カンボジア:コロナ禍もその後も、子どもたちが守られた環境で暮らせるように
2021年12月17日 カンボジア発
2021年12月17日 カンボジア発
子どもたちは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重大な健康被害を受けるリスクは低い一方、パンデミックによって最も深刻な影響を受けています。教育は中断され、何百万人が貧困に陥りました。そして、身体的な健康や栄養、メンタルヘルスなど、多くの影響が及んでいます。調査によると、親の失業や経済的な困難、ストレスなどが原因で、子どもへの家庭内暴力のリスクも高まっています。
12月2日、カンダール州のサアン地区で開催された前向き子育て教室で取り上げられていたのが、このような子どもに関する問題でした。2021年、村のホールに集まった30人の地域の親たちを含め、カンボジア全土で1万人以上が研修を受けました。親たちは「地域の女性と子ども委員会」の専門家トレーナーとともに、家庭生活の課題に前向きに対応する方法を探し、模索しながら、パンデミックの影響を受ける子どもたちに支援を行いました。
「前向き子育て教室には、これまでに3回参加しています。」ソエウン・ショーンさんが話します。「私自身、本当に大きな変化がありました。以前は、子どもの言うことに耳を貸しませんでした。時々、力づくでしつけをすることもありました。でも今は、話し合って問題を解決することを学びました。子どもたちがいたずらしたり、反論することは普通のことで、子どもらしい一面であることにも気づきました。厳しい罰を与える必要などないのです。」
UNICEFは5年以上にわたって、前向き子育て教室を支援しています。このプログラムは、UNICEFの支援や女性省や社会問題・退役軍人・青少年更正省のリーダーシップのもと、カンダール州の現地当局によって計画・実施され、パートナーNGOが各セッションを担当しています。これらの活動は、カンボジアにおけるUNICEFの子どもの保護の重要なパートナーである、日本政府の資金協力で実施することができました。日本とのパートナーシップは2019年に始まり、予期せぬパンデミックの発生によってリスク要因が増加したことで、プロジェクトの重要性がさらに証明されました。2021年3月、日本政府とUNICEFはパンデミック時やパンデミック後の子どもに対する暴力の減少と防止に焦点をあてた、新たなパートナーシップを締結しました。
三上正裕 駐カンボジア王国日本国特命全権大使は、UNICEFと社会問題・退役軍人・青少年更正省の職員と支援現場の視察を行い、カンダール州の子どもの保護担当者に話を聞き、前向き子育て教室を訪問しました。三上大使は、「パートナーであるカンボジア政府が、子どもたちを守るために、非常に効果的に系統立った取り組みを行っていることに感銘を受けました。地元の評議会などの既存の仕組みを活用しながら、NGOやUNICEFと協力して、子どものためによりよい環境を整えるための取り組みが行われています。このような活動を支援できることを誇りに思います。」と語りました。
日本とのパートナーシップにより、カンボジア中で子どもの保護システムが大幅に強化されました。暴力を予防するための「カンボジア・プロテクト・キャンペーン」では、1,000万人の子どもや親、養育者、コミュニティの人々に支援を行いました。さらに、963人の政府職員と社会サービス担当者が、子どもに対する暴力の予防と対応に関する研修を受けました。
パンデミック時の子どもの保護は、孤児院などの児童養護施設に暮らしている、または以前暮らしていた子どもなど、最もぜい弱な子どもたちに重点的に支援が行われます。カンボジアでは、9,000人以上が依然として施設で暮らしており、これらの子どもたちは身体的・精神的な健康が脅かされるリスクが高まっています。近年、社会問題・退役軍人・青少年更正省はできる限り多くの子どもを施設から家族のもとに戻す再統合に力を入れるようになりました。
数年前、シングルマザーのソパニー・グオンさんは、自宅で生活するよりも子どもたちがより良いケアや教育を受けられると信じて、3人の子どもたちを施設に預けることを決めました。「ずっと貧困に苦しんでいたので、私には子どもたちを学校に通わせることができないと思いました。子どもに受け継げるものはありません。教育だけが、子どもたちがより良い人生を送るための力になるのです。」
カンダール州子どもの福祉事務所のソティー・サッさんは、「私自身苦労をして育ったので、同じような経験をする人をなくすための力になりたいのです。別れを望む家族など、めったにいません。状況によって、そうせざるを得ないのです。ですから、私は家族の再統合を全面的に支持します。ソパニーさんの子どもに対する熱意、特に子どもの教育に対する献身的な姿勢には、いつも感心しています。」と話しました。
ソティさんはソパニーさん一家が家族の再統合に適しているケースと判断し、再び一緒に暮らすことができるよう、麺のお店の立ち上げなど、家族への継続的な支援を行いました。そして4年前、子どもたちは自宅に戻ることができました。サクセスストーリーではあるものの、特にCOVID-19のパンデミック時など、その過程には困難も伴いました。ソパニーさんの主な顧客は学生や工場労働者だったため、何カ月にもわたって学校や工場が閉鎖された際には大きな打撃を受けました。そのため、緊急的な支援も提供されました。「二人の子どもたちは仕事を手伝いたいと言ってくれましたが、断りました。学校をやめてほしくなかったんです。子どもが学校を中退しなくてはいけなくなることを、一番心配していました。これは母親である私が解決する問題だと、子どもに伝えました。大変でしたが、乗り越えることができました。そして今、一番上の子どもがもうすぐ期末試験を受けて、家族で初めて高校を卒業します。息子を誇りに思います。」と、ソパニーさんが話します。
UNICEFカンボジア事務所代表のフォルー・フォヨザットは、「暴力を受けた子どもたちへの専門的な思いやりのある支援を提供することは、強固な子どもの保護システムの極めて重要な要素ですが、まず、暴力が起きないように予防することが望ましいのです。」と語ります。「UNICEFは社会問題・退役軍人・青少年更正省と協力して、安全な家庭でのケアを優先する国の子どもの保護基準を策定し、子どもたちの家庭環境をできる限り安全で愛情溢れるものにするための研修を支援できたことを大変誇りに思います。長期的な子どもの保護に対する支援に加え、パンデミック時にさらにその支援を拡大してくださった日本政府に、心よりお礼申し上げます。」
ソパニーさんは、自分で子どもたちを養い、守る機会を得ることができたことが嬉しいと言います。「夕方家に帰ったときに子どもたちがいるということは、とても素敵なことです。それに、子どもたちが暑がっていないか、寒がっていないか、おなかが空いていないか、自分ですぐに確認できますし、母親として子どもたちを助けてあげることもできますから。」
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