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UNICEF日本人職員インタビュー

 

第2回 水本あゆみ

© UNICEF Tokyo/2011/Ai Yamashita

2000年、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)制度により、UNICEFインド事務所、マハラシュトラ州へ派遣される。モニタリング・評価を担当。2002年より中央アジア地域事務局で計画担当官補として勤務。その後、ウズベキスタン事務所勤務。UNICEFイラン事務局にて計画・モニタリング・評価専門官を務め、オランダのマーストリヒト大学にて修士号(心理学)を取得した後、201112月までUNICEFパキスタン事務所にて計画・モニタリング・評価チーフを務める。 

 

国連で働きたいと思うようになったきっかけは何ですか?

高校生や大学生のときにアフリカの飢饉について学んだことがきっかけですね。大学のサークルで英語のディベートがあったのですが、そのときのトピックがアフリカの飢饉だったのです。ディベートをするにはそれなりの情報も必要なので、開発援助について調べました。そこで、この問題について自分には何ができるのかを考えていくうちに「援助」にたどり着きました。ただ、いくら援助をしてもそれが富裕層のために使われていたり、いわゆる「貧困層」の方の役に立っていないことが多いと気づいたのです。「人間開発にとって本当に必要なことは何か」に関心を持ちました。何が本当に必要なのかをしっかり分析しないと、援助自体も自己満足に終わってしまいます。この問題について、真剣に行動を起こしてみたいと思うようになりました。それが国連で働くことでした。

 

「パキスタン」のイメージが湧きにくい方々も多いかと思います。水本さん自身がパキスタンで働くにあたって感じたことや気をつけていらっしゃることはありますか?

パキスタンの多くの人々は、子どもたちによりよい未来・社会をつくってあげたいという基本的な願いを持っています。それは日本のみなさんや他の国の人々と何ら変わりません。このような基本的な願いと宗教性は相反するもののように語られることがありますが、子どもたちに対する望みや願いはみなさんと同じなのです。この点はみなさんにもお伝えしたいところです。

そして、どこへ行くときにも共通ですが、彼らが大切にしている価値観や宗教上の習慣に敬意を払うことはとても大切です。踏みにじるようなことは絶対にしたくないと思っています。

 

UNICEFのパキスタンでの活動はどのようなものなのでしょうか?

パキスタンは、昨年、今年と洪水災害に見舞われ、昨年には約2000万人、今年の洪水では約500万人が被害を受けそれに伴う緊急支援を実施しています。昨年は4州で、水・衛生、栄養、保健、子どもの保護分野に注力した支援を実施しました。そして今年は最も被害を受けたシンド州で水・衛生分野に焦点をあてた支援を行っています。


緊急支援というのは、その名のとおり、「緊急」に必要な支援なのです。どれだけ規模の大きな支援だとしても、後からでは間に合いません。実は、パキスタンの緊急支援にいち早く対応してくださったのは日本政府だったのです。また、日本政府は2010年から2011年にかけて、緊急人道支援でも迅速かつ大規模な支援をしていただきました。そのようなことも含め、パキスタンの人々は日本に対し感謝の気持ちを持っています。

 

日本政府は、パキスタンを含め世界各国においてポリオの根絶に協力しています。パキスタンにおけるポリオ根絶のための活動について教えていただけますか?

日本政府は、パキスタンのポリオ根絶に向けて一貫した支援を行ってくださっています。しかし、日本を含む世界各国からの長期的な支援にも関わらず、パキスタンは依然としてポリオが発症しています。ポリオの根絶にはワクチンを提供するだけでなく、ワクチン接種の必要性や安全性などについての啓蒙活動も必要です。そのような啓蒙活動もUNICEFが行っています。

© UNICEF/NYHQ2011-0193/Zaidi

 UNICEFパキスタン事務所での水本さん自身のお仕事について教えていただけますか?

私の仕事はUNICEFパキスタン・国事務所で行うプログラム全体の計画・モニタリング・評価を行うことです。ですから、パキスタン・国事務所で実施される全プログラムに何らかの形で関わっています。

まず、UNICEFパキスタン・国事務所の資金をどのように使うのが効果的かを分析し、プログラムごとに資金を振り分けます。そしてプログラムを「どのように」計画・モニタリング・評価するのか、つまり、計画・モニタリング・評価の方法自体を入念に計画します。私の仕事は、プログラムの遂行過程をリード・指導し、設定した目標を確実に実現できるよう努めることです。

具体的にお話しますと、計画方法を考える際は達成すべき目標・期待される成果(expected outcome)を設定し、それに基づいて計画します。プログラムの実施をどのようにモニタリングするかということも指導します。次のプログラムに活かせるような評価方法を計画し、実施したプログラムの評価を行います。そして、質的・量的・客観的データに基づき科学的に評価ができるようにしています。

2010年以降、プログラム実施の一連のプロセスをより効果的に遂行するために、新しいモニタリングシステムを導入しました。このシステムでは、UNICEFUNICEFと連携してプログラムを実施する団体の他、現地に住む第三者の協力を得てプログラム を遂行します。第三者の方々にはプログラム実施可能性の調査やモニタリングなどをお願いしています。地元をよく知る現地の方々に協力していただくことによって、UNICEFやそのパートナー団体が治安面で入っていけないような地域の情報を得ることが可能になります。もちろん、ご協力いただく現地の方々には継続的な研修を実施し、研修通りにモニタリングや報告を実施できているかということを私たちがモニタリングします。

 

そのような新しいモニタリングシステムの利点について、具体的に教えていただけますか?

最も重要な点は、支援が行き届きにくいところに支援を届けることができることですね。実際パキスタンには、治安面などでUNICEFやパートナー団体が入っていけないような地域がたくさんあります。しかし、そのような地域でこそ、子どもたちは支援を必要としているのです。

さらに、このシステムの強みは、UNICEF、パートナー団体、そして地域を熟知している第三者がそれぞれの強みを活かし、モニタリングを行うことができることです。例えば教育支援の現場を考えてみましょう。教育支援では、UNICEFやパートナー団体が教育支援プログラムを実施し、学校建設や教育に必要な物資、そして教師の育成などを行います。ご協力いただく地元の方々には、それらが実際に地域の子どもたちに役立っているのかをモニタリングしていただきます。教育施設や物資があるにもかかわらず、子どもたちが実際にそれらの恩恵に与れないというような状況を回避するためです。
このように三者が多方面からモニタリングを行うことにより、従来よりもプログラムの効率的な実施を実現し、さらに実際に子どもたちが支援の恩恵に与っているかどうかを細部にわたってチェックすることが可能となりました。

 

今後日本はどのような形でパキスタンを支援することができるでしょうか?また、どのような支援や協力のあり方を日本に求めますか?

UNICEFの強みは、多様なアクターと連携し規模の大きなプログラムを実施することです。私たちは現地政府とも共同でプログラムを遂行し、最終的にはパキスタン政府自身がそれらを持続的に実施していけるようになることを目指して活動したいます。ただ、より大きな変革をもたらすためには大規模な資金投入が必要な局面もあります。
先程もお話しましたように、日本政府はパキスタンでのポリオ根絶に向けて一貫した支援をしてくださっています。是非とも日本政府には今後も引き続きこの分野においてリーダーシップをとっていただきたいと思っています。また、ポリオ根絶には、水・衛生面や栄養面、教育など、子どもたちや母親を取り巻く環境を改善するための包括的な支援も必要です。日本政府との更なるパートナーシップに大きな期待を寄せています。

 

インタビュアー山下藍(UNICEF東京事務所インターン,東京大学大学院修士課程在籍)


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