グアテマラ:超大型ハリケーンから1年、幸せへの道のり

2021年11月29日 パナマ発

UNICEF Latin America and the Caribbean
2021年11月29日
10歳のフアナ・ツォイさん。
UNICEF/UN0556533/Willocq
10歳のフアナ・ツォイさん。

2021年11月29日 パナマ発

2020年11月3日、カテゴリー4の大型ハリケーン「イータ」が中米に上陸し、大規模な洪水と破壊をもたらしました。そして家族たちが必死に被害に対応する中、2週間後にカテゴリー5の超大型ハリケーン「イオタ」が、イータと全く同じ経路を辿り、甚大な被害をもたらしました。イータとイオタが通過したことで、グアテマラの150万人以上の子どもたちが危険にさらされ、既に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる影響を受けていた彼らの生活が、さらに過酷なものへと悪化しました。

ハリケーン・イータとイオタが上陸する前と後を比較した様子。
UNICEF/UN0376271/Billy/AFP-Services
ハリケーン・イータとイオタが上陸する前の、グアテマラの首都から270キロほど北にあるアルタ・ベラパス県サン・ペドロ・カルチャ市チャンプルのグーグルアースの写真(左)。2020年12月3日、ドローンで撮影された同地域の写真(右)。ハリケーンの通過後、町の70パーセントが水没したと推定されている。

1年経った今でも、影響を受けた家族たちは、ハリケーン前の生活や日常を取り戻すことに苦労しています。

10歳のフアナ・ツォイさんは昨年、ボートに乗って、水没した彼女の家や学校、教会、よく遊んでいた場所を見せてくれました。

私たちはハリケーンの影響を最も受けた地域の一つである、アルタ・ベラパス県サン・ペドロ・カルチャ市で暮らすフアナさん一家を訪ね、その後の生活について話を聞きました。

自宅で話をしてくれたフアナ・ツォイさんと家族。
UNICEF/UN0556537/Willocq
自宅で話をしてくれたフアナ・ツォイさんと家族。

「以前借りていた、家族でたくさんの美しい時を過ごした家に戻りました。簡単なことではありませんでした。泥を落として、家をきれいにするのに5日かかりました。」と、フアナさんの母親のイサベル・カストロさん(41歳)が、泥が押し寄せた跡が残る壁を見せながら話しました。

「2月にチャンプルに戻ることにしました。14年ここに住んでいます。ここが私たちの居場所です。フアナも彼女の兄弟もここで生まれました。」と、イサベルさんが話します。

フアナさん
UNICEF/UN0556539/Willocq

「避難所にいたときは、毎晩悪夢にうなされました。みんな大変な時だったから、両親には言いませんでした。お姉ちゃんが、チャンプルの家に帰ったら悪夢は見なくなるよ、と言っていました。実際に、もう悪夢を見ることはありません。」とフアナさんが話します。

フアナさん
UNICEF/UN0377650/Billy/AFP-Services

「家に戻ってきて、また幸せを感じるようになりました。よく知っている場所ですし、どこでも好きなところに行けるし、安全です。ここで大きくなって、多くの人を助けるために医者になりたいです。今は、お母さんを手伝って兄弟の世話をしたり、家族が店を出しているチキン・アンド・チップス(フライドチキンとフライドポテトを組み合わせた料理)のためのジャガイモの皮をむいたりするのが好きです。勉強も大好きですよ。好きな科目は、スペイン語と英語です。」と、フアナさんが満面の笑みで話してくれました。

UNICEFは日本政府や欧州連合、スウェーデンの支援を受け、この緊急事態に迅速に対応し、水と衛生や栄養ケア、暴力からの保護、心理社会的支援、学校の再建など、現場で包括的な支援を続けています。

フアナさん
UNICEF/UN0556538/Willocq

「日常が戻りつつあるけれど、早くパンデミックやハリケーンの前のようになってほしいです。学校に戻って、友達と遊んだり、先生に会ったりしたいです。」フアナさんが希望いっぱいに、目を輝かせて話します。

 

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