ポリオ根絶に向け、グローバルリーダーが連帯

2017年6月26日 東京発

UNICEF
2017年6月23日
2010年インド・マインプリにて、ポリオワクチンの投与を受ける子どもたち(写真は今回の支援とは関係ありません)
UNICEF/UNI92987/Osan
2010年インド・マインプリにて、ポリオワクチンの投与を受ける子どもたち(写真は今回の支援とは関係ありません)

 

2017年6月12日米国・アトランタ発

 

米国・アトランタで開催されたロータリー国際大会で12日、世界中から集まった保健分野のリーダーらがポリオ根絶に向けた12億米ドル(約1,330億円)の支援を表明し、根絶に向けて取り組む決意を新たにしました。

30年前は、125カ国以上において、年間35万人以上の子どもたちがポリオによって麻痺を発症していました。しかし、各国政府、ヘルスワーカー、ドナー、およびポリオ根絶に向けた官民イニシアティブである世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)に参加しているパートナー団体の絶え間ない努力により、感染力の非常に強いこの病気はアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国を除いて制圧されました。2017年現在、発症例はわずか5例にとどまっています。

しかし、ポリオが完全に根絶されるまで、世界中の子どもたちはまだその脅威にさらされています。この病気を根絶するべく、政府代表やパートナー団体は、年間4億5,000万人以上の子どもたちを守るのに不可欠な予防接種やモニタリングなどの活動をサポートする支援を新たに約束しました。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団のグローバル開発プログラム・プレジデントで、GPEIの監査委員会会長を務めるクリス・エライアス氏は「今日アトランタに集まった方々をはじめ、ロータリー会員、各国政府、ヘルスワーカー、パートナー団体そしてドナーの尽力により、我々は、これまでにも増して歴史を刻む瞬間に近づいています」と述べ、「今回新たに表明された支援により、(ポリオを根絶するという)我々の仕事は、達成に一歩近づくことになるでしょう」と力を込めました。

世界的規模で課題が発生し優先しなければならない事項も多い中、各国政府とパートナー団体は、ポリオを世界から根絶される歴史上2番目の感染症にするために、共に支援表明を行いました。主な支援としては、カナダ(7,500万米ドル)、欧州委員会(6,140万米ドル)、日本(5,500万米ドル)が挙げられます。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同代表でもあるビル・ゲイツ氏と、国際ロータリーのジョン・ジャーム会長もまた、2万人以上ものロータリー会員を前に、パートナーシップを延長することを発表しました。ロータリー会員が今後3年間で最大1億5,000万ドルを集めれば、ゲイツ財団がその金額の2倍を拠出します。このマッチングファンドにより、今後3年間で合わせて最大4億5,000万ドルがGPEIに拠出されることになります。さらにゲイツ財団は、このマッチングを含め計4億5,000万ドルを拠出することも表明しました。 国際ロータリーのジャーム会長は「世界からのポリオ根絶は、1985年以来ロータリーの最優先課題でした。会員たちはそれ以来、ポリオ根絶に向けた闘いの推進力となってきました」と述べ、「本日表明されたビル&メリンダ・ゲイツ財団によるマッチングにより、資金調達に対する会員のたゆまぬ努力は、根絶のためのさらに大きな力となるでしょう」と称えました。

本日発表された拠出金は、現在も発症が確認されている国々からウィルスを排除し、世界への伝播を食い止めるために必要な15億米ドル分の資金の一部として使われます。

UNICEF事務局長のアンソニー・レークは「我々は今まさにこの地球上からポリオを根絶しようとする段階にあります。しかし、その根絶は、これまで支援が届かなかった子どもたちに支援を届けることができて、初めて可能になるのです」と述べ、「この最終段階にある取り組みを必ず成功させなければなりません。なぜなら我々が今ここで歴史をつくらなければ、歴史が我々に厳しい評価を下すでしょう」と強調しました。

日本政府からは、在アトランタ日本国総領事の 篠塚隆氏が「ポリオとの闘いに勝利することは、世界規模で協調された取り組みなしには成し遂げられません。追加拠出(5,500万米ドル)で示した通り、日本政府は、ポリオの伝播を食い止め、子どもたちの命を守り、ポリオが世界から根絶される2番目の病気となるよう、GPEIや他国政府との連携を進めて参ります」と述べました。