日本政府、子どもに対する暴力撤廃のため、UNICEFを通じてカンボジアへ2億2,300万円の支援を発表

2019年1月22日 カンボジア・プノンペン発

UNICEF Cambodia
2019年1月22日
カンボジア・プノンペン
UNICEF Cambodia/2019

2019年1月22日カンボジア・プノンペン発

 

カンボジア王国と日本政府、国連児童基金(UNICEF)は本日、「カンボジアにおける児童に対する暴力の防止及び暴力への対応計画」の開始を発表しました。本事業は、カンボジアの子どもたちに対するあらゆる形の暴力を終わらせるための行動をさらに加速させるためのものです。この支援により、脆弱な立場に置かれている100万人以上のカンボジアの子どもたちが暴力から守られます。

日本政府の政府開発援助(ODA)から総額2億2,300万円(約200万米ドル)の無償資金協力を受け、本事業は「子どもに対する暴力の防止及び対応のための行動計画2017年-2021年」を促進させるため、カンボジア政府のさらなる能力の向上をサポートし、主要な取り組みを拡大し、革新的な手法を取り入れ、子どもたちへの暴力を終わらせるための実証された戦略である「INSPIRE:子どもに対する暴力撤廃のための7つの戦略」を適用します。

カンボジアでは、半数以上の子どもたちが18歳になるまでに少なくとも一度、何らかの形の暴力を経験しています。子どもたちが多くの重大な保護の問題に直面しているにも関わらず、カンボジアでは子どもの保護システムに対する資金が不足しています。

署名式に出席したカンボジア社会問題・退役軍人・青少年更正省のヴォン・ソート大臣は次のように述べました。「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するため、社会問題・退役軍人・青少年更正省は子どもの保護システム強化のための国家的な取り組みを主導しています。経験豊富で有能な人材を備えた国家規模の組織化された子どもの保護システムを構築することで、暴力や搾取、虐待を経験した子どもたちに必要なケアと支援を提供し、今後起こりうる暴力を防ぐことができます。」

堀之内秀久駐カンボジア大使は、子どもの保護は日本政府の優先分野の一つであると語り、次のように述べました。

「子どもの保護の必要性はSDGsにも含まれています。日本政府は安倍首相の主導のもと、SDGsに関連する様々な活動を支援しています。カンボジアではUNICEFの支援を受け、政府が『子どもに対する暴力の防止及び対応のための行動計画2017年-2021年』を立ち上げました。このカンボジア政府の取り組みとSDGsに焦点をあて、日本政府は2億2,300万円(約200万米ドル)を上限とする無償資金協力をUNICEFに行い、行動計画における子どもの保護の活動を実施する関連省庁を支援します。この支援が子どもたちの健やかな精神の発達の助けとなり、彼らがカンボジアの未来を築く力となってくれることを信じています。」

UNICEFカンボジア事務所代表代行のナターシャ・パディソンは、「本事業は子どもたちに対する暴力の防止と対応をより効果的に行うことを可能とする、機能的かつ連携の取れた子どもの保護システムの実現に向け、カンボジア政府のさらなる能力向上に貢献します。そして、より良い制度や法的な枠組み、質の高い子どもの保護サービス、協力的なコミュニティの環境を通して、脆弱な立場に置かれている100万人以上の子どもたちの保護がさらに強化されます。カンボジアの保健省、司法省、内務省、カンボジア子どものための国民会議、社会問題・退役軍人・青少年更正省などの省庁は、これらの期待される成果を現実のものにするため、重要な役割を担っています。本事業の成功により、カンボジアは子どもに対する暴力撲滅において地域のリーダー的存在となるでしょう。」と述べました。

カンボジア・プノンペン
UNICEF Cambodia/2019

<参考情報>
 

「子どもに対する暴力の防止および対応のための行動計画2017年-2021年」

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)とUNICEFと協力して、カンボジアはアジア太平洋地域で初めて子どもに対する暴力に関する国家調査を行いました。2013年に実施した調査で初めて、国内全土の子どもに対する暴力の深刻さや性質を示す信頼のおけるデータと全国的な推計が明らかになりました。「2013年カンボジアの子どもに対する暴力の調査(CVACS)」の結果を受け、カンボジア政府は問題への対応を行うと共に、省庁横断的な「子どもに対する暴力の防止及び対応のための行動計画2017年-2021年」を策定しました。行動計画はカンボジアの9県で実施されています。主な施策には、カンボジアPROTECTコミュニケーション戦略、子どもの保護サービスの提供、肯定的なしつけに関する教員の訓練、暴力及び性的虐待の被害に遭った子どもたちに対する保健ケアの臨床ハンドブック、肯定的な育児戦略の促進などが含まれます。本行動計画の策定は「INSPIRE:子どもに対する暴力撤廃ための7つの戦略」の原則と戦略に沿って行われました。

行動計画(英語)は、こちらからダウンロード可能です。

 

「INSPIRE:子どもに対する暴力撤廃のための7つの戦略」

地域・国レベルでUNICEFと世界保健機関(WHO)の支援を受け、カンボジア社会問題・退役軍人・青少年更正省は2018年、「INSPIRE:子どもに対する暴力撤廃ための7つの戦略」の実施に関する地域レベルでの会議を主催しました。東アジア太平洋地域と西太平洋地域で暮らす子どもたちが直面するあらゆる形の暴力に関する多くの問題に対応するため、21カ国から160人以上が参加しました。開会式では、カンボジア社会問題・退役軍人・青少年更正省がカンボジアのパスファインダー国(先駆的に取り組み、その成果を報告する国)への加入に意欲を示しました。子どもに対する暴力撤廃のためのグローバル・パートナーシップのパスファインダー国は、子どもへの暴力撤廃に関する行動をさらに加速させるため、力を注いできました。東アジア、太平洋、南アジアにおけるパスファインダー国は、日本、インドネシア、モンゴル、フィリピン、スリランカです。

INSPIREについての詳しい情報はこちら(英語)をご覧ください。


 

【関連ページ】日本政府の支援によるカンボジアでのUNICEF支援事業


For the press release in English, please click here.