アフガニスタン南部を駆け巡り、ミニ救急車が女性と子どもの命を救う~日本政府の支援によるザランジサービス

2016年5月1日 アフガニスタン カンダハル

UNICEF Afghanistan
2016年5月01日
カンダハル北部のワヤンド包括保健センターの外で患者の診察が終わるのを待っているザランジ。日本政府の支援を受けて、UNICEFより提供されました
UNICEF Afghanistan /2016/Fazal Mohammad Fazli カンダハル北部のワヤンド包括保健センターの外で患者の診察が終わるのを待っているザランジ。日本政府の支援を受けて、UNICEFより提供されました

朝6時。カンダハル北部に住むミニ救急車の運転手、アグハ・ワリは電話を受けます。23歳の妊婦を、シャー・ワリ・コット地区にある彼女の住む村から約20キロ離れた保健センターまで、緊急の妊婦健診に送っていかねばなりません。

「この地区の人はみな、ミニ救急車のことを知っています。」ミニ救急車隊を構成する電動式軽三輪カー、『ザランジ』を指さしながら、ワリは言います。「使わずに済めばそれに越したことはありませんが、必要なときはこのミニ救急車が人々の命を救う助けとなります。」

2015年11月、UNICEFと日本政府の支援を受け、カンダハル公衆保健省はシャー・ワリ・コット地区とアルギスタン地区の保健スタッフにそれぞれ15台ずつ、計30台のミニ救急車を提供しました。

妊娠中の妻がこの新サービスを利用したばかりのセイド・シャーは誰よりもこのサービスについてよく知っています。

「この救急サービスがなかったら、妻を保健センターへ連れていくことはできなかったでしょう。」セイドは言います。「この地区にはきちんとした交通機関がありません。地元のタクシーを使うと、1,000アフガニ (約15ドル) はかかるし、終わるまで待っていて家まで送ってくれるわけでもありません。」

アグハ・ワリ
UNICEF Afghanistan /2016/Fazal Mohammad Fazli

ミニ救急車の登場で全てが変わりました。

「今は必要なときはいつでも、救急車サービスのスタッフが診療所まで乗せて行ってくれ、帰りも家まで送ってくれます。それに24時間いつでも利用できるんです。」セイドは言います。

適切で手頃な交通手段の不足が、女性が緊急時に保健施設を利用し、適切な産科ケアを新生児ケアを受けることを阻む主な障壁となっていると徐々に認識されるようになりました。特に地形が厳しく、コミュニティと保健施設との距離が離れていて、交通手段の選択肢が限られている遠隔農村地域では、極めて深刻な状況です。

妊産婦や新生児は緊急時に、患者を短時間内に専門的ケアを行う保健センターへ運ばなければならないことが多く、適切な交通機関の確保が何よりも重要です。

日本の支援によりこのミニ救急車のサービスがはじまってわずか6ヶ月の間に、約1,600人の患者が保健施設への往復にこのサービスを利用し、そのうち1,000人以上は子どもでした。また、ミニ救急車は出産のため約150人の女性を、産前産後のケアを受けるため350人以上の女性を保健施設まで送迎しました。

女性や子どもを、通常だったら利用することができない保健施設に連れていくことにより、ザランジサービスは、妊婦や新生児のいる女性の主要な母子保健サービスへのアクセスを改善するとともに、保健分野における他の支援にも波及効果をもたらしています。

「ミニ救急車の効果は明白です。」UNICEFカンダハル事務所の保健スペシャリスト、エマル・ムジャディディは、ザランジサービスの提供エリアで、予防接種の普及率が20%、産前産後ケアの受診率が13%増加したという公衆保健省発表の数値について触れました。

「医療施設での出産数や産前産後ケアの受診数が増加しただけでなく、保健施設で予防接種や、他の妊産婦・新生児保健サービスを受ける子どもや女性の数も増加するという波及効果が生まれています。」ムジャディディ氏は説明しました。

地区の救急車の数は増える予定になっており、アグハ・ワリはこれからも患者の送迎を続けることを楽しみにしています。

ザランジの送迎で保健センターを訪れ、健康診断を受ける女性
Afghanistan /2016/Fazal Mohammad Fazli ザランジの送迎で保健センターを訪れ、健康診断を受ける女性