イラク:長年の破壊を受けた街に、ワクチンが希望をもたらす

2021年10月11日 モースル (イラク)発

UNICEF Iraq
2021年10月11日
サアドさんとその家族
UNICEF Iraq/2021/Carlo

赤ちゃんの健やかな成長と発達を願い、予防接種を受けさせる父親の物語

2021年10月11日 モースル(イラク)発

2014年にイラクのモースルで暴力が激化して以降、60以上の保健施設が繰り返し攻撃を受け、子どもや家族への基本的な保健サービスへのアクセスが著しく妨げられました。2018年、暴力が収束した後でも、モースルと周辺地域で暮らす75万人の子どもたちが基本的な保健サービスを受けることは困難でした。ニナワ県では、保健施設の10パーセント未満しか完全に機能していなかったのです。

過激派組織によって地域が占領されている間、サアドさんは家族と一緒にモースルで暮らしていました。「過激派組織が去った後、モースルの状況は元に戻りましたが、その後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が街を襲いました。多くの人が職を失い、たくさんの店や市場が閉まり、モースルの経済に影響を与えました。」とサアドさんが語ります。そして、保健サービスへのアクセスも困難になりました。現在は徐々に保健施設が再開され、人々の間に希望が戻りつつあります。

モースルのアル・ミス保健センターの込み合った廊下で待つ多くの家族のなかに、サアドさんと妻のノーラさんの姿が見られました。彼らは、赤ちゃんのセドラちゃんの5回目の定期予防接種のために病院を訪れていました。

「すべての親に、子どもの免疫力を高めるために、ワクチンをスケジュール通り、遅れることなく接種するように勧めます。病気を予防することにもなります。」とサアドさんが語ります。

セドラちゃん
UNICEF Iraq/2021/Carlo

過激派組織から解放された地域の保健サービスを再開させるイラク政府の取り組みを支援するため、UNICEFとパートナーは、子どもと家族が健康的に暮らし、生活を再建することができるように、重要な保健サービスを提供するプライマリーヘルスケア施設を支援し続けています。これには、質の高い産前・産後ケアや成長検査、栄養カウンセリングのための機材の提供や研修の支援、母乳育児の促進、避難民や難民のための定期予防接種への資金の援助などが含まれています。また、UNICEFは予防接種担当者の研修やリスクコミュニケーション、コミュニティの動員、物資の調達、遠隔地で暮らす家族のワクチンへのアクセスの改善などを通じて、イラクにおけるCOVID-19ワクチンの展開を支援しています。

 

予防接種の用紙
UNICEF Iraq/2021/Carlo

サアドさんは赤ちゃんの診察を待っている間に予防接種の用紙を取り出し、セドラちゃんの予防接種の予定表を見せてくれました。「今では、保健サービスにアクセスできるようになりました。保健センターに行くと、予防接種の日程が記載された予定表をもらえます。」サアドさんは、予防接種のスケジュールを守ることの大切さを語ります。「子どもたちが学校に行くとき、予防接種を受けたことを証明するためにこの用紙を持っていかなくてはいけません。とても大切なことです。娘が6歳になるまで、すべての予防接種を続けさせますよ。」

保健センターの様子
UNICEF Iraq/2021/Carlo

セドラちゃんのような子どもたちが定期予防接種がきちんと受けられるようにし、COVID-19のワクチン接種を支援するため、日本政府の資金援助を受け、UNICEFはパートナーNGOであるピースウィンズ・ジャパンと協力して、モースルとドーホクに、COVID-19のワクチンを含む、ワクチンを保管するための温度管理された倉庫を建設しました。サアドさんが通う保健センターは、モースルに新設されたワクチン貯蔵庫の隣にあります。

この倉庫は、イラクのワクチンのサプライチェーンをさらに効果的に管理するために役立てられます。サアドさんのような家族は、すぐにこの倉庫の恩恵を受けることができるでしょう。これは、定期予防接種とCOVID-19ワクチンの両方において、ワクチンの入手や効果に良い効果をもたらします。

「ノーラも私もCOVID-19ワクチンの接種に登録しました。今はいつ接種できるか、連絡を待っているところです。」(サアドさん)

セドラちゃん
UNICEF Iraq/2021/Carlo