インドネシア:質の高いワクチンをコミュニティに届けるために
2023年2月2日 インドネシア発

コールドチェーン機器供与による、西スマトラ州のコールドチェーンシステムの強化
2023年2月2日 インドネシア発
西スマトラ州ソロック郡にあるパニンガハン保健センターの忙しいある日の午後。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種や注意すべき症状、定期受診を促す多くのお知らせが掲示されている箇所に新しいワクチン用冷蔵庫が設置された日、保健センターはいつもより混んでいるように見受けられました。
ワクチン用冷蔵庫は、COVID-19ワクチンだけではなく、BCGワクチンや3種混合ワクチン、ポリオワクチン、はしか・風疹ワクチンといった様々なワクチンを保管することができます。ジャンジャング・シリー区の予防接種事業を担うコーディネーターのフリスカ・ゾネディさん(30歳)も、コールドチェーン整備支援によって何年もの悩みが解消された保健医療従事者のひとりです。
フリスカさんはワクチンが安全に保管されるよう、ワクチンの保存期限を確かめ、ワクチンが2度~8度の適切な温度で保管されるように新しい温度計を用いて確認します。

「新しいワクチン用冷蔵庫を提供して頂けたことに感謝しています。」フリスカさんは語ります。「二つのパーテーションで分けられているこの冷蔵庫は、多くのワクチンを保管しながら安定した温度を保つことができ、ワクチンの質を保ちながら保管することができます。新しいコールドチェーン機器によって、コミュニティの低い予防接種率の原因のひとつが取り除かれたと思います。」
新しいコールドチェーン機器が届く前、フリスカさんをはじめとするジャンジャング・シリー区の保健医療従事者たちは、特にCOVID-19のパンデミック時にワクチンの保管能力に関わる課題に直面しました。
インドネシア中央政府は2021年初頭にCOVID-19ワクチンを導入し、多くの人々に早くワクチンが行き渡ることを目指しました。しかしながら、保健センターには多量のCOVID-19ワクチンを保管するためのコールドチェーン設備が整っているとは言えない状況でした。結果として、温度管理が不安定な家庭用冷蔵庫にワクチンを保管しなければいけないような地域もありました。そのような冷蔵庫で有効性のあるワクチンを安全に保管するためには、より難しい管理が求められます。
「パンデミック初期の数カ月間は、郡政府からとても多くのワクチンの受けると同時に、人々のワクチン接種へのためらいに対応する必要もありました。」と、フリスカさんは振り返ります。「ワクチンを保管するために、近所の家庭に冷蔵庫を借りるしかありませんでした。」
2021年6月13日時点で、西スマトラ州はCOVID-19ワクチン1回目の接種率が全国で最も低く、2回目の接種率も4番目に低い州都になっていました。

コールドチェーンシステムを強化してCOVID-19ワクチンを全国的に普及するため、日本政府のインドネシア政府に対する支援の一環として、UNICEFはコールドチェーン機器を調達しました。それにより、西スマトラ州をはじめとした12州へ300台のワクチン用冷蔵庫が供与されました。
フリスカさんが恩恵を受けたように、同様の課題を抱えていた、ジャンジャング・シリー区から43キロの距離にあるサワルント市の疾病予防部のスリウァレスキ・イスマルさん(39歳)も、コールドチェーン機器の支援に感謝を述べていました。

スリウァレスキさんは、「日本から提供されたコールドチェーン機器によって、適切にワクチンを保存し、コミュニティに届けるまでワクチンの有効性を保つことができるようになりました。」と話します。「質の高いワクチンは、ワクチン接種した人々を守ることができるでしょう。」

「大都市でしか質の高いワクチンは接種できないと思っていたので、地元で子どもたちに予防接種を受けさせることには、ためらいがありました。」と、3人の子どもを持ちながらジャワ島へ出張することの多いプトリ・ナニさん(31歳)は話します。「この村でも質の高いワクチンがあることが分かったので、安心して子どもたちに予防接種を受けさせたいと思います。」
インドネシア政府のCOVID-19収束に向けた取り組みの一助となる、コールドチェーン機器の調達と対応能力強化に関する日本政府の支援に、深くお礼申し上げます。

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