被害にあったパレスチナの子どもたちが過去の苦悩から立ち直るための心の支援

2012年12月26日 パレスチナ自治区ガザ地区発

UNICEF State of Palestine
2012年12月26日
ベイトラヒーヤーにあるUnicefとNGOパートナーの共同運営施設、安全な場所でのカウンセリングで友だちと遊ぶ13歳のオーダイ
ベイトラヒーヤーにあるUnicefとNGOパートナーの共同運営施設、安全な場所でのカウンセリングで友だちと遊ぶ13歳のオーダイ*

 

アパートの小さな暗室に静かに座っている12人の男の子。年は8~13歳。

彼らは皆、ベイト・ラヒヤというガザの一地区にすんでいます。ここは昨年11月の爆撃で大きな被害を受け、現在UNICEFが子どもたちのためにカウンセリングを実施している地区です。子どもたちが見つめているのはいすに座ったまま身動きしない痩せ細った男の子。その子の頭に巻かれた包帯をみんな見つめています。

「近所の家が空襲で破壊されたとき、大きな赤い光が広がって、凄まじい音がしたんだ。」と一人の男の子が話し始めました。そして、その痩せ衰えた男の子を指差して、「この子はオーダイ*。彼の家族のたくさんが殺されたんだ。」と言いました。

オーダイは膝の間で手を握り締め、かすかな声で話しました。「僕は家で兄弟とテレビを見ていて、お父さんはお祈りをしていた。突然大きな赤い光を感じたけれど、何も音は聞こえなかった。そうしたら家が崩れ落ちてきて、僕はがれきの下敷きになっていたんだ。」

13歳のオーダイとその弟はイスラエルによる空襲で家が破壊された後、生きてがれきの下から救出されました。彼の父親とよちよち歩きだった二人の弟は命を落とし、母親と姉妹は重症を負いました。

本日行われるカウンセリングは「民主主義と紛争解決のためのパレスチナセンター(PCDCR)」と欧州委員会人道援助局や日本政府などのドナーの協力のもと、UNICEFのガザに対する心理社会的緊急支援の一環として行われています。

UNICEFとPCDCRによって実施された緊急心理的トラウマ調査によると、紛争の間、ガザ地区の中で最も甚大な被害を受けた35の地域に住んでいる子どもたちが重度の心理的・社会的苦痛を訴えていることが明らかになっています。

パレスチナのUNICEF子どもの保護専門家であるフランク・ロニ氏は、今後数ヶ月で他の子どもたちにも症状が現れる可能性があると述べています。

グループカウンセリングは、最も甚大な被害を受けた地域の子どもたちに安心感を持たせるために週に二回「安全な場所」で行われ、トラウマの兆候を示す子どもたちには個人カウンセリングを行います。

 

PCDCRで訓練を受けたハテム・ナイム氏は、子どもたちに起立するように言いました。遊ぶ時間です。他の男の子たちが元気に椅子から立ち上がる中、オーダイはナイム氏がボールを手渡すまで、ぼんやりとどこかを見つめて座ったままでした。オーダイはボールを受け取ると、突然、正気を取り戻しました。彼は笑って、友達と一緒に遊び始めたのです。

「オーダイは彼の身に起こった衝撃的な出来事にどう対応したらいいか分からないのです。時々、現実から離れてしまうのですが、心理学用語で「解離」という症状です。」とロニ氏は言います。

ナイム氏はゲームの後、誰も座っていない椅子の前に男の子たちを集め、その椅子に自分の恐れていることが座っていると想像して、今まで男の子たちがどのような生活を営み、どんな気持ちでいるかをみんなに伝えるように言いました。

「これは子どもたちが自分自身を表現し、自問するのに役立ちます。結果、気持ちが楽になるんです。」とナイム氏は説明しています。カウンセラーは子どもたちが自分の人生に起こったことを理解することよって、立ち直る力を身につける手助けをしています。

紛争の影響で、ガザのたくさんの子どもたちが心のケアを必要としています。家族の死を受け入れるために個人カウンセリングを受けているオーダイにとって、友達と遊ぶことが長い回復への道のりの第一歩なのです。
 

イスラエルの空爆により家族を失い、負傷し、心に傷を負った子ども

(イスラエルの空爆により家族を失い、負傷し、心に傷を負った子ども)


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