UNICEF日本人職員

UNICEF日本人職員の講演

UNICEF日本人職員メディア掲載

UNICEF日本人職員インタビュー

 

第19回 東京事務所 代表 木村泰政

© UNICEF Tokyo/2018/Ikeda
東京事務所の木村代表(右)とインタビューを行ったインターンの重倉(左)=2018年3月1日、UNICEF東京事務所

UNICEF東京事務所で201710月よりインターンを行っている重倉陽子です。今回、UNICEF東京事務所の木村泰政代表にお話を伺いました。

東京事務所の木村代表はUNICEF20年以上勤められており、世界で145人、日本人では4人しかいないUNICEFのディレクターの一人です。UNICEFでのキャリアのお話や東京事務所の明るい雰囲気の秘訣、これからのことをお聞きしました。 

© UNICEF Tokyo/2018/Ikeda
「ユーモアのセンスは常に持っておく。これは僕のモットー。」と話す木村代表=2018年3月1日、UNICEF東京事務所

仕事として、人道と開発に携わる

大学時代からバックパッカーとして海外を旅し色々な人たちや文化とふれあい、漠然と海外で勤務したいと思うようになりました。湾岸戦争後の1990年代に2年ほどイスラエルで勤務することがあり、パレスチナ難民の生活状況や置かれている立場を目にして、そこで国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)など国連機関の活動に触れることが出来ました。これが、国連との接点でした。実際に国連の活動に触れて、開発に携わる職業も、すごく魅力的だなあと思ったんですね。人を助けたり育てたり、人道的な仕事をやりながら、生活していけたらええなあって。

それから日本で民間企業で働きながら大学院受験の準備をして、合格して、開発学の勉強を始めました。緊急援助と難民支援に携わった仕事をしたいと思って、在学中から国連インターンに応募して、受かったところがUNICEFだったんです。インターンは二回、緊急支援オペレーション室(EMOPS)で、はじめは夏期休暇のとき、2回目は卒論を書きながらしました。インターン期間中にJPO試験に受かって、一年も経たないうちに正規職員になりました。

UNICEFの魅力

インターンとして入って内部のことが分かり、UNICEFはすごく組織としてしっかりしていると思いました。資金的に安定していて、子どもと女性にフォーカスしていて、結果を数字で表せる、というところが、いいところだと思ったんです。緊急・人道支援も開発もカバーするユニークな使命があって、僕がやりたかったこととマッチングしました。国連の中でのブランドも強いし。あとインターンの時やJPOの時に接したUNICEFの職員が情熱的な良い人ばかりで、すごく良い職場だと思いました。ずっとそれからUNICEFです。

海外での生活

21年ぶりに日本に帰ってきました。生活面ではそんなに違和感はなかったですが、仕事が、求められている役割がこれまでと全然違うので、学ぶべきことや新しいこと、チャレンジすること、プレッシャーになることは、当初はたくさんありました。ただ、こういったことも経験しておくことが自分のキャリアにとっては長期的には良いと思ったのが、この東京事務所のポストに応募した理由でした。

海外で生活することは私自身は全然問題無いのですが、家族への負担が大きいかなと思います。私には二十歳になる娘がいるんですけど、彼女も日本に住むのが初めてなんです。日本人としてのアイデンティティ、日本人でありながら日本に住んだことがない、普通の日本人より日本語もうまくない。そういうところ、家族への負担というのが申し訳無いというのはあります。

東京事務所代表の役割

今の仕事は政府関係者・政治家などのポリシーメーカーの人と接する機会が多く、公的機関との折衝が東京事務所の主な役割です。けれども、意外と民間企業・団体との折衝もあり、ユニセフ協会と連携しながらうまくやっています。また、資金調達への働きかけや子どもの権利に関するアドボカシーといったアドボカシーワークが中心となるので、政府関係者だけではなく、アカデミア、メディアの人、大学生などと接する機会もあります。いろんな人たちとお会いする機会があり、すごく新鮮でエクサイティングで楽しいですね。

あとは、UNICEFの東京事務所の代表なので、UNICEF全体のことに常にアンテナを張って勉強して答えられるように準備しておかないといけません。今まででしたら自分の持っているスペシャリティを中心としていたらよかったのですが、今の立場では、UNICEFで起こってるすべてのことを知っておかなければいけないということで、自分自身にとってもすごく勉強になっています。国事務所や地域事務所、本部では何が優先事項としてあるのかなど、全体像をしっかり把握しておくことが今のポストでは重要です。 

代表として心がけていること

気負っては無いんですけれども、リーダーシップロールを勤める者として一番大事なことは、私のビジョンを明確にして、チームメンバーのみんなが向かっているゴールを理解していることかなと思っています。僕の役割は、チームのメンバーが働きやすい環境を整えて、彼らがベストなパフォーマンスを発揮できる環境づくりをすること。出来るだけ無駄を省いたり、優先事項を明確にするのを手伝ってあげたり。あとは僕が東京事務所に来て初めに言ったのは、みんながサンデー・ナイト・ブルーを持たないようなオフィスにするよう頑張ります、ということです。「ああ明日は月曜や、仕事行きたくないなあ」って思わへんように、そういう職場にはしたくないから、ということはみんなに言いました。

あとは自分自身のチャレンジとしては、エモーショナル・インテリジェンス(Emotional intelligence、感情が安定しているということ)を常にリーダーとして高めていこうと思ってます。あとは、ユーモアのセンスを常に持っておく。これは僕のモットーで、そこが一番重要です、僕にとっては。なんでもおもしろくなかったらね、やっててもおもしろくないからね。

これからやりたいこと

ぜひ、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ、官民協力の形態)のモデルを、日本から世界に発信していきたい。他の国でも、モデルになるようなケースは出てきていないんです。持続可能な開発目標(SDGs)の中でも国連改革の中でもパートナーシップはひとつの重要なところですが、政府・民間などいろんなパートナーが協力して出来るそのモデルを、ぜひ作り上げていきたい。「こういうモデルが日本ではありますよ、こういうスキームがあって、こういうことが世界の子どもたちを助けるひとつの取り組みになっていますよ」というのを、発信できたらええなあと。あとは日本ユニセフ協会と連携して、UNICEFの認識度をもっと高めていくところが重要です。

夢や目標

いろんなやりたいことはいっぱいあるんですけど、常に行動していく、新しいことを学ぶ、そういう気持ちを常に持っておく、ということですかね。常に面白い魅力的な人ではありたいなと思っています。あとは、今までは自分のキャリアにフォーカスしてきたけど、例えば、自分の家族の夢や目標をもっとサポートせなあかんていうことと、あとはもっと日本人職員、我々のチームのメンバーが活躍できるように、彼らのキャリアをもっと伸ばしていけるように、頑張らなあかんなと思っています。

―――

木村泰政 UNICEF東京事務所代表。大阪府出身。米国クラーク大学大学院で国際関係開発社会変革研究科の修士号取得。民間会社を経て、1997年にUNICEFで勤務を開始。UNICEFニューヨーク本部の民間セクター局でブランド開発担当官、東アジア・太平洋地域事務所(タイ・バンコク)の民間パートナーシップ局で地域資金調達専門官、同事務所の民間パートナーシップ局の地域チーフを経て、20165月より現職。

インタビュー後記(重倉) 今回のインタビューを通して、UNICEF職員の方のプロフェッショナル意識の高さや東京事務所の雰囲気の良さの背景を知ることができました。私も、サンデー・ナイト・ブルーとは程遠く、お正月休みが明けるときにインターンが再開するのが楽しみだったことを覚えています。使命感をもって毎朝目覚められることに喜びを感じてこの期間を過ごしていますが、日本人職員が活躍できるようにしたいという木村代表の言葉を聞いて、背中を押される気持ちになりました。 

 

 
unite for children