日本政府、バングラデシュにおけるミャンマーからの避難民を対象にした人道支援へ200万米ドルの緊急無償資金協力を決定

2017年5月8日 ダッカ発

UNICEF Bangladesh
2017年5月08日
未登録ミャンマー人のための一時受入施設の学習施設の除幕式で来場者に歌や踊りを披露する子どもたち
UNICEF/BANA2017/Sujan
未登録ミャンマー人のための一時受入施設の学習施設の除幕式で来場者に歌や踊りを披露する子どもたち

2017年5月8日、ダッカ発

 

ミャンマーからバングラデシュのコックス・バザールに流入してきた人々への人道支援を拡大するため、日本政府は国際移住機関(IOM)に100万米ドル,国連児童基金(UNICEF)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)にそれぞれ50万米ドル、あわせて200万米ドル(約2億2,300万円)の緊急無償資金協力を行いました。この支援は、現在進められている国連およびバングラデシュ政府による、避難民への人道支援強化に充てられます。

2016年10月以来、推定で7万4,000人に上る人々がミャンマーからコックス・バザールへ流入しています。人々を受け入れたコミュニティや一時受入施設では、シェルター、食糧、食糧以外の生活物資(調理器具、衣服、寝具、蚊帳)、医療サービスが限られており、水・衛生設備の不足も限界まで達していました。また、新たに到着した人々のうちの3.3%に当たる保護者のいない子どもたちは、児童婚や搾取、児童労働の危険にさらされています。今回の緊急無償資金協力によって、これらの人々に社会心理的な支援やシェルター、食糧品以外の物資、医療サービス、水と衛生、そして子どもの保護に関わる支援を届けることができます。

UNICEFは、日本政府の支援をもとに、コックス・バザールのテクナフおよびウクヒアにある受け入れコミュニティおよび一時受入施設の避難民、とりわけその中でも子どもたちの社会的環境やレジリエンス(※)を向上させる取り組みを行います。この取り組みは包括的なもので、受け入れコミュニティにもともと住んでいたバングラデシュの人々も支援の対象となります。

UNICEFは、対象地域のすべての子どもがその基本的権利である、保健や水・衛生サービスを確実に享受できるように支援していきます。 UNICEFは、受け入れコミュニティおよび一時受入施設に住む5歳未満の子ども61,822人、15歳から49歳までの女性58,229人、2,000人の青少年に向けて、妊産婦・新生児・小児・青少年保健(MNCAH)サービスを提供する予定です。これは保健施設の整備、新生児および妊婦へのケア、年齢に応じた医療情報や、青少年クラブでの教育機会やサービスの提供、予防接種、HIV予防を含むものです。また、UNICEFは45,300人に対し、改善された水・衛生サービスへのアクセスを提供します。この活動には、給水所やトイレの建設・修繕、手洗いの習慣の促進や設備の整備、また、気候対応力のある水・衛生サービスが含まれます。

UNICEFバングラデシュ事務所代表のエドゥアール・ベグベデは「受け入れコミュニティや一時受入施設にますます避難民が流入し、サービスも資源も不足する中、いちばん影響を被るのは子どもたちです」と述べました。日本政府の迅速な支援に感謝しつつ、「すべてのコミュニティの子どもたちが基本的な教育を受け、虐待、暴力、搾取から守られなければなりません。今回の協力によって、対象地域のすべての子どもたちに保健および水・衛生の緊急支援を行い、教育や保護のサービスを補完することが可能になりました。このことは、子どもたちの発達や幸福に不可欠な、より健康的な暮らしに寄与するものです」と力を込めました。

UNHCRは、バングラデシュ政府と協働し、クトゥパロンおよびナヤパラの認定難民キャンプで保護を受けている2,600世帯に対し、食糧以外の生活物資を供給する予定です。これはもうすぐ訪れる雨季に備えるための必需品となります。UNHCRバングラデシュ事務所の久保真治代表は、UNHCRが行う人道支援活動に重要な役割を果たす日本政府の素早い人道的対応に感謝の意を表しました。久保代表はまた、この緊急無償資金を生かしてUNHCRが今後も難民保護に取り組むことを約束しました。

IOMは、日本政府からの支援を、避難民の受け入れ先となったコックス・バザールの村々および一時受入施設にすでに住んでいる人々や最近到着した人々の緊急時の対応に充てる予定です。IOMは住む場所がない避難民にシェルターや食糧以外の物資(調理器具、衣服、寝具、蚊帳)を提供する他、メンタルヘルスと社会心理的サポート(MHPSS)を行います。IOMはまた、保護に関するリスクの認識や対応についての啓発キャンペーンやフォーカスグループ・ディスカッション、ワークショップ、研修などを通して、ジェンダーに基づく暴力に対するコミュニティの脆弱性を軽減することを目指します。今回の支援による受益者は、全部で130,000人以上となります。

IOMバングラデシュ事務所のサラト・ダシュ代表は「IOMは、特に女性と子どもへの社会心理的支援に重点を置き、需要の多いメンタルヘルス面での支援を拡大します。コックス・バザールの絶え間なく変化する人道支援や保護のニーズに対応するこのパートナシップは、我々にとってたいへん重要なものです」と日本政府の支援に感謝しました。

今回の日本政府の支援は、人道支援に携わるすべての機関の連携をより一層強め、重複なく効果的に事業に取り組めるようにするものでもあります。
 

※レジリエンス:子どもや家庭、コミュニティや社会制度が、外的ショックやストレスの発生時における抵抗力や、発生後の回復力を備えること  

 

【関連ページ】日本政府の支援によるバングラデシュでのUNICEF支援事業


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