パキスタン:希望に満ちた使命-すべての子どもたちにワクチンを

2025年2月26日 パキスタン発

UNICEF Pakistan
2025年2月26日
カメラに向かって微笑む女の子。
UNICEF Pakistan/Mahar

2025年2月26日 パキスタン発 

カシミール地方の遠隔地にあるスルガン村では、保健ケアの利用が極めて困難です。ムザファラバード郡の北150キロメートル、ニーラム県の中心に位置するスルガン村は、険しい山々に囲まれています。大雪による影響でコミュニティ全体がしばしば孤立し、基本的な保健ケアを利用することすら難しくなります。1万5,000人以上の人々が暮らすこの村は、保健ケアに関するさまざまな課題を抱えており、人々が頼りにできるのは、設備の十分に整っていない診療所一つだけです。 

特に女性と子どもたちの間で栄養不良が拡大しており、ポリオなどの感染症に対するレジリエンス(回復力)が弱まっています。このようにぜい弱な環境では、ポリオのようにワクチンで予防可能な感染症から子どもたちを守るために、予防接種率を高い状態に保つことが必要不可欠です。 

献身的な地域の助産師であり、ポリオの予防接種を担当するムサラットさんは、2020年から、保健ケアの格差を埋めるために精力的に取り組んでいます。彼女は、険しい山道を進み、凍った小川を渡り、予測できない天候に勇敢に立ち向かいながら、コミュニティの子どもたちが誰一人としてポリオの予防接種を受け損ねることのないように活動しています。  

戸別訪問を行うムサラットさんとムハンマド・ファルークさんと、会話をする母親と子ども。
UNICEF Pakistan/Mahar 子どもたちをポリオから守るという決意のもと、すべての家庭に命を守るワクチンを届けるために、険しい道を進むムサラットさんとムハンマド・ファルークさん。

2025年ポリオ予防接種キャンペーン:すべての子どもたちへ 

2025年1回目のポリオ予防接種キャンペーンでは、ニーラム県の3万8,000人とスルガン村の3,375人の子どもたちを含む、カシミール地方の74万2,571人の子どもたちに予防接種を行うことを目標としています。ムサラットさんと23人の保健員で構成されるチームは、一週間にわたって、5歳未満の子どもたちに予防接種を行いました。ムサラットさんの役割は予防接種にとどまらず、家族への栄養指導も行っています。 

ムサラットさんは、「私も一人の母親として、すべての子どもたちを実の子どものように思っています。彼らの健康とウェルビーイングは、私にとって、自分の子どもたちのものと同じくらい大切なことなのです。」と、静かなる決意を語ります。 

「私たちが活動する地域は、非常に厳しい環境です。起伏の激しい、険しい山岳地帯に人口が分散しているため、予防接種キャンペーンの対象となる家庭にたどり着くには7、8時間かかります。苦難は多いですが、決意が揺らぐことはありません。私が雪道を踏む一歩一歩、そしてノックするドアの一つひとつが、私たちの地域の子どもたちのために、より健康でポリオのない未来を実現するという夢への一歩となるなのです。」とムサラットさんは話します。 

 

コミュニティの信頼:予防接種の成功への鍵 

ムサラットさんの活動は、多くの人々に感謝されています。5歳のサフィーヤ・ファルークちゃんの母親であるグルザー・ビビさんは、辿り着くことが困難な、人里離れた地域で暮らしています。しかし彼女は、ムサラットさんが必ずこの地域を訪れてくれると信じています。 

グルザーさんは、「子どもたちの安全のためにポリオ予防接種キャンペーンに携わる、ムサラットさんをはじめとする、すべての保健員を尊敬しています。大雪や悪天候の中で活動を続けることは容易ではないと思いますが、彼女たちのおかげで、子どもたちは安全なポリオの予防接種を無償で受けることができます。」と語ります。 

雪の積もる山あいを進むムサラットさんとムハンマド・ファルークさんの様子。
UNICEF Pakistan/Mahar スルガン村の起伏の激しい地形で移動が困難を極める中、子どもたちの命を守る活動が続けられている。

このようなキャンペーンの重要な鍵となるのは、コミュニティの動員です。現地で信頼をおかれている実業家のグラーム・ムハンマドさんは、保健員による絶え間ない活動への感謝を語ります。「コミュニティの一員として、ポリオ予防接種チームの取り組みや、この重要な活動を実施するためのご支援に深く感謝しています。この取り組みは、予防接種を超えて、子どもたちにより健康的な未来を与えてくれるものです。」とグラームさんは話します。 

 

子どもたちに、より健康的な未来を 

ムサラットさんをはじめとする保健員の取り組みのおかげで、この地域は継続的に高い予防接種率を達成しています。ニーラム県では、過去5年間にわたって接種率99パーセントを達成し、ポリオに対する免疫を強化してきました。スルガン村議会の医療担当官のファウジュダール・カーンさんは、「ムサラットさんは、とても献身的に活動をしてくださっています。彼女のような保健員の努力のおかげで、私たちの地域では、どの予防接種キャンペーンでも96パーセントの予防接種率を達成しています。」と話します。 

ポリオのワクチンを経口接種するムサラットさんと、接種を受けるアミールちゃん。
UNICEF Pakistan/Mahar ムサラットさんは、一滴一滴のワクチンとともに、4歳のアミールちゃんのような子どもたちに希望をもたらし、彼らをポリオから守っている。

日本政府の資金協力により、必要不可欠なポリオワクチンが調達されてパキスタン国内の全土に配布され、カシミール地方の最も辿り着くことが困難な地域に暮らす子どもたちを含め、毎年4,540万人の子どもたちがワクチンを接種することができます。 

カシミール地方では過去24年間、ポリオの感染は一度も報告されていません。継続的な予防接種の取り組みを通して子どもたちの免疫を保つことは、ポリオの再流行を防ぐために極めて重要です。 

ムサラットさんの献身的な取り組みは、日本政府の寛大なご支援のもと、どんなに遠く離れた地域であっても、すべての子どもをポリオから守るために草の根で活動を続ける保健員たちの姿を表しています。彼女の不屈の努力を通して、何千人もの子どもたちが、ポリオのない、より健康な未来を手にすることができるのです。 

 

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