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【6月26日】命をつなぐ日本の支援―キルギス・山岳地帯の病院から―

© UNICEF Kyrgyzstan/2017/Sven G. Simonsen
出産を終えたばかりのガルバルチンさん(38)。安心感を与え、母乳の飲ませ方を覚えられるように、チョン・アライ総合医療センターの産婦人科スタッフが母親の胸に赤ちゃんを抱かせている
© UNICEF Kyrgyzstan/2017/Sven G. Simonsen
副院長のアルスタンベク・カリベコフ医師と産科病棟長を務めるバクチャガル・パキロバ医師。2人はチョン・アライ総合医療センターが大きな変化を遂げるのを見てきた

命をつなぐ日本の支援

―キルギス・山岳地帯の病院から―

 

「今でも忘れられない患者がたくさんいます」

医師のアルスタンベク・カリベコフ氏は「小さな子どもの命を救えた時の喜びは何とも言い表せません。子どもとその家族みんなが自分の家族になったとさえ思えるんです」と言います。キルギスではUNICEFの支援による取り組みで子どもの死亡率が減少しました。これまでだったら救えなかったいくつもの命を、今、カリベコフ医師とその同僚たちが救っています。

カリベコフ医師は、住民25,000人を擁する地区の患者を受け持つチョン・アライ総合医療センターの副院長を務めています。キルギスの南部にあるオシュ州の山あい、ダロートコルゴンにその医療センターはあります。

近年、キルギスの病院では医療従事者の技能向上や、医療機器の改良、また組織の改善に向けた一連の取り組みが行われており、この医療センターもその恩恵を受けています。重要な取り組みの1つに小児二次救命処置法(PALS)の研修があります。蘇生の専門家でもあるカリベコフ医師は、研修がもたらした変化をこう話しました。

 

新しい技能で助かる命

「以前は、ここに運ばれてくる重篤な患者の命を救うことができませんでした。呼吸がなく、脈も触れない子どもが運ばれてくると、家族に言えるのは『救う手だてがありません』の一言でした」

しかし、2015年に行われた2回の小児蘇生に関する研修は、医療センターの6人の医師にとって、状況を一変させるものでした。

「今では生命の兆しがない場合でも、蘇生を試みます」とカリベコフ医師は語ります。新しい技能で命を救えるようになったのです。「2016年に我々は6つの重篤な症例を受け入れ、うち4人の子どもが助かりました」

蘇生の専門家が学んだ高度医療技術の1つが、骨髄注射でした。これにより、注射針を刺す静脈を探す時間を短縮することができるようになりました。「医学部で学んでいた時に、こうした技術があると聞いたことはありました。ただ、2015年に至るまで、キルギスでこの注射が実際に行われたというのを聞いたことがありませんでした」とカリベコフ医師は言いました。

 

全国に広がったアクション・プラン

チョン・アライ総合医療センターは、日本政府による支援のもと、子どもの死亡率を下げるための取り組みの恩恵を受けた多くの病院の1例にすぎません。過去4年間には、UNICEFの支援により、UNICEFと保健省との共同アクションプランに沿って全国で1000人以上の医師、助産師、看護師が新生児蘇生法とケアの研修を受けました。

UNICEFと保健省は、ほかにも、重大な事例が起きた際の対応を指導するために、もっとも一般的な4つの症状における小児蘇生の国内基準をつくりました。この基準は、緊急事態に際し、医師らが最善の処置をできるだけ効率的に行えるようにするものです。さらに病院間の連携基準も作成され、病気の子どもや合併症が予想される分娩の症例があった場合、以前よりもスムーズに、より施設が整った病院に紹介することができるようになりました。

ダロートコルゴンはオシュ市から350キロの距離です。その途中には、海抜が3500メートルになるものを含め、3つの山道があります。特に冬場には道路の状態が悪くなり、雪崩もひんぱんに起こる恐れがあるため、この村に行くのは非常に困難になります。

病院にも子どもの命を助けるための設備が整えられました。たとえば、UNICEFによって子どもの活動を毎分ごとに記録する特別なモニターや正確な分量の薬を点滴することができるポンプなどが病院に届けられました。また、全国34の病院には赤ちゃんの呼吸を助けるCPAP装置(注:鼻に装着したマスクから空気を送り込む機械)も設置されました。

 

 

新生児を救う

産科病棟の状態を改善することは、新生児とその母親の双方の命を救うために特に重要なことです。

カリベコフ医師がこの医療センターで働き始めた2009年には、年間400から500件の分娩を取り扱い、うち14件で新生児が死亡しました。「ほとんどのケースは一部のヘルスワーカーの技能不足、知識不足に起因するミスが原因でした」と彼は言います。

2016年、新生児の死亡数は2人までに減りました。2010年からセンターの産科病棟長を務めるバクチャガル・パキロバ医師は、次のように述べました。

「私は就任以来、UNICEFが開催するたくさんの研修に参加してきました。我々の職員は分娩時の応急処置や母乳の大切さ、また、出産後は分娩室の温度を高めに設定して赤ちゃんの体温を温かく保ち、さらに母子が一緒に過ごせるようにすることなどを学びました」

「どのような症例を高度医療設備がある病院に紹介すべきかについての研修も受けたので、合併症を伴うお産への対応も少なくなりました。今まではこのような手続き体制はまったく整っていませんでした」

 

気温が零度以下になるトイレ

UNICEF2011年、産科病棟の上下水道設備を修繕し、きれいな水がでるようにしたほか、屋内トイレと母子のためのシャワー室も設置しました。それ以前は、出産したばかりの女性が屋外トイレを使用しなければいけませんでした。ダロートコルゴンの夜はマイナス30度まで気温が下がることもあります。母親や赤ちゃんたちが直面しなければならない、厳しい状況がいかほどだったかがわかります。

パキロバ医師は、UNICEFの研修では、新しい技能や設備が実際に使われているのかを確認する研修後のフォローアップがしっかりしていることも評価しています。「フォローアップしてくれる担当者が私たちの視点から状況を確認し、ニーズを把握して助言を与えてくれるので、私たちの士気もとても上がります」。そして彼女はこう付け加えました。「UNICEFは私たちの病院に変化をもたらしてくれました」

 

 
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