ラオス:予防接種記録のデジタル化で母と子の健康を守る
2025年8月7日 ラオス発
2025年8月7日 ラオス発
コンクリートの壁を緑の葉が彩るバンビエン地域病院。待合室では、若い母親たちが辛抱強く座り、腕の中で赤ちゃんがもぞもぞと身をよじらせています。キャッサバ農家やゴム農園の労働者、建設現場で働く人々など、背景はさまざまですが、この病院にやって来た目的はみんな同じです。医師のシア・ブアパオさんが一人ずつ診察室に迎え入れ、子どもたちを病気から守るために欠かすことのできない定期予防接種を行っています。
ブアパオ医師は、澄んだ瞳と明るい笑顔が印象的な若手医師です。「すべての子どもたちにワクチンを届けるこの仕事にやりがいを感じています。子どもの健康を守れるだけでなく、自分の家族や親戚、地域の人々を助けることにもつながるからです。」
ラオスでは最近まで、母子保健の記録は色分けされた紙の手帳に丁寧に書き込まれていました。手帳は種類によって色分けされており、黄色は母親のワクチン接種、緑は子どものワクチン接種、ピンクは産前ケアです。親たちは診察のたびに手帳を持参する必要がありましたが、紛失も珍しくありませんでした。手帳を失うということは、母親と子どもの予防接種の履歴を失うことを意味します。そして、医師たちは、こうした手帳への記入や紙の記録の確認に多くの時間を費やしていました。
国立母子保健センター長のバンディット・スムフォンパクディ医師は、紙で記録していた頃は、情報が不完全だったり古かったり、一貫性がなかったりしていて、プログラムの成果を正しく追跡し、データに基づいて意思決定することが難しかったと言います。
保健員たちは膨大な業務量を抱えており、国全体でデータが一貫されていないことで、仕事がより複雑になっていました。しかし、予防接種記録のデジタル化で大きな変化が起こりました。これは、日本政府の資金協力のもと、UNICEFによって実施されたデジタルヘルス・システム支援の一環です。
政策立案者にとっては、より効果的なシステムに向けた一歩となります。保健省で予防接種を担当するコンサイ・プンペンハック医師は、次のように話します。「UNICEFはラオスの報告体制に合わせて予防接種記録のデジタル化を進めています。政府が何を求め、どのように情報システムを向上できるか協議するうえで、UNICEFは重要な役割を果たしています。」予防接種記録のデジタル化で、予防接種率が低い地域のデータを分析し、その地域に重点的に資源を投じることが可能になります。
スムフォンパクディ医師は、「データ分析によって、ワクチンが未接種だったり接種回数が不十分な1歳未満児や、接種が完了していない5歳未満児の人数などを把握し、追跡することができます。対象者への呼びかけが容易になり、リスクのある人々の予防接種へのアクセス改善につながります。」と述べます。
新しいシステムは効率性を高めています。「予防接種記録のデジタル化で、あらゆることがより便利になり、時間も短縮されました。データの比較も簡単です。」とブアパオ医師。新しいシステムで自動的に生成されるレポートのおかげで、患者に向き合う時間をより多く確保できるようになりました。
ブアパオ医師は、地域を訪問して保健サービスを提供する時間をより多く作ることができるようになりました。遠隔地に暮らし、仕事を休むことができない家族にとって、市街地まで保健サービスを受けに行くことは困難であり、予防接種や妊婦健診が家の近くで受けられることが重要です。
保健員は、注意深くワクチンを冷却箱に入れてバイクの荷台にくくりつけ、緑豊かな丘を越えて未舗装の道を走り、地域に点在する学校や集会所に向かいます。農村部ではワクチンに不安を抱く親もいるため、ブアパオ医師は何度も現地に足を運び、彼らの話に耳を傾けます。「不安を解消するために、ワクチンの安全性や質、目的、予防できる病気、病気の感染経路、子どもの健康への影響について時間をかけて説明します。」
ブアパオ医師は今も午後はパソコンの前で過ごすことが多いものの、より多くの時間をオンライン研修に割くことができています。これはUNICEFのデジタルヘルス支援の取り組みの一つで、コミュニティの母子保健を支えたいという彼女の人生をかけた目標を後押ししています。
「子どものために働けることを心から感謝し、誇りに思っています。私の願いは、母親たちの健康状態が改善され、安心して生活できるようになることです。すべての子どもたちは、健やかに成長するために、最大限の保護とケアを受けるべきです。これこそが、子どもの健康を守るために働く私たち医療従事者の使命です。」(ブアパオ医師)
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