東ティモール:コールドチェーンシステムの強化が、医薬品の効果的な配布の力に
2023年5月11日 バウカウ(東ティモール)発

2023年5月11日 バウカウ(東ティモール)発
東ティモール東部、バウカウ県にある地域医療倉庫で働く倉庫マネージャーのジョアン・カンシオ・シメネスさんと三人の同僚にとって、毎月第三週は多忙を極めます。バウカウ県に隣接する四つの自治体から寄せられる、重要かつ不可欠な医薬品の要望に応えるために力を注ぐからです。
ジョアンさんは、「この地域倉庫が建てられる以前は、保健センターに必要な医薬品を手に入れるため、各自治体の保健担当者がはるばる首都のディリまで足を運んでいました。 ディリまでの行き来に長時間を費やさなければならず、とても時間がかかりました。」と語り、各自治体への必要不可欠な重要な医薬品の配布を容易にする、この新しい医療倉庫を管理できることに喜びを滲ませました。
東ティモールの保健担当者にとって、医薬品を入手するための自治体間の移動は決して容易な仕事ではありません。細長い曲がりくねった道を進まなくてはいけないため、アクセスは非常に困難で、多大な労力を要します。蛇行した道のりを辿りながら四時間も移動しないといけないだけでなく、炎天下の中の長距離の移動は、温度管理が必要な医薬品の効能に影響を及ぼし、ひとたび高温にさらされると、子どもたちを病気から守る効果を失ってしまいます。
しかし、倉庫に新たに設置された冷蔵システムのおかげで、ジョアンさんは低温や超低温での保管が必要な医薬品の在庫を十分に確保できるようになり、自治体の保健担当者が医療品を入手しやすくなりました。
「倉庫に新しく設置された冷蔵システムには、とても助けられています。 これらの冷蔵庫や冷凍庫に、効果を維持するために氷点下での保存が必要な抗生物質やワクチンを保管することができます。地域倉庫にこれらの重要な医薬品を保管することで、各自治体の月々の在庫の受け取りや緊急事態の発生時にも、すぐに医薬品が入手できるようになります。」と、ジョアンさんが、地域レベルで整備の整った冷蔵システムが利用できることで生まれた効率性について語りました。
日本政府のご支援により、アイナロ、バウカウ、ボボナロ、オエクシ特別行政区の四つの地域医療倉庫には、40立方メートルのウォークイン冷蔵室と冷凍室が設置され、温度の影響を受けやすい必要不可欠な医薬品の効果的かつ効率的な配布を支えています。
このコールドチェーン設備は、東ティモールのワクチン保管能力の分散化に役立ち、自治体や保健センター、保健所へのワクチン配布にかかる時間と管理コストを削減しました。また、バウカウにある地域倉庫のおかげで、バウカウ、ラウテム、マナトゥト、ビケケの保健担当者が毎月の医療品を入手するための移動時間も短縮されました。
コールドチェーンシステムの改善により、医療緊急事態に対応するための時間も短縮され、不適切な温度にさらされて無駄になる医薬品の数を減らすことができました。

コールドチェーンシステムの設置が適時に行われたおかげで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの配備を分散化し、自治体がこれらの重要なワクチンを容易に入手できるようになりました。
「コールドチェーンシステムが改善されたことで、医療施設に必要な医薬品が届くまでの時間が短縮されました。医薬品・医療器材サービスセンターを出てから県の倉庫に運ばれるまでの間、そして患者に投与されるまでの間、温度が完全に管理されています。おかげで、医薬品の品質と有効性も保証されるようになりました。」と、ジョアンさんが語りました。
冷蔵輸送車も調達され、温度と電圧の監視装置が設置されているため、設定された温度から変化があると警報音が鳴るようになっています。また、保健省の職員も、冷蔵システムの管理と修理に関する研修を受けました。

UNICEF東ティモール事務所代表のビラル・オーラン・ゼブ・デュラニは、「UNICEFは、東ティモールのコールドチェーンシステムの改善に貢献できたことを嬉しく思っています。効率的で信頼性の高いコールドチェーンシステムは、支援が届きにくい地域の子どもたちや家族が適切な医療サービスを公平に受けられるようにする上で、重要な役割を果たしています。」と、述べました。
ジョアンさんと彼の同僚たちは、仕事を終える前に、すべての機器が適切な温度に設定されているか、毎日確認しています。彼らは、この新しいシステムのおかげで、適切ではない温度にさらされ、破棄される医薬品が少なくなったことを喜んでいます。