パレスチナ:ガザ地区の子どもたちに迫る栄養危機

2025年7月28日 パレスチナ発

UNICEF State of Palestine
2025年7月28日
A health worker measures a child's height
UNICEF SoP/2025

2025年7月28日 パレスチナ発
ガザ地区のすべての住民が食料不安に直面する中、32万人を超える5歳未満の子どもたちが急性栄養不良の危険にさらされています。3月2日に人道支援物資および商業物資の搬入が完全に封鎖され、5月19日からは限られた人道支援物資のみが再び搬入可能となりました。その結果、ほとんどのパレスチナ人には収入がない状態にも関わらず、食料品は極めて不足し、入手困難な状態が続いています。 

「私たちは避難を余儀なくされ、食料を探すのに苦労してきました。息子の健康にも深刻な影響が出ています。彼の体は弱っていますが、栄養補助食品を買うお金もありません。」と9歳のアブドゥル・カリームくんの母であるエナンさんは語ります。 

日本政府をはじめ、欧州連合、フランス、オランダ政府などの資金協力のもと、UNICEFは必要不可欠な栄養サービスや物資の提供を続けています。しかし、栄養不良を防ぐための物資の備蓄はすでに枯渇し、急性栄養不良の治療に必要な物資が極めて不足しています。 

母親が息子にすぐ口にできる栄養治療食を与えている様子
UNICEF SoP/2025/Mohammed Nateel  母親が息子にすぐ口にできる栄養治療食を与えている様子。ガザ地区では急性栄養不良と診断された何千人もの子どもたちの治療ケアするため、すぐ口にできる栄養治療食が切実に必要とされている。

今年の初めから5月までの間、一日平均112人の子どもたちが急性栄養不良と診断されました。6月には6,500人、7月最初の2週間だけで5,000人の子どもたちが新たに急性栄養不良と診断されています。 

調査によれば、栄養状態の悪い子どもたちは急性水様性下痢症のような深刻な病気にかかりやすく、急性かつ長引く下痢は、子どもたちの健康と栄養状態をより悪化させ、命の危険を高めます。栄養不良と病気が重なり、治療されないまま放置されると、致命的な悪循環を生み出します。ガザでは、飢餓で亡くなった人の80パーセントが子どもであると報告されています。 

保健員が母親に対し、子どもたちの栄養状態について情報提供をしている様子。
UNICEF SoP/2025/Mohammed Nateel  保健員が母親に対し、子どもたちの栄養状態について情報提供をしている様子。

不可欠な栄養検査と治療ケア 

2月の停戦期間中、ガザ地区において10万5,658人の5歳未満の子どもたちが栄養不良の検査を受けました。その後、UNICEFは1万9,686人の生後6〜23カ月の子どもたちに必要不可欠な栄養物資を届けました。 

ガザ地区で、訓練を受けた保健員が上腕周囲径計測帯(メジャー)を使って二の腕の太さを測り、栄養状態を検査する様子。
UNICEF SoP/2025/Mohammed Nateel  ガザ地区で、訓練を受けた保健員が上腕周囲径計測帯(メジャー)を使って二の腕の太さを測り、栄養状態を検査する様子。

上腕周囲径測定帯と呼ばれる栄養不良の検査に用いられる色分けされたメジャーで検査を行い、栄養不良と診断された子どもたちは、すぐ口にできる栄養治療食やベビーフードを受け取りました。すぐ口にできる栄養治療食は他の食べ物と混ぜても、袋からそのままでも食べることができ、ベビーフードはすぐに子どもに食べさせることができます。 

合計5万7,973人の生後6〜59カ月の子どもたちが栄養補助食品を受け取りました。この支援は、最もぜい弱な子どもたちのさらなる健康悪化を防ぐ上で極めて重要です。またUNICEFは、2万5,653人の妊婦および授乳中の母親に対し、乳幼児の栄養に関するカウンセリングを提供しました。さらに、サービスの中断に対応し、最も支援が届きにくい地域の子どもたちを支援するため、移動栄養チームを派遣し、栄養不良の子どもたちの診断と治療ケアを行いました。 

母親が1歳のモハメドちゃんを抱っこしている様子
UNICEF SoP/2025/Mohammed Nateel  1歳のモハメドちゃんは栄養不良と診断され、UNICEFを通じて栄養補助食品を受け取っていたが、封鎖が強化されて補助食品が入手できなくなった。

「モハメドは栄養不良、免疫力の低下、そして体重減少に苦しんでいます。」とモハメドちゃん(1歳)の母親のニスリーンさんは言います。「私たちは2カ月間にわたりUNICEFの栄養支援を受け、さらに子どもへの適切な栄養補助食品の与え方について指導も受けました。」 

しかし、ガザへの支援物資の供給が停止されたことで、すべてが途絶えてしまいました。「支援の停止は、私たちが栄養補助食品をもう手に入れられなくなったことを意味します。そしてそれは、子どもたちに重大な影響をもたらしました。十分な食事が得られない中で、栄養補助食品は息子の生活に欠かすことができませんでした。モハメドの体はますます弱ってしまっています。」とニスリーンさんは語ります。 

UNICEFの支援を受ける診療所で、栄養不良の検査を受けながら保健員と交流するモハメドちゃん。
UNICEF SoP/2025/Mohammed Nateel  UNICEFの支援を受ける診療所で、栄養不良の検査を受けながら保健員と交流するモハメドちゃん。

急性栄養不良には、UNICEFが配布するすぐ口にできる栄養治療食やベビーフードのような栄養補助食品を用いた、継続的な治療ケアが必要です。しかし多くの保健施設は対応能力の限界を超えており、終わりが見えない暴力によって損傷を受けたり、アクセスが遮断されたりしている施設も少なくありません。子どもたちのぜい弱性がさらに深刻化し、人道的な栄養支援への依存度が高まっています。 

ガザの子どもたちの健康状態がこれ以上悪化するのを防ぐためには、緊急の対応が必要です。一刻の猶予も許されません。この状況がすぐに改善されなければ、急性栄養不良の症例はさらに増加し、多くの命が奪われる危険があります。 

 

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