ウクライナ:日本政府などの支援で、約70万人分のポリオワクチンを提供
2022年9月27日 ウクライナ発

2022年9月27日 ウクライナ発
UNICEFは、日本政府と米国国際開発庁の資金協力を受け、60万回分の経口ポリオワクチン(OPV)と9万9,720回分の不活化ポリオワクチン(IPV)をウクライナに届けました。
ワクチンは、ウクライナへの人道的支援として無償で提供されました。
「ウクライナでは1年ほど前にポリオが大流行したので、追加の予防接種を実施しました。」と、ウクライナの保健次官兼国家衛生医長イーホル・クジン氏は述べています。「現在、ポリオの脅威はとどまるところを知らず、紛争でさらに悪化しています。このため、私たちは、ワクチンを必要とするすべての子どもたちに確実に接種することを優先しています。UNICEFが私たちの国とその未来のために体系的な支援をしてくださっていることに感謝します。」
「ウクライナの保健ケアシステムは、信じられないような困難に直面しています。」と、UNICEFウクライナ事務所代表のムラート・シャヒンが語ります。「紛争のなかにあっても、私たちはパートナーとともに、ウクライナの子どもやおとなを感染症から守るべく取り組んでいます。」
ポリオは、ポリオウイルスによって引き起こされる感染性の高い病気で、ウイルスが神経系を侵すことで、麻痺や死亡に至ることもあります。生涯にわたり麻痺を引き起こす可能性があり、感染者の多くは、身体的な影響に苦しみます。麻痺を起こした患者の5~10パーセントは、呼吸筋の損傷によって命を落とします。
ポリオウイルスに感染しても無症状でおわることが多いため、感染者を特定できないケースがほとんどです。子どもから子どもへと感染し、予防接種を受けていない子どもに麻痺の症状があらわれるまで、無症状のまま感染が広がる可能性があります。
ワクチン未接種の人は、おとなも子どももポリオに感染する可能性があります。確実な治療法はありませんが、ワクチン接種で効果的に防ぐことができます。
ポリオには、安全かつ効果的なワクチンが2種類あります。不活化ポリオワクチン(IPV)は、注射によって接種できます。経口ポリオワクチン(OPV)は、口から2滴飲むことにより接種できます。
ウクライナの子どもたちは、ポリオワクチンを生後2カ月、4カ月、6カ月、18カ月と、6歳、14歳の計6回接種することになっています。
最初の2回はIPV(筋肉注射)で、それ以降はOPV(口内に滴下)で接種するのが一般的です。OPVには病原性を弱めたポリオウイルスが入っています。このワクチンのおかげで腸内にも免疫が形成され、ウイルスのさらなる拡散を防ぐことができます。
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