シリア:子どもたちの教育を支える、ある校長先生の挑戦
2020年2月24日 ホムス(シリア)発
2020年2月24日 ホムス(シリア)発
「この村の子どもたちがみんな読み書きできるようになるまで、私は働き続けますよ。」たった数カ月前まで瓦礫の山となっていたリヤド・ハムード学校の校庭で、子どもたちに囲まれながらアフマド・アルシャウィ校長が話します。
リヤド・ハムード学校は、ホムス南部の人里離れた場所にあるマヒーン村唯一の学校で、17の教室に約550人の生徒が通っていました。2015年、暴力が激化し、教員を含むほとんどの子どもとその家族が、自宅からの避難を強いられました。
「一晩でほとんどの人が避難し、村はまるでゴーストタウンのようでした。」と、アルシャウィ校長が当時のことを思い出しながら話します。「都市に逃れた子どもたちは、学習を続けられて幸運でした。東部の砂漠地帯にあるルクバン避難民キャンプに逃れた子どもたちは、学ぶことを諦めなくてはいけなかったのですから。」
暴力が収まると、基本的なサービスが欠如している中、紛争で破壊された村に人々が戻り始めました。しかし、家や学校、すべてのインフラが深刻な被害を受けていました。
アルシャウィ校長も、いち早くマヒーン村に戻ってきました。壊滅的な被害を目にしたにも関わらず、アルシャウィ校長は村の子どもたちが勉強を続けられるよう、力を注ぐことを決意しました。
「10人どころか、たとえ一人の生徒しかいなくても、学校を再開しようと思っていましたよ!」と、アルシャウィ校長が語ります。彼は、仮設教室で使用することができるように基本的な教育備品が入った、UNICEFの「箱の中の学校(スクール・イン・ア・ボックス)」を使って、自ら子どもたちに授業を行いました。
「学校がきちんと機能していれば、もっと多くの人が故郷に戻る後押しになると思ったのです。」と、アルシャウィ校長が話します。学校には冷たい風を防ぐためのドアも窓もなく、ビニールシートを代用していました。「少しでも暖かい場所で過ごせるよう、太陽の光を求め、ビニールシートを持って破壊された教室を移動しながら勉強していました。」また、水道が通っていないことも課題でした。設備が被害を受け、子どもたちはトイレに行ったり手を洗ったりするたびに、授業を中断して家に帰らなくてはいけませんでした。
2019年10月、日本政府の寛大な支援のおかげで、「万人のための教育」プログラムの一環として、リヤド・ハムード学校の修復作業が始まりました。このプログラムは、UNICEFとWFP、UNFPA、UNHCR、FAO、国連ハビタット、UNRWAの7つの国連機関が協力し、子どもたちの質の高い学習やスキルの構築、社会への参加の機会の促進を目指して始められました。
学校修復事業の一環として、UNICEFはインフラの復旧や学校の塗装、机や椅子、ホワイトボード、水と燃料タンクの提供を行いました。また、校庭の修復とフェンスの設置、障がいのある子どもが利用しやすいようにするためのトイレの修復と改善、教員研修用の教室の整備も行いました。
2020年2月のはじめ、学習を続けられることに大喜びの500人以上の子どもたちを迎え、リヤド・ハムード学校が再開しました。「万人のための教育」プログラムのおかげで、ホムスの紛争の被害を受けたさらに6校の学校が修復され、紛争や避難による何年もの学習の中断を経て、2,000人以上の帰還民の子どもたちが教育を続けることができるようになりました。
「学校に戻れて幸せそうな子どもたちの姿を見て、とても誇りに思います。なかには、親の運転するバイクに乗って10キロ以上離れた場所から通学している子どももいます。」と、アルシャウィ校長が話します。村の子どもたちみんなが学校に戻り、明るい未来を築くことができるようになるまで、アルシャウィ校長は今日も子どもたちのために働き続けます。
【関連ページ】日本政府の支援によるシリアでのUNICEF支援事業