日本政府、フィリピンのミンダナオ島における教育支援に対し7億2,500万円(約620万ドル)の無償資金協力を決定

2017年3月23日 マニラ発

UNiCEF Philippeines
2017年3月23日
フィリピン・マニラの外務省で、日本政府とUNICEFの交換公文署名式の後、握手を交わす石川和秀駐フィリピン大使とロッタ・シルワンダーUNICEFフィリピン事務所代表
UNICEFPhilippines/2017/JPolita
フィリピン・マニラの外務省で、日本政府とUNICEFの交換公文署名式の後、握手を交わす石川和秀駐フィリピン大使とロッタ・シルワンダーUNICEFフィリピン事務所代表

2017年3月23日 マニラ発

 

日本政府は、モロ・イスラム解放戦線(MILF)から解放された子どもたちを含む、フィリピン・ミンダナオ島の紛争地域に暮らす子どもたちのための教育および平和構築事業に対し、UNICEFへの7億2,500万円(約620万ドル)の無償資金協力を決定しました。

ミンダナオ島では、バンサモロと呼ばれる地域を中心に、自治・独立を求めるイスラム教徒とフィリピン政府との間で40年以上前から武力衝突が繰り返されてきました。今回日本政府が支援するのは、和平プロセス担当大統領顧問室(OPAPP)が中心となって締結した「ミンダナオ和平に関する包括和平合意」の下での和平プロセスに沿った事業となります。

紛争は、生存、ジェンダーの公平性、貧困削減、教育へのアクセスなど子どもの発達のさまざまな面に影響を及ぼしています。脆弱な国や、紛争の影響下にある国に住む子どもたちは、開発途上国の子どもたちと比べて、約2倍も栄養不良になりやすく、約3倍も小学校に行く機会を失います。5歳未満で死亡する確率も約2倍となっています。

 

ミンダナオ島の子どもたちの教育と和平プロセス事業のために日本政府とUNICEFが交わした交換公文に署名する石川和秀駐フィリピン大使とロッタ・シルワンダーUNICEFフィリピン事務所代表
UNICEFPhilippines/2017/JPolita
ミンダナオ島の子どもたちの教育と和平プロセス事業のために日本政府とUNICEFが交わした交換公文に署名する石川和秀駐フィリピン大使とロッタ・シルワンダーUNICEFフィリピン事務所代表

ミンダナオの紛争地域、特にムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)は、フィリピン国内の他の地域と比べると社会的・経済的指標が著しく低くなっています。フィリピンがここ数年で急速な経済成長を遂げる一方、ミンダナオの子どもたちを取り巻く環境は予断を許さない状態が続いていて、シエラレオネや中央アフリカ共和国のような後発開発途上国に匹敵するレベルです。例えば、ミンダナオ自治地域では、小学校に入学した生徒のうち、10人に1人しか中学校を卒業することができません。

UNICEFフィリピン事務所代表のロッタ・シルワンダーは「今日、日本政府と緊密なパートナーシップを開始することができて、大変喜ばしく思っています。日本はミンダナオの紛争地域における、和平プロセスおよび経済的・社会的開発の信頼できるサポーターであり続けてくださっています。子どもたちは紛争のない平和な社会で暮らすことで、はじめてその能力を最大限に伸ばせると我々は信じています」と話しました。

この事業は、紛争地域に暮らす子どもや若者への基礎教育、幼少期の学習、社会への再統合を通じて、基本的な社会サービスの質の向上と拡大を実現することを目的としています。

石川和秀駐フィリピン大使は、「私たちは、長期的には教育こそが平和と発展の鍵となると信じています。UNICEFの専門性を活用することで、このプロジェクトは子どもたちの未来への礎を築くことになることでしょう。私は、この支援がフィリピンの社会的・経済的な発展に大いに貢献すると心から信じています。また、このプロジェクトは、日本とフィリピンの戦略的パートナーシップ、及び、両国の人々の友好関係を強めていく上での新たな節目となるでしょう」と述べました。

 

【関連ページ】日本政府の支援によるフィリピンでのUNICEF支援事業


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