ガーナ:保健ケア施設から職場まで、栄養価の高い食事の推進

2021年9月30日 ガーナ発

UNICEF Ghana
2021年9月30日
産まれたばかりの赤ちゃんを抱くメムナ・ハルナさん。
UNICEF Ghana/2021

2021年9月30日 ガーナ発

「妊娠から出産まで、母子健康手帳はとても役に立ちました。」メムナ・ハルナさんが産まれたばかりの赤ちゃんに授乳しながら話します。「母子健康手帳には、どのような食事をとるべきか書いてありますし、とても分かりやすく、家族全員のためになる情報を得ることができます。私にはもう一人、4歳になるユスフという息子がいますが、息子にとっても役立つ情報が載っています。」

メムナさんが産後クリニックで助産師との面会の順番を静かに待ちながら会話をしている間、生後たった1日の赤ちゃんは、母親の胸にしっかりとしがみついていました。メムナさんは、タマレ中央病院の産後クリニックとして使用されている、短く狭い廊下に座って新生児を抱いている、6人ほどの女性のうちの一人でした。

「この病院にはスペースが足りていません。患者数に対応するために、場所の確保に取り組んでいます。」と、病院の医療部長であるマハマドゥ・アンビニワヤ医師は話しました。

タマレ中央病院では年間約5,000人の赤ちゃんが産まれ、瘻孔の手術など、より複雑な外科手術の紹介先病院にもなっています。母親と新生児ケアへの高い需要に加えて、地域における訓練を受けた医療従事者の離職率が高くなっていることから、この病院では、母親と子どもたちへの最善のケアと栄養や福祉全般に関する適切なアドバイスの提供が課題となっています。病院は混雑し、困難な状況に直面しているにも関わらず、診察に訪れる親たちが、赤ちゃんや幼い子どもの適切な栄養習慣についてきちんと理解していることは明らかです。

これは、日本政府とUNICEFの支援によって、ノーザン州のすべての郡を含む、9つの州と80の郡に母子健康手帳が導入され、その利用が拡大されたことも一因となっています。

母子健康手帳を頻繁に利用することで、妊婦と新生児から5歳までの子どもの保健や発達、栄養など、総合的な福祉に関する情報をより体系的に管理することが可能になります。一般的には「赤い手帳」と呼ばれている母子健康手帳は、ノーザン州の病院や保健センターで日常的に利用され、母親や保健員から好意的に受け止められています。

母子健康手帳を持つペイシェンス・パルクさんと、息子のエンフラム・アグバレーくん。
UNICEF Ghana/2021/Buta 母子健康手帳を持つペイシェンス・パルクさんと、21カ月になる息子のエンフラム・アグバレーくん。

「今は、私と子どもの両方に関する情報が載っている手帳があります。」セブンスデー・アドベンチスト病院が毎週行っている子どもの福祉クリニックで、37歳のペイシェンス・パルクさんが、21カ月になる息子のエンフラム・アグバレーくんの体重測定の順番を待ちながら話します。「上の息子のときは、私のものと息子のものと2冊ありましたが、今は一冊ですべての情報を管理できるので、とても便利です。」

セブンスデー・アドベンチスト病院の栄養士のマイケル・メンサーさんは、「子どもが問題を抱えていて、母親の病歴を確認したいとき、今はすべての情報が一冊に記載されているので非常に便利です。」と話しました。

「そうですね、すべての情報が一冊に載っているので、家に帰っても、息子の健康について、夫とより詳しい話をすることができます。」と、ペイシェンスさんが付け足します。

キャンペーンの様子。
UNICEF Ghana/2021

「正しい食事を正しく始めよう―生まれてから2歳まで」キャンペーン

分かりやすい情報を提供する母子手帳の取り組みは、「正しい食事を正しく始めよう―生まれてから2歳まで」キャンペーンの開始によって、さらに強化されました。このキャンペーンは2020年8月にガーナ大統領夫人によって立ち上げられました。世界保健機関(WHO)とUNICEFの支援を受けて、ガーナ保健サービスが主導しており、母乳育児と幼い子どもの食生活の質の向上を目指しています。

このキャンペーンは、ガーナの全16州で展開されています。ノーザン州保健総局は保健施設に対して、子どもたちが健全な発育のために良いスタートを切り、将来的な栄養不良や肥満の潜在的な影響を軽減することができる、生まれてから6カ月間の完全母乳育児と、生後6カ月から2歳の母乳育児の継続と健康に良い食事(果物や野菜、主食、種子、動物由来の食品で構成される健康な食事)を積極的に促進する、「正しい食事を正しく始めよう」キャンペーンを取り入れるように勧めています。ガーナでは、完全母乳育児を行う母親の人数が2014年の53%(人口保健調査の数値)から、2017年には43%(2017/2018複数指標クラスター調査の数値)まで減少しており、このキャンペーンは特に重要な意味を持っています。

スレマナ・ナジャトさんと生後20カ月のアムジャドくん。
UNICEF Ghana/2021 スレマナ・ナジャトさんと生後20カ月のアムジャドくん。

タマレ中央病院の栄養士のスレマナ・ナジャトさんは、コミュニティのためだけでなく彼女自身のためにも、このプログラムを広めています。スレマナさんは、病院の多忙な子ども福祉クリニックで患者に対応しながら、生後20カ月になる息子のアムジャドくんをあやしています。「子どもには多様な食品を食べさせるようにしています。」と、スレマナさんが話します。何が原動力になっているのかと尋ねられると、「私の最も重要な役目は、子どもの世話をすること、そして、母親が子どもに人生の最良のスタートを与えられるようにサポートすることです。」と答えました。 

保健施設から民間セクターまで

多くの人がスレマナさんと同じ志を持っています。保健施設だけでなく、多くの民間企業も、このキャンペーンへの支援を誇らしく掲げています。国立銀行であるガーナ商業銀行と保証信託銀行のタマレ支店は、赤ちゃんにやさしい職場環境を整えるために、職員のための授乳室を設置する計画を立てており、産休から戻ったばかりの母親には、勤務時間の短縮と十分な授乳時間の確保を積極的に推奨することで、職員への支援を行うことを約束しています。これらの銀行では、本部からの許可が下り次第、この計画をさらに進めるための準備が整っています。保証信託銀行のオペレーション・マネージャーであるダニエル・アコルビラさんは、「まだ議論を重ねている段階ではありますが、職場に授乳スペースがあることで、職員の生産性が向上することが分かっています。赤ちゃんは不規則なタイミングで授乳が必要になるため、新生児を持つ母親は授乳のために一旦家に戻り、また職場に戻ってこなくてはいけないことがあります。職場に授乳スペースがあることで、生産性の高い時間を増やすことができます。」と話しました。

キャンペーン展開の様子。
UNICEF Ghana/2021

ノーザン州は、キャンペーンの実施と母子健康手帳の継続的な活用によって、完全母乳育児と健康的な食事の減少傾向を増加に転じさせる、確固たる決意を持っています。ガーナ保健サービス・ノーザン州事務所は、妊娠から新生児、そして10代の若者の健康まで、子どもの一生を通じた適切な栄養の促進に取り組んでおり、より健康的で豊かなガーナの家族やコミュニティ、地域への道を開く、栄養分野における前向きな兆しを目にすることができます。


 

【関連ページ】

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