カメルーン:アウア13歳、すべての子どもたちが手にすべき家庭を夢見て
2019年10月8日 カメルーン発
ロゴーヌとチャリに位置する小さな村、ウルーフの灼熱の太陽の光を遮る木の下で、多くの子どもたちが集まり、楽しい活動に熱中しています。指導員から出されたお題は、自分が将来ほしいものを表す何かを想像し、その特徴を粘土で芸術的に表現することです。
たくさんの作品が制作されましたが、小さなアウアが一人で少し困惑し、芸術性という側面を掴みきれていない様子には気づかずにいられません。「子どもにやさしい空間」で指導員からアドバイスや励ましをもらって数分、彼女の作品が完成しました。3つの大きな石に支えられたポットが焚き火にかかっており、その横にはカトラリーと一枚のお皿があります。
この作品が彼女にとって何を意味するか気になってたずねると、彼女はこう答えました。「子どもがご飯を食べて保護されるためには、家が必要です。自分がほしいものを作りましょうと言われた時、私は家族揃って過ごした時間を思いました。私たちは何も失っておらず、母は自分のキッチンで私たちにご飯を作ることができ、飼い犬もいました。紛争ですべてを置き去りにしてきた今の私たちには、難しいことです。」彼女は少し悲しそうに、それでもかすかな希望を持った様子で言いました。
「子どもにやさしい空間」でこの創造的な活動をした他の多くの子どもたちと同様、アウアは難民です。ナイジェリアのバンキ出身である彼女は、2015年に家族とともに自宅から避難し、300km離れたカメルーンの小さな村、ウルーフに避難しました。アウアは「とても辛くてトラウマ的な時」を経験したと言います。そしてここウルーフで、アウアは母親や兄弟たちとともに、カメルーンの最北端にある難民や避難民のためのコミュニティーを見つけました。かつて、銃声に追い立てられるようにして兄弟たちとベッドの下へぎゅうぎゅう詰めにもぐり込み、「私たちの命を守って」と必死に願い、意識が朦朧とする中、「朝が来ますように、それまで私たちが皆生きていますように」と祈り続けた夜のことを、彼女は今でも覚えています。
日本政府からの支援により、UNICEFはパートナー団体を通じて、ボコ・ハラムの暴力によるトラウマに苦しむアウラを含む10歳から14歳の子どもたちを特定し、「子どもにやさしい空間」での活動を通して心理社会的支援を行っています。子どもたちのために作られたこの安全な空間で、プログラムに登録したアウラとその他の400人の子どもたちは3カ月にわたって週に4回以上、幅広いテーマに関するレクリエーションや遊びを交えた教育のクラス、感覚を高めるセッションなど、様々な活動に参加しています。これらの活動は、子どもたちの中で連帯感や平和的な社会的結束の概念を発達させるとともに、武装集団への参加や誘拐を防ぎ、違法薬物を遠ざけ、出生証明書の重要性を伝え、悪い仲間と付き合わないようにし、暴力や搾取を防ぐことに貢献しています。
今、アウアは人見知りをしなくなり、4年前の生活がなお尾を引いていたとしても、より充実感を覚えています。「以前は友達がいませんでした。多くの人たちがいる中で座ってるのは好きではなかったし、自分自身を表現することができませんでした。でも今は、他の人と遊び、指導員やソーシャルワーカーからアドバイスを受けるために、この『子どもにやさしい空間』に来る機会を一度たりとも逃したくないです。ほとんど普通の生活が送れるようになって、自分が周りの役に立っていると感じます。」と、彼女は言います。
子どもたちのための守られた環境で行われたプログラムのおかげで、アウラは学校での感覚を取り戻しました。しかし、母親が家族を養うのを助けるため、彼女は水を売りに行かざるを得ません。将来、普通に学校に通い、家族や子どもたちを養うために大きなキッチンのある家を建てたいとアウラは考えています。
【関連ページ】日本政府の支援によるカメルーンでのUNICEF支援事業