2023年5月に診療所のすべてのサービスが再開されました。現在この診療所は、同地域の4つのコミュニティに暮らす2万5,000人にサービスを提供しています。
「診療所は利用しやすく、無料で基本的な保健や栄養に関するサービスを提供しています。」と、ルアイ ・ハイファ 所長が話します。
ルアイさんは、この診療所によって、コミュニティのぜい弱な人々が多くの恩恵を受けていると言います。「この地域の家族たちは、日々の生活のニーズを満たすのもやっとの状態です。民間の診療所で診察を受けたり、交通費を払って無料でサービスを提供している遠くの病院まで子どもたちを連れて行ったりすれば、家計がひっ迫してしまうのは明らかです。」
修復後、この診療所では、検査や保健相談、子どもの定期予防接種、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防接種、栄養ケア、母親を対象とした乳幼児の食事の与え方に関するカウンセリング、歯科サービス、ネブライザー(吸入器)治療、外来サービス、性と生殖の健康に関するサービスなどの、一連の保健と栄養に関するサービスを提供しています。
「この診療所に来るのが好きです。」妊娠中の妻と3人の子どもを連れて定期的に診療所を訪れる男性が語ります。「とても良いサービスを受けられます。太陽光システムで電気も通っていますし、民間の検査機関を探さなくても、妊娠中の妻や子どもたちをここに連れてきて、検査を受けさせられますから。」
「この診療所こそ、まさに私たちが必要としているものです。近くで保健サービスを受けられるのですから。近所にこの診療所があるので助かっています。」と、施設の利用者が語ります。
2022年1月から2023年5月、UNICEFはシリア全土で、被害を受けた22の保健・栄養センターの修復を行いました。これらのセンターで、UNICEFは100万人以上の人々に基本的な保健と栄養サービスへのアクセスを提供しました。これらの活動は、日本政府による資金協力とUNICEFの人道支援に対する拠出金によって可能となりました。
【関連ページ】日本政府の支援によるシリアでのUNICEF支援事業