ニジェール:すべての子どもたちが学校に通えるように
2019年2月25日 ニジェール・ディファ州発
2019年2月25日ニジェール・ディファ州発
試験の始まりと共に、アミア先生が教室のドアから子どもたちを遠ざけました。それでも教室の外にいる子どもたちは、中で何が起こっているか気になって仕方がない様子で、ドアや藁でできた壁の隙間から中の様子を覗き見ます。子どもたちへ注意を終え、教室の生徒たちのもとを振り返ったアミア先生の顔には笑顔が戻ります。子どもたちへの愛情がはっきりと感じられた瞬間です。「子どもたちのことが心配です。ここで3年間の勉強を終えた後、彼らはどうするのでしょう?彼らの未来にどんな選択肢や機会があるんでしょう?」とアミア先生が打ち明けます。
ディファ州のような最も複雑な状況下でも、教員たちはニジェールの未来の世代を築くために力を注いでいます。世界の平均識字率は86%に上るなか、識字率が30%以下、就学年齢の2人に1人しか学校に行くことができていないこの国では、だれもがもう一度チャンスを与えられるべきなのです。
アミア先生は目の前に座っている男の子の様子に特に目を配っていました。彼の机からは長い脚がはみ出しています。一桁の掛け算を解くため、問題用紙の空いたスペースに線を引きながら、目の前のテスト用紙に一生懸命集中しています。“7 x 7 = 48”…空いたスペースに引かれた棒を注意深く
数えながら答えを記入します。計算の概念は分かっているものの、九九はまだ暗記していないようで、棒を数え間違えてしまいました。
「カリードはもう18歳。8人兄弟の上から3番目です」とアミア先生が説明しました。「彼はここで2年勉強しています。これが3年目、最後の年です。でも、その後はどうするのでしょうか?通常の学校のシステムに編入するには大きくなりすぎています。どうしたらカリードにもっと学習の機会を与えられるのか私には分かりません。彼は学びたいのです」
アミア先生はナイジェリアとの国境近く、ボコ・ハラムの脅威にも晒されているディファ州の代替教育センターで教えています。この代替教育センターでは、公式な教育システムへの入学が間に合わなかった子どもたちに支援を行っています。カリードのように、子どもたちの多くは人里離れた農村地で暮らし、両親や兄弟と一緒に農業や家畜の世話をしています。「子どもたちにとって困難なことも多いのです。でも、幼い生徒たちは、数カ後には公式の教育システムで学ぶことができるようになるでしょう」アミア先生が20人のクラスの幼い子どもたちを指さして言いました。「通常の学校でみんなと一緒に授業についていけるよう、ここで基礎的な知識を学んでいます」
アミナ先生にとっても、簡単なことではありません。彼女は二人の子どもの母親で、教育の大切さを実感しています。アミナ先生が代替教育センターで授業を教える中、上の子どもはこのセンターの敷地内にある幼稚園に通っています。たった3カ月の下の子は世話をしてくれる人に預けていますが、休み時間には母乳をあげるために息子のもとに急ぎます。日本政府の支援によって国際協力機構(JICA)と協力して設置したこのセンターが始まった当初から、アミナ先生はこのセンターで生徒たちに勉強を教えています。「このセンターは、希望を与えてくれます。7歳で学校に入学することができなかった子どもたちに、新たな選択肢を与えています。でも、やらなくてはいけないことはもっとたくさんあります」
「カリードは運がよかったのです。両親がこの地に引っ越してきたので、少なくとも基本的な教育を受けることができています。でも、彼の二人の兄は一度も学校に行ったことがありません。今ではカリードはより多くの学問の知識を身につけています。読むこともできますし、少なくとも基本的な計算をすることができます。より良い仕事を見つけるのに役に立つでしょう。」とアミナ先生が話しました。
アミナ先生は教員という仕事に全力を注いでおり、さらに職業資格を取得するため、州の入学試験を受けることを一番の目標にしています。「チャレンジしてみます」アミナ先生が笑顔で話します。「そうすれば、生徒たち全員が学び続けられる道を一緒に探していくことができますから」
日本政府のご支援のおかげで、UNICEFはJICAと協力して、初等教育省によって実施される基礎計算能力補習プログラムを支援しています。このプログラムは子どもたちの学習レベルに合った学びを提供することに力を注いでおり、ディファ州の14の代替教育センターで実施されています。
子どもたちの年齢や学年に関わらず、学習に適切な授業や教材を提供し、それぞれの学習課題に合った活動を行います。このようなターゲット学習は様々な異なる国や環境で子どもたちの基礎的な能力向上に貢献しています。
2019年、日本政府はニジェールの紛争の影響を受けた子どもや女性のための人道支援をさらに強化させるため、UNICEFに220万米ドルの追加支援を行います。
この支援により、チャド湖流域やマリとの国境に接する紛争の影響を受ける地域の子どもたちの教育や職業訓練、保護を通して社会的結束や平和構築の促進が行われます。
【関連ページ】日本政府の支援によるニジェールでのUNICEF支援事業