ソマリア:避難民施設の仮設の学校で希望を見つける子どもたち
2024年5月6日 デュサマレブ(ソマリア)発
2024年5月6日 デュサマレブ(ソマリア)発
自宅からの避難は、ソマリアの子どもたちにとって最も一般的なトラウマとなる出来事の一つです。自宅や友達、日常から引き離されることで、子どもたちは心に深い傷を負います。子どもたちが経験したトラウマ的な出来事は、目に見えない傷を残し、子どもたちを学校から遠ざけてしまいます。しかし、そもそも通える学校すらない子どもたちもいます。ハッサンくん(13歳)のように、初めて学校に登校する日は、どの子どもにとっても人生の重要な節目となります。
4人家族のハッサンくんは、2021年の長期化した干ばつの影響でソマリア南西部のベイ州の自宅から離れ、デュサマレブにあるアルラディ国内避難民キャンプに身を寄せるまで、学校に通ったことがありませんでした。ハッサンくんの父親は家畜を育てて生計を立てていましたが、干ばつで家畜が全滅してしまいました。一家はそれまで、幸せで快適な生活を送っていました。
仮設のテントや混雑した通路、絶え間なく聞こえてくる生活音は、彼が生きている厳しい現実を思い起こさせます。ハッサンくんは、故郷や友達、日常を恋しく思い、新しい現実に適応することに苦労していました。
しかし、避難民キャンプに仮設の学習センターが設置され、ハッサンくんに希望の光が差し込みました。彼は、学習センターに通って新しい友達を作り、新たな日常を築いていく機会を手にしたのです。
「この新しい学校が好きです。町にある大きくて近代的な学校とは少し違いますが、勉強するために学校に通いたかったので、全く気になりません。このセンターで、幸せを見つけました。」
ソマリア語と数学が好きなハッサンくん。学習センターは難民キャンプの厳しい現実から逃れることのできる、天国のような場所だと言います。彼にとって、学習センターは単なる勉強の場ではなく、明るい未来を夢見ることができる場所なのです。
「ハッサンくんは熱心に勉強しています。困難な生活を送っているにも関わらず、学校に通い続けたいと言っています。彼の両親に会って、ハッサンくんの生活や教育に継続的に関り、自宅でも彼をサポートするようにお願いしました。」と、シャムサ先生が話します。
日本政府の支援のもと、UNICEFはガルムドゥグ州の4,842人の子どもたちが仮設の学習センターで教育を受けられるように支援しています。南ガルカイヨにはUNICEFが支援しているセンターが13カ所あり、そのうち10カ所が国内避難民キャンプの中に設置されています。このプログラムでは基礎教育の加速学習を行っており、正式な教育システムから取り残された子どもたちが学習スピードを速めて、正式な教育システムに入学できるようにしています。また、このプログラムによって、支援が必要な子どもたちを水と衛生や子どもの保護、栄養などのサービスの提供につなげることもできます。
アルラディの仮設の学習センターでは、5人の教員のもと、149人の生徒が学んでいます。
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