グローバルヘルスと企業戦略:多様かつ革新的なパートナーシップ・モデル
2012年10月11日 東京発
「グローバルヘルスと企業戦略」シンポジウム報告書が完成
2012年10月11日に行われたシンポジウム「グローバルヘルスと企業戦略:多様かつ革新的なパートナーシップ・モデル」は、UNICEF東京事務所、GAVI、日本医療政策機構の共催にて、開催されました。シンポジウムでは、国際保健課題解決に向けた企業と多機関のパートナーシップに注目し、成功事例を共有し、パートナーシップを結ぶ上でのメリットや障壁、解決策等について議論しました。UNICEF東京事務所からは代表、平林国彦がパネリストとして参加し、国際機関の事例として、UNICEFが企業とパートナーシップを結ぶ際には具体的にはどのような形をとるのかを次のように紹介しています。
(写真:シンポジウム「グローバルヘルスと企業戦略」にて、国際保健課題解決に向けUNICEF(国連児童機関)とのパートナーシップについて話す平林国彦・UNICEF東京事務所代表)
パートナーシップで示される‘Children are Everyone's Business’
UNICEFのインド事務所とIKEA の児童労働防止に向けたパートナーシップの事例を通じ、‘Children are Everyone's Business’つまり、子どもたちのことは全ての人が関わることである、ということを紹介したい。
UNICEFインド事務所とIKEA のパートナーシップは約10 年前に遡る。世界大手の家具屋であるIKEAにとって、インドは最大の製品生産拠点の一つであった。しかし、IKEA のインドの絨毯工場、さらに原料の綿花栽培における児童労働問題が報道され、大きな経営リスクになった。そこで、IKEAは、児童労働にかかわる仕入先・業者との取引をしないことを決め、6000万人を超えるといわれる児童労働者がいるという現状に対し、子どもの権利の向上と児童労働の根本原因の解決に取り組み始めた。
児童労働の要因には、貧困、子どもの栄養・衛生環境、教育環境などの様々な課題が複雑に絡んでいる。IKEAは、この分野の専門知識をもち、インドで長い間活動をして現地コミュニティとの信頼関係を構築してきたUNICEFインド事務所と連携し、活動を推進することにした。
UNICEFは、国際社会、中央・地方政府、市町村や地域のNGOと協力してインドの子どもたちの保健・栄養・教育課題の啓蒙活動を行う。一方IKEA はサプライヤーと密接に関わり、労働条件を監視して児童労働の防止に努め、そのようなIKEA の取組みを顧客に伝えることにより、児童労働課題に対する世界の顧客の関心を喚起している。UNICEFインド事務所とIKEA が組むことにより、互いのネットワークを利用し、より多くのプレーヤーを巻き込んで効果的な活動を行うことが可能となった。
UNICEFとIKEA の協働により、今、綿花栽培地域では、新たに1 万5 千人の子どもが学校に通っている。IKEA は、子どもの命と健康を守るために活動するUNICEFと連携し、誠実な姿勢でビジネスに取り組むことにより、ビジネスの機会損失の回避、児童労働課題に対して一定の成果をあげることができたと言える。