シリア:逆境に立ち向かう強さを手にして
2025年2月11日 ザバディン村(シリア)発
14年近くにも及ぶ紛争により、シリアの子どもたちは常に暴力に晒されてきました。その影響は、子どもたちの行動や態度にも及んでいます。
「昨年、心理社会的支援を提供していた学校の校長先生から、相談を受けました。」と、コロウドさんが振り返ります。彼女は、シリア・ダマスカス郊外のザバディン村で、UNICEFが支援する子どもの保護チームのケースマネージャーを務めています。校長先生は、他の生徒に対して暴力的な行動を取る13歳の少年、ヤヒアさんへの対応にサポートを必要としていました。
ヤヒアさんは、同年代のほどんどの子どもたちよりも、多くの苦難を経験してきました。彼は家族と一緒にザバディン村で暮らしていましたが、自宅近くで砲弾が爆発し、6歳の時に両足を失いました。母親のドゥアさんが、その時の恐ろしい経験を話します。「ヤヒアは爆発で即座に片足を失いました。もう一方の足は、病院の設備が整っていれば、失わずに済んだかもしれません。でも、私たちは包囲されていて、基本的な医療物資が全く手に入りませんでした。傷口を縫う糸さえなかったのです。」
ヤヒアさんが経験した苦しみやトラウマは、身体的なものだけでなく、精神的なものでもありました。その苦しみは深い怒りへと変わり、学校で攻撃的な行動を取るようになりました。
ヤヒアさんがトラウマを克服できるよう、コロウドさんは個別のカウンセリングを行って、彼が自分の経験や感情を打ち明けられるように手助けしました。ヤヒアさんは、障がいが原因でいじめを受け、怒りが募っていったと言います。「いつも孤独で、悲しかったです。でも、仕返しをすると、さらに問題が大きくなりました。」ヤヒアさんが話します。
ヤヒアさんの言動に多くの苦情が寄せられ、彼は退学を余儀なくされました。そこで、コロウドさんが再び手を差し伸べたのです。彼女はヤヒアさんを翌年度は別の学校に入学させるように母親を説得し、UNICEFが支援する移動チームが夏期に行うアクティビティに参加するように勧めました。
ヤヒアさんは熱心に活動に参加し、特に感情表現に重点を置いたアクティビティを楽しんでいました。「怒りをコントロールする方法を学びました。」ヤヒアさんが誇らしげに話します。「今では、怒りが湧いてきたら、深呼吸をしたり、10まで数えたり、スポーツをするようにしています。」
ヤヒアさんの身体能力と決意には、移動チームも驚かされました。彼は障がいがあるにも関わらず、腕の力を使って素早く動き、目を見張る俊敏な動きでサッカーを楽しんでいました。「時々、ヤヒアさんには障がいがあることを忘れてしまうほどです。」コロウドさんが話します。「彼はいつもエネルギーに溢れています。ただ、そのエネルギーを前向きな方向に使えるように導いてあげる必要があったのです。」
2024年9月、ヤヒアさんはUNICEFによって修復された、障がいのある子どもも通うことができる、新しいインクルーシブな学校に入学しました。「今では自分の力だけで動き回れるんだ。誰の助けを借りなくても使えるトイレだってあるんだよ!」ヤヒアさんが目を輝かせて話します。
コロウドさんはヤヒアさんの先生と密に連携しており、特に彼が好きな体育の授業での支援方法についてアドバイスを行っています。彼女はヤヒアさんの成長を見守り続けています。「ヤヒアさんが学業においても社交性の面においても成長していることを耳にすると、とても誇らしく思います。」と、コラウドさんが語ります。
ヤヒアさんの物語は、協力的な取り組みがもたらす力を証明するものです。UNICEFの子どもの保護支援は、ヤヒアさんのような子どもたちの生活をより良いものにするために重要な役割を果たしています。心理社会的支援やインクルーシブ教育、コミュニティを基盤とした活動を通じて、ぜい弱な子どもたちが逆境を乗り越えて生活を立て直し、成長していくために必要なサポートが提供されています。「すべての子どもたちが、学び、成長し、夢を見る機会を手にするべきなのです。」と、コロウドさんが話します。「それは、学業での成功だけに留まりません。彼らが希望と尊厳を取り戻すことなのです。」
2024年1月以降、シリアの11万7,921人の子どもたちがUNICEFが支援するメンタルヘルスおよび心理社会的支援の恩恵を受け、3万9,764人の子どもたちがUNICEFが支援するケース・マネジメントを受けました。これらの活動は、日本政府を含む各国政府、各国政府開発協力機関、国連中央緊急対応基金 、各国UNICEF国内委員会による支援で行われました。
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