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UNICEF日本人職員インタビュー

 

第22回 ベトナム事務所 国連学生ボランティア 梅谷隼人

関西学院大学総合政策学部2年(派遣時)。2018年9月から2019年2月にかけて約5カ月間、国連学生ボランティアとして、国連児童基金(UNICEF)ベトナム事務所で活動。

プロジェクト訪問〜ニントゥアン省〜

ベトナムはインドシナ半島の東海岸沿いに位置しており、ラオス、カンボジアと国境を接しながら南北に細長い地形をしており、気候は、北側は温暖気候、南側は熱帯気候となっており、4月〜10月は雨季、10月〜3月は乾季となっている。そのため、毎年台風や洪水といった水害や、乾季の少雨による干ばつ等の災害に見舞われており、過去20年間で10,800の死者と行方不明者と約280,000億ドン(1,350億円)の経済的損失の被害を受けました。さらには、気候変動の影響もあり、ベトナムにおける自然災害は年々深刻になっており、世界で最も気候変動と自然災害の影響を受ける国の一つとして数えられています。


自然災害のリスクが高い一つの理由として、ベトナム国内における子どもや女性、障がい者等のぜい弱なグループの存在があげられます。特に子どもは精神的、身体的な未熟さや親に対する依存によって災害に対するぜい弱性が高いと考えられています。中でも多元的貧困がぜい弱性の根本原因と考えられています。多元的貧困とは金銭的に貧しい貧困とは異なり、保健、衛生、栄養、教育等の様々な側面を考慮した貧困のことを指します。つまり、栄養不良や発達障がいといった要因が災害に対するぜい弱性を高めているのです。特にこれは都市から離れた農村部に顕著に現れており、急速な経済成長の一方で広がる貧富の格差の影響を如実に表しています。

日本政府は、2016年にUNICEFを通じて、ベトナムにおける干ばつ・塩水遡上被害に対する250万ドル(約27,500万円)の緊急無償資金協力の支援を実施しました。その後、こういった自然災害のリスクに対応するためにUNICEFはベトナム政府と協力して、「子どものための防災プログラム」を実施しています。このプログラムでは災害に対するぜい弱性を削減するため、防災に取り組むと同時に、多元的貧困にも取り組んでいます。

ニントゥアン省にある幼稚園では自然災害等の非常時に安全な飲料水を供給するため、日本政府の協力のもと飲料水のタンクを設置しました。また、衛生管理を徹底するため、手洗いの指導も実施しています。園長さんによると、園児は昼食の前には必ず手を洗うように指導している、と言います。 

また、日本政府とベトナム政府の協力のもと、非常時に対応するための保健施設も建設されています。ニントゥアン省にある保健施設は、感染症や栄養不良、マラリア等の治療に取り組んでいます。しかしながら、保健施設で働く看護師さんは、資金不足や常駐する医者がいないことが課題であると言います。また、ベトナムでは国民の約86%をキン族が占めていますが、その他にも53の少数民族が存在し、言語や習慣が異なることから、保健・衛生や災害に関する情報の共有にも課題が存在すると話していました。

ベトナムの防災局は、2017年に発足したばりですがUNICEFなどの国際機関、日本政府、JICA、世銀などの協力を経て短期間の間に災害支援から防災・災害計画へ舵を切りかえ、改革を進めています。UNICEFは防災局の組織改革の一部として、法整備、自然災害から子どもを含めた弱者を守るためのコミュニケーション戦略、地域や学校で子どもを守るための災害リスクマップ、防災の日における啓蒙活動及び避難訓練、教育システムの強化などを支援しています。

日本は世界で有数の災害大国であり、その経験と技術はベトナムでも必要とされています。それと同時に日本の防災モデルをベトナムでも実施することで、知識を共有、創造し、相乗効果を生み出すことができ、両国の防災力の向上にも繋がります。2018年には、ベトナムの防災局主導のもと、在ベトナム日本国大使館、JICA、UNICEFの協力のもと、日本への視察が実現し、その際に得た知識やパートナシップが現在ベトナムの防災システムの強化に生かされています。

現在のUNICEFが取り組むプログラムでは、兵庫県神戸市で実施されているコミュニティ防災モデルである「防災福祉コミュニティ(通称BOKOMI)」のベトナムでの実施を目指しています。防災福祉コミュニティとは、阪神淡路大震災の教訓のもと、地域の自治体を基礎に防災活動を実施し、防災力の向上を目指している取り組みです。大規模災害時には、火災や建物の倒壊によって救急隊の到着までにどうしても時間がかかってしまいます。そのため、住民自身が普段から訓練を実施して、自らの命を自らで守る=「自助」、自分たちの街は自分たちで守る=「共助」の考え方が重視されるようになりました。具体的な活動としては、市民による「自主防災組織」によって、消火器の取扱訓練や語り部による小学校での災害の教訓の伝道、といった活動が実際に神戸市で行われています。

今後も防災分野における日本とベトナムの間での国際協力を通じて、防災福祉コミュニティの実施を含め、防災力の向上とコミュニティの強靭性を高め、自然災害のリスクを削減することを目指し活動に取り組みます。

ベトナムの防災に対する日本政府の支援にお礼を申し上げます。そして、これからも日本政府にベトナムの防災に対する支援の力を貸してほしいと、呼びかけています。

(国際ボランティアデー(12月5日)イベントにて)

【関連ページ】日本政府によるベトナムにおけるUNICEF支援事業

 

 
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