エチオピア:誰一人取り残さない教育―フィエルドスさんの学びへの旅路
2025年3月11日 エチオピア発
2025年3月11日 エチオピア発
エチオピア・ティグライ州の人口密度が高いネガシュ・ケベレで、自閉症をもって生まれた13歳のフィエルドス・モハメドさん。彼女の幼少期は、大きな困難に直面していました。幼い頃に父親を亡くし、障がいのある母親のジェミラ・アーメディさんとともに極度の貧困に陥り、社会から疎外されていたのです。
しかし、ネガシュ小学校で実施された包括的な社会・行動変容プログラムによって、フィエルドスさんのような子どもたちを支える環境が整えられ、状況は大きく変わりました。
「前の学校ではいじめられてつらい思いをしていました。でも今は、クラスメイトや先生が支えてくれます。」と、フィエルドスさんが話します。
このプログラムでは、コミュニティでの啓発活動も行っています。保護者と教員、生徒で構成されたグループが各家庭を訪問し、障がいのある子どもを含むすべての子どもに教育を受ける権利があることを伝えました。さらに、親や宗教指導者、教員が参加する対話の場を設け、誤解や偏見をなくし、受容を促進しました。
また、校舎の建築や教室の増設、月経中に衛生を保てる部屋や図書館などの整備により、障がいのある子どもたちも利用しやすい学習環境が整いました。スロープの設置や教室の改修に加え、障がいのある子どもを支援するための教員研修が行われました。さらに、生徒主導でジェンダー、環境科学、水と衛生、メディアの4つのクラブが設立され、障がいのある子どもたちの参加や生徒同士の学び合いが推進されました。
こうした取り組みの結果、かつて障がいを理由に近隣の小学校で受け入れを拒まれたフィエルドスさんは、ネガシュ小学校で温かく迎え入れられました。13歳になった彼女は、先生や友人、コミュニティに支えられながら、小学1年生として学び始めました。
ネガシュ小学校のハイレマリアム・レダ校長はこう語ります。「フィエルドスさんを見てもわかるように、すべての子どもを受け入れる環境づくりに投資すれば、地域社会全体が向上するのです。彼女は健やかに成長しており、彼女はこの学校で特別な支援を必要とする子どもたちの受け入れを促す原動力となっています。」
彼女の物語はこの学校に大きな影響を与え、障がいのある子どもの在籍数は19人から44人(うち女子23人)に増加しました。プログラムは当初、国際協力機構(JICA)が支援する学校で4万2,558人の就学を目標としていましたが、実際には5万3,285人に達し、プログラムの大きな影響が示されています。
フィエルドスさんにとって、学校はもう夢ではなく現実です。「英語、アムハラ語、ティグリニャ語を学ぶのが好きで、文章を書くことが楽しいです。先生になりたいです。」と彼女は語ります。
母親のジェミラさんも感謝を込めてこう語ります。「娘が学び、笑顔を見せる姿を目にすることができました。フィエルドスはもう隠されている存在ではありません。彼女には未来があります。」
本プログラムの長期的な目標は、すべての子どものための教育推進に向け、教員研修を継続し、障がいを持つ子どもをより多く受け入れるためのインフラ設備を行い、地域全体で受容の文化を築くことです。
フィエルドスさんの物語は、日本政府の資金協力とJICAを含むパートナー団体の協力なくしては実現しませんでした。本支援は、社会・行動変容、コミュニティでの対話促進、インフラ整備を通じて、すべての子どもへの教育を推進する包括的な取り組みの一環です。
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