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UNICEF日本人職員インタビュー

 

第5回 タジキスタン事務所 保健・栄養セクションチーフ 末廣 有紀

© UNICEF/Tajikistan 2014
ヨード欠乏症予防のためユニセフが支援するヨード添加塩普及活動の一環として、ハトロン州の塩工場を政府役人と共に視察中

インタビュー実施日:201518

201310月にUNICEFタジキスタン事務所保健・栄養セクションの長として着任。それ以前は、UNFPAバングラデシュ事務所副代表として事業の統括や、NGOのシエラレオネ事務所にて保健・HIV事業の統括を歴任。また、UNICEFレソト事務所、UNICEF南スーダン事務所、UNFPAカンボジア事務所、世界銀行(米国)やNGO(ハイチ)にて保健関連業務を担当。

公衆衛生分野で働こうと思ったきっかけ

両親が栄養、教育や健康といったことに重点をおいていたため、小さい頃から医学に興味を持っていました。中学と高校で社会問題にも関心を持ち始め、病気だけでなく、日本や世界の問題にも取り組みたいと希望するようになりました。そこで、大学では法学を学び、卒業後は金融機関で働きましたが、働きながらNGOでボランティア活動にも関わりました。NGOの活動に関わるうちに、小さい時から持っていた医学への関心と国際開発への関心が忘れられず、2つの分野が交わる公衆衛生を学ぶために大学院に進学しました。大学院卒業後は、世界銀行や国連機関、および国際NGOでの保健関連業務や統括業務を歴任し、201310月からUNICEFタジキスタン事務所で現職に就いています。

国際NGOと国際機関の経験を活かして

シエラレオネでは、国際NGOで保健とHIV/エイズ分野のプログラムコーディネーターとして働きました。コミュニティに入って草の根レベルで働くことができましたが、本当に現地の状況を改善するには、さらに政策レベルでの影響力が必要だと感じるようになったんです。例えば、コミュニティの人々を啓蒙し、具合が悪い時にはヘルスセンターに行くように促したとしても、肝心のヘルスセンターに良い設備が整っていなければ、その村の健康レベルを改善することはできません。ヘルスセンターの整備などを政策レベルで訴えていく必要がありました。

私が今働いているタジキスタンは、1991年に旧ソ連から独立した後まもなくして内戦に見舞われ、2000年に平和がとりもどされたものの、今も5歳未満時死亡率など保健指標が中央アジア地域で最も高い国となっています。限られた国家財政の中で、医療施設や医療機器の老朽化、経験豊富な医療従事者の不足などの課題に対応するためには、旧ソ連時代に構築された高コストな保健システムおよび予算制度を改革していく必要があります。そのためには政策提言を長期的に行っていかなくてはなりません。とにかく素早く人の命を救う機動力が必要な緊急支援とは、また違った状況です。

一方、NGOで培った現場の経験も非常に重要だと感じています。コミュニティの現実を知らずに政策提言を行ってしまうと、いわゆる「机上の空論」のようになってしまう恐れがあるからです。コミュニティの人々の行動や要望を把握することにおいて、実際にコミュニティレベルで活動した経験が役に立っています。

タジキスタンの実情にあった支援を実施

タジキスタンは、最貧国ではなくそれなりに国力があるとみなされるので、本来ならサービス・デリバリー(ビタミンA剤の配布など)のサポートを終わらせ、国のシステム自体を整備していくための政策提言に活動の重心を移していかなくてはなりません。栄養の分野を例にとると、本来なら国の予算の中で5歳未満児の栄養状態の改善対策などを図っていかなくてはならないものの、現状では栄養プログラムに国の予算がまったくつかず、ほぼ100%海外からの支援に頼っています。政策提言を行いながら長期的に国の保健システム自体を変えていくのと同時に、明日の子どもたちの命を救うサービス・デリバリーが必要な状況なのです。サービス・デリバリーから政策提言中心に移行するときの、そのバランスが非常に難しいと感じていますが、実際の子どもたちの状況に合わせた支援を実施していくべきだと考えています。

仕事のやりがいと難しさ

タジキスタンは、Scaling Up Nutrition (SUN) という栄養分野における取り組みを促進する国際的なネットワークに参画し、水、農業、衛生、保健、医療など分野横断的に国民の栄養状態を改善していく取り組みを始めました。保健省や農業省などの関連省庁、市民社会、国連機関など様々な関係者がともに行動枠組みを作っていくという、とても骨の折れる作業なのですが、1年以上かかってやっと少しずつ協力関係ができてきたように感じます。政府をはじめとするステークホルダーと共にちょっとずつ進んできていることが実感できることにとてもやりがいを感じます。

一方で、難しいと感じるのは、若い世代がなかなか育っていないことです。政府の役人の高齢化も目立ちます。将来、若い国を担っていく人たちが少しでも多く育っていくように、支援をしていきたいと思っています。 

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© UNICEF/Tajikistan 2014
ヨード欠乏症予防のためユニセフが支援するヨード添加塩普及活動の一環として視察したハトロン州の塩工場の様子

 

 
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