南スーダン:命をつなぐホットライン

2020年11月5日 アウェイル (南スーダン)発

UNICEF South Sudan
2020年11月05日
女性のための支援センターで電話で会話するローラさん
ARC/Lual Deng

2020年11月5日 アウェイル(南スーダン)発

また、黒い携帯電話が鳴り始めました。以前は週に2~4回の入電しかなかったホットラインに、今では1日に2、3回の電話が入ります。高いデジタル着信音が止まりました。

「多くの人は、電話をかけるお金がありません。これは、電話をかけ直してほしいというサインです。」と、ローラ・アブク・アジャンさんが語ります。ローラさんは、ジェンダーに基づく暴力のホットラインを運営している、アウェイルにある女性のための支援センターでケースワーカーとして働いています。

「以前は、女性たちはセンターを訪れて助言やカウンセリングを受けたり、適切な支援機関に紹介してもらうことができました。しかし、それも新型コロナウイルス感染症で変わってしまいました。」と、ローラさんが語ります。

南スーダンではセミロックダウンが導入され、センターに行くための交通手段がなくなってしまったため、ジェンダーに基づく暴力を受けた女性たちが支援を受けることがさらに困難になりました。そして公共交通機関の再開後には、運賃が高騰していました。支援センターに到着しても、新型コロナウイルス感染症予防のための規制で、センター内に滞在できる人の人数にも制限があります。

より多くの女性にセンターのことを知ってもらえるよう、UNICEFの支援でホットラインを運営するパートナー団体は、ホットラインの電話番号を印刷して、プライマリー・ヘルスケア・センターや栄養センター、協会やモスクなどの公共施設で配布しました。そしてこのホットラインは、多くの女性たちにとって命の綱となりました。

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ARC/Lual Deng
アウェイル の支援センターで電話を受け取るローラさん

「パンデミック以降、精神的虐待の件数が日々増え続けています。」パートナー団体のジェンダーに基づく暴力のシニアプロジェクト担当官のルアル・デンさんは、多くの男性たちが新型コロナウイルス感染症で仕事を解雇された不満を妻にぶつけていることが、虐待件数の急増の一因であると語ります。

虐待の多くは夜中に発生するため、ホットラインは24時間運営していますが、ほとんどの電話は昼間にかかってきます。

「女性たちは、虐待の後や、耐え難い状況があまりにも長く続いたときに電話をかけます。一人のときや、誰も支えてくれる人がいないとき、勇気を振り絞ったときに、受話器を取るのです。精神的な暴力や殴打、レイプなど、さまざまな事例がみられます。たとえ実際には遠く離れていても、できるだけ被害者に寄り添うようにしています。」とローラさんが語ります。

この仕事が好きだと語るローラさん。しかし、支援が必要なすべての女性たちをサポートできないことに、課題を感じています。「アウェイル郊外のいくつかの地域は電波が弱くて電話することができず、センターに来ることもできません。」

加害者の多くは身近な人たちであることから、虐待に関わっている人を打ち明けることを躊躇する人たちもいるため、対応が難しくなります。また、ローラさんは、加害者が暴力的な場合に極めて重要な、安全に身を寄せる場所が必要だと考えています。

「地域の人々、特に女性の力になれることが嬉しいです。問題を抱えている人たちを支援し、解決へと導くことができるのですから。」ローラさんはそう語ると、法的支援を紹介した事案について説明しました。「今日、問題が解決したと電話がかかってきました。嬉しいです。」

UNICEF南スーダン事務所は、このような国の数カ所にある女性と女の子のための支援センターをサポートしています。これらのセンターは、アウェイルの女性たちが必要とする支援を提供しているだけではありません。センターはジェンダーに基づく暴力の被害者を含む女性たちが助けを求めるための重要な入り口となり、必要に応じてより専門的なサービスを紹介することができます。さらに、女性たちはジェンダーに基づく暴力の防止や社会的結束、平和構築に関するUNICEFのプログラムの重要な情報源にもなっています。

UNICEFのジェンダーに基づく暴力のプログラムは、日本政府や米国国際開発庁、国連平和構築基金、ドイツ復興金融公庫を通じたドイツ政府などの支援で実施されました。